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Favorite Lyrics #1

writer:KidMan

Stay (KM, LEX)

そんなの平気 平気
たまにget high 1人
誰かのせいに せいに
して弾けたrain

2024年のPop yoursではヘッドライナーとして抜擢されるなど、日本のhiphopシーンを背負う若手の中でも特に天才と名高いLEXの代表曲。分かりやすい単語で構成されたリリックですが、多くを語りすぎることはなく、自身の内面の葛藤を情感豊かに表現していると思います。リリックのみならず、感情のこもったメロディアスなフローも相まって1度聞くと忘れられない、印象的なフックになっています。辛いことが身に起こったとしても平気だと自分に言い聞かせ、何かしらの方法で「get high」することで自分を保っている情景が目に浮かぶようで、僕個人としても辛いときにそのような解釈を通してこのラインを聞き「get high」していたことを思い出します。「誰かのせいに」しても良いと背中を押してくれるような優しさもありつつ、そういった客観的な視点を併せ持つことで、「その人が完全に悪い」と投げやりな状態になっているわけではないところもグッときてしまうポイントです。2023年のPop yoursの彼のライブでこの曲を聞きましたが、ライブアレンジもあって非常に感動したことを覚えています。YouTubeにアーカイブが上がっているので気になった方は是非チェックしてみてください。

そんなの平気、平気


Remy Up (KEIJU, IO)

話すことも無いけど今はどこ?
寂しさに任せて走る外

KEIJU名義の楽曲「Remy Up」から、客演で参加しているIOのバースで印象的な部分を抜粋しました。Kandytownのヘッズとしては、メンバーのソロ曲も含めて外せない曲が多すぎるのですが、特に好きな曲、バースなので彼らのクールさを代表するものとしてpickさせていただきました。おそらくこの曲はKandytownの精神的支柱とも呼べる存在である故・yushiに向けて歌われたものだと思うのですが、聞く人によっては色々な解釈ができるバースだと思います。話すことがなかったとしても一緒に時間を過ごすことができたような気の置けない関係だった、もう会うことの叶わない相手に対する愛が哀愁を漂わせながら伝わってくるようです。寂しいという気持ちだけでは居ても立っても居られず、車を走らせて感情を紛らわせようとしている情景もひしひしと伝わり、クールな佇まい、振る舞いをするIOのキャラクターと非常にマッチしていて彼のクールさを感じずにはいられません。

話すことも無いけど今はどこ?

Virtual Boy (テークエム)

そりゃ気にしたくないハンデ
小さい背丈で飾りたいrunway

個人的に過小評価されていると感じるラッパーの1人であるテークエムの楽曲。疾走感、ネオ東京的なサイバー感のあるBACHLOGICのビートに乗せた、テークエムらしさに溢れたリリックにフローで曲全体としても最高なのですが、何度か聞くうちに特に頭に残ったラインを抜粋しました。本当は生身のままで愛されたいのに、そういう訳にもいかない現代社会、SNS社会に生きる葛藤が切実ながらコミカルに表現されていると思います。そのすぐ後に出てくる「作り物かもねRockstar お洒落でお茶目なRockstar」のラインも最高です。派手な髪色に、派手なファッションを着こなしたイケてるRockstarであるはずのテークエムが、現代社会を生きる多くの人が感じているようなものと同様の内面を隠すことなく吐露しているところに、自分の深層心理が重なり、共感や親しみのようなものを覚えます。

そりゃ気にしたくないハンデ


KidMan:UTSCCメンバー、ラッパー、医学部四年


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