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卵黄分離機と鉄壁ときみ

 すき家で別の大学を受けた友達と合格発表を見たが、彼は1時間前に不合格がわかり、僕は合格がわかった。卵黄分離器が水の入った器を映していたのがなぜか思い出される。 その後、僕の使い古した、書き込みのたくさんある鉄壁を彼に託し、別れてから、彼は一浪後受かったが、未だに会えていない。 気まずいとは言うが、合格前は友達と会う最後の機会だから大事にしてほしい。  

 「二次試験後~合格発表までにあった印象的な出来事」というテーマでボート部員からエピソードを募集しました。上に挙げた話は、そのうちのひとつです。ひどく切なく美しく感じました......。

他にも、

「親が仏壇に合格祈願していた」

「卒業式。後期試験の勉強もあったのに答辞の練習もしなきゃいけなくて気が気じゃなかった。本番めっちゃ緊張した。」

「担任の先生とドキドキしながら合格発表を見ました。抱き合って喜びました。」

などのエピソードがありました!二次試験後~合格発表は、漫然と日々が過ぎて行ってしまいがちな期間かもしれませんが、こういった、心を震わす、素敵な出来事があるといいですね💓

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時として受験は、親しきもの同士を、どうしようもなく分かち隔ててしまうのかもしれない。

一体であった黄身と白身を機械的に分かつ卵黄分離機のように。

あるいは、到底越えられないように思われる鉄の壁のように。


だが、それだけではないはずだ。

受験は、人と人との繋がりを新しい段階へと高めてくれもする。

たとえ離れることになったとしても、どこかで絆は繋がっているはずだ。

卵黄分離機に残された黄身に、カラザがついているように。


分離機は、きみだけを残した。

でも、あの日きみに託したものが、君と一緒にいた証だ。

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