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拡大S安攻略 vol.1

こんにちは。UTRです。

私が何者かについては以下の記事をご覧ください。

今回のテーマは拡大Stop安です。

twitter見てると、逆張りなんかしない方がいいとか、そもそもS安になる時点で良い株ではないので買うのはもってのほかなど、様々な意見があります。しかし殊、デイトレーダーにとっては、需給が歪むチャンス局面として積極的に狙っていきたいところですね。

また最近は、拡大S安のリバウンド狙いが有効だと徐々に知れ渡ってきており、取引するトレーダーも多いと思いますが、エントリー根拠が曖昧なままトレードしている方も多いのではないでしょうか。

それ故に、エントリー自体を見送ってしまったり、エントリーしても初動のもたつきで怖くて売ってしまい、その後の急上昇を指を加えて眺めたり。或いは、我慢できずにえいやと飛び乗って急落に巻き込まれるなど、苦い経験がある方も多いはずです。

そこで今回は、2023/8/17のヘッドウォータースを振り返りつつ、拡大S安の戦略について紹介しようと思います。(振り返るのが遅くなり申し訳ありません…)

もし需要がありそうなら、IPOセカンダリー総集編やリバウンド総集編などの執筆も考えています。宜しければフォロー・リツイートでリアクションお願いします。

*本記事は優位性担保のため、一定のビューが集まったら有料化するかもしれません。その点ご容赦下さい。
*相場環境は常に変化するものなので、紹介してるトレード手法が今後も有効なものとは限りません。理屈の部分を追っていただければ思います。

それでは参りましょう。




【需給の基本】

本項は拡大S安に限らず、トレードする際に意識していることを紹介します。

・木をみて森を見る

株式市場は、セクター同士やセクター内で資金が循環します。個別株1つを監視するにとどめず、俯瞰してトレード戦略を考えましょう。

・地合いと個別株

個別株の短期時間軸での上下は
地合い>=需給>ファンダメンタル、の順に影響が大きくなります。

ファンダ重視の方から激しい反感を買いそうですが、業界や業績がいくら好調でも地合いが悪いと影響受けます。この点は押さえておいてください。

・拡大S安の需給

リバウンドしやすい理由を一言でいうと、売り枯れに出来高急増が重なるからです。株価の大幅な下落はパニックセルを誘発すると同時に、市場注目度も高めます。

寄り付き時点の市場参加者心理

自分の持ち株がS安になり、数日寄り付かず、50%近く下落する展開を想像してみてください。今すぐにでも売りたい、追証で売らざるを得ない、ナンピンして切り抜ける、或いは回復を祈ってガチホするetc,,,

様々考えられますが、簡単にまとめると寄付き時点の既存ホルダーの動きはざっくり以下に2分されるのではないでしょうか。

A.寄り付きで売る
B.しばらくは売らない

つまり、寄付き後は既存ホルダーの積極的な売り玉が出てきにくいです。

さらに、拡大S安銘柄は市場の注目を集めるので、確実に新規買いが急増します。よって、売り玉が出ない+新規買いが見込まれるため、株価がリバウンドを起こしやすいのです。

このままだと分析が大分アバウトなのですが、重要なところなので押さえておいてください(ptsについては後述します)。

寄付き後ちょっと待ってから売る人も居るだろ!という声もありそうです。確かにいますが、寄付き初動に関しては、そこまで多くないと仮定します。
ダメージを負っている人は、たとえ株価が-50%から、-40%に回復してもあまり変わらないからです。


【前日の想定】

・材料

ヘッドウォータースが売り込まれた背景について、まとめると以下のようになります。

8/14引け後に2Q決算を発表。
第2四半期の3ヵ月間では0.15億円の営業赤字で通期業績予想は据え置いた。
不採算案件の対応に伴う営業機会損失の発生が売上高の鈍化につながった。
パートナーの活用を進めるなかで、エンジニアの単価高騰が重なり粗利益率が低下した。
ChatGPT登場を受け、生成AI関連銘柄として春先から期待買いが続いていたこともあり、直近4半期の売り上げ鈍化は大きな悪材料と捉えられた。

こんな感じでしょうか。

業績だけ見ると拡大S安になる程ではありません。
にも関わらず強く売り込まれた要因はやはり、直近の人気が高く、個人投資家に買われまくっていたことでしょう。ファンダメンタル要因だけでなく、需給的要因が絡む下落は、デイトレーダーにとって絶好のチャンスとなります。

2月中旬から注目度が高まり、出来高の波が形成された。


・板推移

急いで売りたい玉の数を把握するために、成売の推移に注目しましょう。

15日
引け成売=152000
16日
引け成売=147400

ここから、15万株程度の売りがパニックセルだと仮定します。ただし、15万株の中身に機関投資家の売煽りが混ざっている可能性もあるので仮定に過ぎません。因みにヘッドウォータースは空売りが出来ない信用銘柄ですが、機関投資家は関係なく空売りできます。恐ろしいですね。

・地合い


夏枯れ相場で市場資金が枯渇しており、尚且つ日経マザーズともに大幅に下落していました。下図、最後の十字線が8/17のローソク足です。

日経


マザーズ


悪地合いの時は、好材料個別株の安寄りからの続伸と、材料GDリバウンドが発生しやすいです。理由としては、大きく以下の3つが挙げられます。

・握力の弱い売り玉が寄付きで手放され、短期時間軸で潜在売り圧が小さくなる
・悪地合いで首が回らなくなる人が増えるので、寄付きで前のめりにくい
・資金の行き場が限られているため、材料銘柄は場中の追随買いが期待できる

このことから、17日の拡大s安銘柄はデイトレ勢にとってチャンスだと仮定できます。

・拡大S安3兄弟

8/17は、ヘッドウォータースだけでなく、モンスターラボとダブルスタンダードが同日に拡大S安となり、底値4倍値幅銘柄が同時に3つあるという非常に珍しい日になりました。3社同時の拡大値幅措置は、銘柄選定やエントリー判断に少なからず影響があるので、それがどのようなものなのか確認しましょう。

以前、EDPとリリカラが同時に拡大S安になった時(2023/2/15)があります。
値嵩株のEDPは初動から大幅に上昇した一方、低位株のリリカラは上髭陰線に終わりました。

需給的な要因としては以下が考えられます。

・低位株のリリカラがスキャルピング玉の受け皿になった
・値嵩株は性質上、前のめり買いが入りにくく素直な値動きをしやすい

このことから、3兄弟の中で、値嵩株のヘッドウォータースに分がありそうだと想定します。

*スキャルピングが株価上昇を妨げる理由

上手いスキャルパーは株価上昇を妨害しませんが、未熟なスキャルパーや、デイ・スイング目線なのに意図せずスキャルピングしてしまう人は株価上昇の妨げになります。買った瞬間、売圧力に変貌するからです。(スキャルピングが悪いと言ってるわけではありません。)

・追加材料

8/16にヘッドウォータース社からIRが発表されました。

「Azure OpenAI Service」利用企業向けに LLM 技術のナレッジシェアと伴走支援体制を構築する 「プロンプトエンジニアリングラボ」サービスを開始。

専門用語が多くて何のこっちゃですが、「本件による当社の当期業績に与える影響は軽微 」とIR資料に記載されており、手放しに好材料と判断するには早計です。
会社や業界自体に問題があって売り込まれてるわけじゃないんだな、くらいの認識で良いです。

・出来高

常時出来高が少なく、デイトレするには心許ないです。17日にどれだけ注目を集められるかが非常に重要なポイントになってきます。

・PTS

4倍値幅が確定した日のptsは注目です。
高値で捕まっていて今すぐにでも売りたい人が極端な価格で手放すので、狙っているトレーダーが多いのですさらにptsで買えない信用組が朝から参戦してくるためguする傾向にあります。

2022/9のダブルスコープが拡大S安になった時あたりから、拡大S安がptsで買われるトレンドが形成されており、今の所「ptsで買って寄付きで売る」手法は非常に有効です。16日に注目すると時間外取引にも関わらず、出来高40万株の大商いとなりました。この出来高が翌日以降の潜在売り圧力になるので、翌朝の新規エントリーを狙うトレーダーは確実に押さえておきたいところです。

また当然なのですが、ptsの優位性に皆が気づいて前のめりが増えると機能しなくなるので注意が必要です。IPOの即金跨ぎの手法と少し似ていますね。(需要あれば後日解説します。)


【当日の判断】

・エントリー判断

寄付き前の板推移

【8:30】
気配値=5500円
成売:成買=26500:8800
over:under=28600:65300
【8:57】
気配値=5800円
成売:成買=36200:24500
over:under=29000:94300
【8:59】
気配値=5900円
成売:成買=32800:28300
over:under=29700:112100
【9:03】
寄付き=6490円

上下10tickの板は割愛

概観

・8:30は当然、成売が多い状況。徐々に買いが増えだす。
・8:57から数分の間にunderと成買が大きく増えており、overと成売の増加速度に比べて圧倒的に速い。
・overに関しては量がほとんど変わっていない。
・気配値より大分guして寄り付いた
・売り>買い、から、売り<買い、の流れで寄り付いたので初動は強いが、前のめり感は否めない。etc,,,

概観

ここで、引け成売の推移も思い出しましょう。前日と前々日の15万株に比べ、5分の1程度しか売りが出ていません。一体なぜなのでしょうか。
考えられる理由として、
・前日以前の成売の多くが、機関投資家の売り煽りの板だった。
・昨晩のptsで決済された。
・ptsより朝の気配値が高く、リバウンドするのではないかと売りを引っ込めた。etc…
特に気になるのが
・株価半減にも関わらず強制決済の玉が意外と少ない
つまり
→信用ポジが高値で捕まってる投資家はそこそこお金がある→感情的なトレードが少ないので値動きは比較的素直?

信用買残推移。
暴落に巻き込まれた信用買いが24万株程はある。

ptsでそれなりの出来高を作り、pts終値から大きくguしていたので、需給は理想的な状態ではありませんでした。ptsで買われた玉が、寄付き後の潜在売り圧力になるからです。

一方で、市場全体の資金の流れ(「木をみて森を見る」の「森」)的には、
・夏枯れ相場の悪地合いでリバウンドに優位性がある。
・材料的にも過度な下落かつ、同日拡大S安の中で最も値嵩なのでスキャ玉が入りにくい。さらにS安兄弟の低位株モンスターラボや、GU気配で圧倒的前のめりのダブルスタンダードが市場のスキャ玉・前のめり玉を集めてくれている。

ため、寄り付き時点で新規の余計な買い(前のめり)玉が少ない+追随の買いが買いを呼ぶ展開になることが想定できました。

また、板が薄いので連続買い・特別買いが出やすく、寄り付きでエントリーしないと置いてかれる可能性があるので、寄り付きスルーは機会損失を招く可能性がありました。

さらに極め付けには、「値嵩株の拡大S安は、ほぼ確実に大きなリバウンドを起こす」という経験則がありましたので、打診ポジでエントリーを決定しました。

実際の値動きは以下のようになりました。初動若干もたついた後の(好材料)後、一気に買いが入って特別気配になり、そのままの勢いでS高まで行きました。

日中足

・エントリー後の注意

一般的に寄り付き後、数秒で方向性が決まることはほとんどなく、始値を軸に乱高下しがちです。特にヘッドウォータースに関しては、板が非常に薄く、中口以上の投資家の一存で上にも下にも連続気配・特別気配を出せてしまいます。ここで怖くなって売らないように注意したいところです。

・利確判断

寄付き時点の需給が理想的ではなかったので、逃げ腰でした。最初の特別買いで一部、次の7200円でポジションのほとんどを捌き、S高まで持っていけたポジションはほんの一部だけでした。日足は上髭陽線になるので持ち越す必要なしと読んでいたので、S高剥がれで全て捌いています。外しました涙。



・損切り想定

落ちるナイフを拾う時に最も困るのが損切り想定ではないでしょうか。今回は運も味方して上昇してくれましたが、毎回うまくいくわけではありません。私はpts終値を支持線に設定していましたが、仮に下落しても損失に耐えうる株数でエントリーしないといけません。

また、何を基準に判断するかは、身も蓋もない話ですが、人によります
「これさえすれば良い」というものはなく、出来高や板の推移・大口の存在・自分の資金余力・許容損失額など、個々人のスタイルによって判断軸や最適解が異なるのです。



以上、トレードの一例を紹介させていただきました。

拙い文章ですが、最後までお読みいただきありがとうございました。

本記事で言及できなかった内容も別記事で紹介したいと思うので、リアクションなどいただけると嬉しいです。

それでは今回はこの辺で失礼します。

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