お金を出す側から見た「融資」と「出資」の違いについて
先日、こんなnoteを書きました。
お金を調達するには融資と出資という二つの方法があって、どちらも一長一短なので使い分けましょうねという話ですが、それはお金を出す側から見ても同じこと。
お金を出す側にとって、融資と出資はどんな意味合いを持つのかという話を補足したいと思います。
融資は手堅い商売
融資は一般的な「お金を貸す」行為で、たとえば
「500万円を貸して、毎年100万円ずつ返してもらう。利息として年3%を受け取る」
というもの。貸し手から見れば
・お金は一定期間経過後に手元に戻ってくる
・利息を受け取って儲けにする
という商売です。
一度でもお金を貸した経験がある方は分かると思いますが、この際ポイントになるのは
・ちゃんとお金を返してくれるか
・ちゃんと利息を支払ってくれるか
の2点で、要するに相手に返済能力があるかが焦点になりますが、どちらも法律で保障されていますし、万一貸した相手が倒産した場合でも、優先的に資金を回収することが可能です。
が、ちゃんと返してくれそうな相手を見極めて融資し、しっかり利息を稼ぐというのが原則です。
投資はデカい勝負
一方の投資は、元本の返済も利息の受け取りもありません。
お金を渡す見返りとして、会社の意思決定権……要するに株式を受け取ります。
たとえば、創業間もない会社に1,000万円を投資して、1,000株を受け取ったとします。
つまり、1株を10,000円で買った計算になります。
その後、会社が急成長して1株の価値が20,000円に上がったタイミングで1,000株を売却することができたら、投資した1,000万円が2,000万円、倍になって返ってくることになります。
つまり
・将来有望な会社がまだ小さいうちに投資して株を手に入れる
・必要なら経営に口出しして、会社を成長させる
・成長したタイミング(株の価値が上がったタイミング)で株を売却する
というのが、投資における基本的な儲けのパターンです。
ハイリスク・ハイリターン、ゆえに分散投資
融資との違いは
・うまくいけば大きな利益が得られること
・うまくいかずに出資したお金が返ってこないリスクが高いこと
が挙げられます。いわゆるハイリスク・ハイリターン。
もちろんすべてうまく行かせるつもりで投資はしますが、現実問題としては10社に投資して
1社が大儲け
2社がちょっとだけプラス
3社がプラスマイナスゼロ
4社が倒産してお金返ってこない
で、全体で見たらそこそこプラス、みたいに分散投資することになります。
投資先を見極める際は、もちろん融資と同様に「ちゃんと成長する会社か」をチェックしますが、そもそもちゃんと成長するという確証がある会社は投資ではなく融資を選びます。
投資を求めるような会社は「やってみなくちゃ分からない」状態。なので、意思決定に際しては
「こいつならきっと全力で取り組んでくれるだろう。きっと成功をつかむだろうし、たとえ駄目だったとしてもそれなら諦めがつく」
「そこまでこの事業に入れ込んでいるなら、応援してやろう」
「その志や良し。ぜひ自分も一枚かませてもらいたい」
といった具合に、会社とか商品とかビジネスモデルとかではなく「人」の要素を重視することになるのだそうです。
お金を出す側から見た融資と投資
以上のように、融資をする人は
「手堅く稼ぐ必要があるので、確実に回収できそうな会社にお金を出す」
投資する人は
「当たれば大きいけど外れも覚悟している。やってみなくちゃ分からないので、最後は人を見てお金を出す」
という違いがあります。
資金を調達する際は「出す側」の事情も頭に入れておくと、色々スムーズに進むのではないでしょうか、というお話でした。
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