2024/4/30

 世界が「解除」されていく。他人の温かみも、僕のために流れた涙も、優しい言葉も、解除されていく。一体誰が解除しているのか、僕にもわからない。触れた側から枯れていく。死滅した街を歩く。すべてはもう終わってしまった。それなのに脈拍は進む。こんなにも苦しいのに僕を生きさせるのは一体何なのだ。解除し、僕の行く末を殺そうとするのは一体何なのだ。一切の答えを欠いたまま、世界は回っていく。信じがたいことだ。信じがたいとは、つまり、解除されているということだ。
 あらゆるものから取り残されて、もう何もかも終わってしまった後で、ようやく僕は重要なことに気が付くんだろうか。僕の中で笑う案山子は、そこでようやく動きを止めるんだろうか。しかし今はまだ、飛び跳ねている。

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