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森に還りたい・・

人の手が入らなくなった土地は、自然に還ろうとします。アカメガシワや葛といった、人間にとって厄介な植物は、壊れてしまった、「生態系」という生命の修復器官なのかもしれない、その痛みを感じながらそれを剥がしてきました・・・

アカメガシワの根を抜く

前日がずっと雨だったので、実家の元田んぼだった空き地は長靴が抜けなくなりそうなくらいぬかるんでいました。やるなら今日が最適、と思い立って、周りの雑木地から侵入してきていたアカメガシワの苗の引き抜きに取りかかりました。

アカメガシワは、どこにでもみかける木で、コンクリートの間からでも生えてきて、1メートル、2メートルくらいはあっというまに伸びてしまう生命力旺盛な木です。

これは実家から帰りのサービスエリアで撮影したもので、生け垣のなかから生えてきていたもの。
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実家の方はこちらです。左の雑木のほとんどがアカメガシワです。
畑に広がっていた苗を半分ほどを抜いたところ。

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畑を管理していた亡き父が腰を痛め十分な管理ができなくなってから3年は放置状態だったもの。

この木はタネだけではなくて、根っこでも広がっていくので、空き家なんかでもあっという間に広がって、家を突き抜けていたりします。

雨上がりで土が柔らかくなった時をねらって抜いてきました。

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根っこは浅く広く這っていて、一つの節をぬくと芋づる式に隣の幹や、数メートル先の幹までついてきます。畑の土の中ではそうした根っこが網目状に広がっていたようです。

アカメガシワは荒れ地が山に戻ろうとする証

実家からの帰り道、高速道路を走っていると、アカメガシワの群生があちこち目につくようになりました。

巨木になっていたアカメガシワ

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葛が一面をおおっている山。どちらも高速道路のサービスエリアからの景色

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アカメガシワの生態を調べていると、荒れ地に真っ先に生えてくる樹木だということがわかりました。がけ崩れなどで生態系が壊れたところを修復するかのように、真っ先に立ち上がってくるのだそうです。

最初、自分ちの畑でこれを見たときには、あまりの凶暴さに外来種かとおもっていろいろ調べたのですが、これはもともと日本にあったものだそう。

そういえばこの樹木、小さい頃から見慣れていた木で、他の木とも割とおとなしく共存していて、こんなふうに驚異を感じる木になるとは思ってもみなかったのですが、こうやって観察してみると、アカメガシワが茂っているところは、高速道路で開発されたあと放置されたような場所や、耕作放棄地ばかりです。あと、同じような場所には葛のかずらもすごい勢いですが、森の奥の方にまでははびこっていない様子。

どうもアカメガシワが凶暴になったのではなくて、この樹木の出番、という場所が増えた、ということなのかもしれません。私からみたら驚異ですが、自然界にしてみたら、人が立ち入らなくなった場所を自然に戻そうとしているだけのことなのかもです。

このアカメガシワは蟻に蜜を提供していたり、きのこ類の好物だったりで、その性質には、荒れ地が森になる次のステップへの導線になるものがあって、面白い植物です。あの広い葉っぱも次々と落ちてきたら、早く堆肥化するだろうし、木の実もたわわになるからきっと鳥もたくさんよってくるでしょう。もう、すごいとしか言いようがない。

そういえば、同じような人の手が入った後放置された場所に育成する 葛、こないだそのツルを切っておいたら、あっという間に枯れてホロホロになっていました。地に戻るのが早い。あれも、先駆的な植物だからなのかもしれない。

なにか壮大な音楽をきいているような気になります。うまくいえないんだけれど。

ああそうか、時間、プロセス、移行。すごいな。

ふと、思い出した、G線上のアリア。

あのG(ソ)で引き伸ばされた最初の音。あれがふとこの植物と重なったような気がしました。






愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!