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【特別講義:塚本大地先生】産学官共創学習ゼミ第四回 2023/10/23

東京大学Diligentが主催する産学官共創学習ゼミ(通称デリゼミ)は、「社会課題解決に資する人材・リーダーの育成」を理念に、多種多様な職業で生かすことができる課題解決能力を学び、実践するゼミです。10/4に初回ガイダンスに関する記事がnoteにあがっていますので、どんなゼミか詳しく知りたい方は是非ご覧ください!

今回は初の外部講師をお招きした特別講義会となりました。外部講師は塚本大地さん。今年ちょうど三十歳を迎える若さにして、数百億円での事業売却を含めた複数の大規模事業譲渡をしてきた連続起業家です。

講義開始の開口一番で塚本さんの口から出た言葉は、「羨ましい」でした。

「若いってことはとんでもない価値で、君たち学生はまだ気づいていないけど、それがいちばん大切なことなんだ」
「若い方が偉い、若い順に偉いから、この教室でいちばん偉くないのは井野さんで、その次が僕」

最初から教室は笑いに包まれたのですが、実はこの言葉は、塚本さん自身が設定してくださった問い「事業としてやりたいこと、作りたいものなどがなんとなく決まったが、自分自身にそれを実現するスキルも知識もない場合どうするべきか?」ここに大きく関わってくる本質的なことでした。また後で述べます。

まず、塚本さん自身の紹介も兼ねて、生まれてから現在に至るまでの半生が語られました。
兵庫県の経営者家系で生まれた塚本さんは、60、70歳のおばあちゃんが午前四時に起き、駅前で商売をしている背中を見ていたのが原体験だったそうです。小さい頃からそれに興味を持ち、一緒に早起きして店番をし、お客さんが1000円で買った際のお釣りをもらえるようにどうやって可愛く振る舞うかを仮説をたてて試行錯誤するような幼稚園児だったそうです(笑)。
小学生の頃には、すべてのカードと、各カードショップの値段設定を把握し、トレードやデッキの販売をすることで小学生にしては考えられないくらいの利益を出しており、その才能の片鱗が見えます。
これは今も変わっていないそうなのですが、金が好きというより、「どうやったら相手の望ましい行動を引き出せるのか」を考え、仮説を立てて行動する商売が好きだとおっしゃっていました。PDCAサイクルを回す、といった言葉を知らない時からその習慣が商売人のDNAに組み込まれていたのはとても驚きでした。
中高では一旦商売はやめ、サッカーに打ち込み、名古屋大学に進学します。
名古屋大学では、学業の面ではあまり勤勉とは言い難かったようで、四年生時に留年し、院試を受け忘れ、進路に迷ったといいます。そのときに自分が持っていた選択肢の中から、とりあえずと消極的に起業をしたのが初めての起業だったそうです。
塚本さんはここから他業種で連続的に事業を進めていきます。
まずバーチャルキャラクター事業を立ち上げ、二億でバンダイナムコに売却しています。最初で二億の売却と聞くと華々しいスタートのように思えるのですが、意外なことに苦い失敗体験だったそうで、この経験での学びが後にも大きな影響を与えているといいます。そして、パチンコ集客プラットフォーム・スロパチステーションを巨大な金額でDMMに売却し、最近ではライブ配信アプリIRIAMをDeNAに非常に巨大な金額で譲渡しています。最初の経験を活かしながら、セカンドベストを選択していくことで、多分野で連続的に事業を創出し、売却先と協力して大きくすることから、「0→1を作る天才、金が入るところまで成長させて、安く売ってくれるからありがたい」と言われてしまうそうです(笑)。現在も、自分の持っている力を伸ばして、社会にインパクトを与えたいという気持ちでMEDIX(動画メディア)のCEOをしていらっしゃいます。

講義の様子

ここからは、塚本さんが事前に設定してくださった問い「事業としてやりたいこと、作りたいものなどがなんとなく決まったが、自分自身にそれを実現するスキルも知識もない場合どうするべきか?」に対する学生発表と、それを受けての塚本さんの問いに対する答えのフェーズに入ります。
学生からは、
・スキル・知識がある人に任せつつ、その人からも学ぶ
・最低限の勉強は自分で行った上で、その分野に精通した人間を探して頼る
・事業について深く考えることで、その事業にかける情熱や、自分がそれに取り組むモチベーションとなるような情熱や方向性を固める
といったような発表があり、塚本さんは素晴らしい答えだと思うとした上で、「人に頼る」と、「情熱・方向性」にフォーカスした話をしてくださいました。
「人に頼る」について、塚本さんが今までずっとやってきた方法は、わらしべだといいます。そのときにアクセスできる1番の人のところに行き、もっとすごい人、もっとすごい人、をどんどん辿っていくことで、知識、環境がどんどん向上していく。経営者でも、エンジニアでも、新たな分野に挑戦するときもこれを繰り返すことで成功してくることができたといいます。そして、この話は一番最初の「若さ」の価値につながってきます。この技は若い時しか使えないチートであり、何も持っていない自分にわらしべで出会った大人がたくさんのことを教えてくれたのは若さゆえの愛嬌、可愛さでしかないからこそ、若さは何にも変えられない価値であると述べられていました。そして、「情熱・方向性」について、トップの人間が持てるのは情熱や方向性だけだとしても、逆にそれがあれば人は集まる、といい、塚本さんが二週間前に体験した「人生で5本の指に入るような衝撃」のエピソードとともに、情熱とビジョンで影響を与えるリーダーの凄さを語っていました。

幼稚園児、小学生時代の商売からわらしべ、そして起業初期の即日愛媛旅行などのエピソードから、圧倒的な行動力と、それを支えいく先々で人に影響を与える情熱がが塚本さんの根本にあるのだなと感じました。塚本さんからすると、やりたいことがあって、行動することが難しいという感覚が全くないそうで、私たちも振り返ってみるとつまらないものを行動しない理由につけ、可能性を狭めてしまっていることばかりで、わらしべという具体的で再現性のあるチート技を教えてもらった以上、どんどん行動していかなければならないと感じました。

この後は質疑応答の時間が設けられ、学生の質問に対して時間を延長して柔軟に対応してくださりました。今まで多分野で事業を当ててきた嗅覚についてであったり、これから狙いたいような業種であったり、自分達学生が起業する上でとても参考になるような質問への答えももらうことができました。

質疑応答の時間

今回はお忙しい中、大成功している若手連続起業家・塚本大地様にお越しいただき、「事業としてやりたいこと、作りたいものなどがなんとなく決まったが、自分自身にそれを実現するスキルも知識もない場合どうするべきか?」という問いを中心にした素晴らしい講義をしていただきました。デリゼミでは普段なら絶対に会えないような方や、触れることのない情報にアクセスできるこれ以上ない場であると感じます。その環境に感謝しつつ、私を含めた各個人が実際に行動に移していくことを通して少しでも還元できたらと思います。

このゼミでは、毎回新しいことを学ぶことが出来るうえ、ゼミの中で実際にそれを使える場面が用意されているので、自分が一歩ずつ成長していける感覚があり、非常に楽しいです。是非みなさんもこのゼミに参加して、一緒に楽しく学びましょう!追加募集もしています。(グループワークは参加できません)詳細はこちらへ
https://diligent.hp.peraichi.com/

ゼミそのものについて詳しく知りたい方は、下のガイダンス記事にアクセスしてください。


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