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【起業デリ】第5回シンポジウム 2024/04/08

 先日、イノベーションハブ主催の第5回シンポジウムにDiligentのメンバーがお手伝いとして参加させていただきましたので、今回はその様子をお伝えしたいと思います!

 過去に参加したシンポジウムの内容は以下の記事をチェックしてみてください!


伊丹敬之様によるご講演

 今回のシンポジウムでは、まず最初にイノベーションハブ理事長・一橋大学名誉教授の伊丹敬之様による、「スタートアップへのエール:大企業の投資不足と神の隠す手」というテーマのご講演がありました。

ご講演中の伊丹裕之様

負のスパイラルにあるエールの源

 日本企業は2001年ごろから、設備投資や人件費を抑制し、株主配当ばかりを増やす「株主主権」の経営に変質しました。変質に伴い、大企業は以下のような負のスパイラルに陥りました。
設備投資や人件費の抑制
→現場で人が自ら育とうとするインセンティブの縮小
→人材育成の困難化
→さらに投資ができなくなる、、、
しかし、投資不足は、市場に身充足需要をさまざまな形で密かに残しており、それは、スタートアップが掘り起こせる需要が、かなりの規模で存在する日本を意味します。つまり、この負のスパイラルこそが、スタートアップへのエールの源だということです。

オーバーエクステンションのすすめ

 オーバーエクステンション戦略も興味深かったです。オーバーエクステンションとは、「自分の実力以上の戦略をあえてとること」です。その実行プロセスでの現場学習により、能力蓄積が加速し、実力が飛躍することが一つの大きな狙いです。

Principle of Hiding Hand 「神の隠す手」の原理

 開発経済学者であるAlbert Hirschmanが提唱した原理で、以下のように作用します。

  1. 神の隠す手は、困難予測能力と問題解決能力ポテンシャルの両方を隠  す。

  2. 困難予測能力が隠され、普段はノーという結論に至るプロジェクトにも「不用意に」乗り出す。

  3. その後、困難が顕在化するものの、隠されていた問題解決ポテンシャルも表面に出てきて、最終的に成功する。

 こうした原理が、スタートアップにおいても作用するので、神の隠す手を信じて実際に行動してみることが重要だと、伊丹様は仰います。
 また、社会的に「正しいこと」には、人の助けも得られやすいため、単なるお金儲けのためではなく、社会の負を解決しようとする姿勢を持つことが重要だとも仰っていました。

印象的なひとこと

最後に、個人的に心に残った伊丹様の言葉を記します。

「動けば、何かが見えてくる。動かなければ、何も起きず、何も見えない。」

日本の経営学の第一人者である伊丹先生の言葉には、やはり重みがありますね。この言葉を胸に、挑戦し続けたいと思いました!

石井芳明様によるご講演

 次に、中小企業基盤整備機構審議役・経済産業省大臣官房参事の石井芳明様による、「スタートアップの政策的意義と具体的な支援」についてのご講演がありました。

ご講演中の石井芳明様

なぜ今、スタートアップなのか

 政府がスタートアップを支援する目的として、以下のような狙いが挙げられました。
・機動性の高いスタートアップが大企業が陥るイノベーションのジレンマを解決し得る。
・新型コロナワクチン開発や自然エネルギー発電施設開発など、社会課題に対するソリューションの提供が期待される。
・雇用やイノベーションを創出する。
 特に、イノベーションの創出に関して、日本(TOPIX)と米国(S&P)における株式市場のパフォーマンス推移が、新興企業であるGAFAMを除けば大きな差がないことを示すデータが驚きでした。つまり、それだけスタートアップが経済成長のドライバーとなる可能性を秘めているということですね。

政府の具体的な支援

 政府による支援の具体例として、
・スタートアップ育成5ヵ年計画に基づき、令和4年度補正予算で、過去最高規模の約1兆円の確保
・プレシード/シード(創業)→アーリー/ミドル(事業拡大)→レイター(海外展開も含めた事業拡大、M&Aなど)の、3つの段階ごとの綿密な対応計画
などが紹介されました。
 政府が応援することは、新たにスタートアップに挑戦しようとする者の背中をきっと押すことになるでしょう!

菅原貴弘様と柳瀬義史様によるご講演

 最後に、以上を踏まえたうえで、実際にスタートアップ事業に取り組んできた、株式会社エルテス 菅原貴弘代表取締役と株式会社Waqua 柳瀬善史代表取締役社長による、各会社が取り組む具体的事業についてのご講演がありました。

ご講演中の菅原貴弘様

1.菅原社長によるご講演ー周辺ビジネス・ヘッドピン戦略のすすめ

 株式会社エルテスでは、デジタルリスク事業やAIセキュリティ事業、DX推進事業が主に展開されていると紹介されました。菅原社長は、「ゴールドラッシュで一番儲けたのはツルハシ売り」という、いわゆる周辺ビジネスに着目したと仰います。
 具体的には、X(旧Twitter)の流行が急速に拡大していた時に、流行そのものには飛びつかず、流行による炎上被害の拡大に着目し、炎上リスクの防止・対応事業を始めたそうです。
 この周辺ビジネス思考は、リスクを抑えながら利益を確保するために重要なので、スタートアップのアイデアに活用できそうです!
 また、中小企業ではなく、まずは大企業の賛同や協力を得ていると、銀行からの融資を受けやすいという、ヘッドピン戦略も興味深かったです!

ご講演中の柳瀬善史様

2.柳瀬社長によるご講演ー自社製品の強みをどう生かすか

 株式会社Waquaでは、みかん箱サイズの小型海水淡水化装置を主力製品としたビジネスが行われていると紹介されました。
 当製品の強みとしては、他社の製品とは比較にならないほどに小型であり、家庭用の電源など低エネルギーでも稼働可能で、さらにIoT化して世界中の機器の稼働状況が可視化できるシステムが構築されていることだと、柳瀬社長は仰います。
 ①小型、②低エネルギー消費、③可視化システム、これらの強みを生かして、災害時のインフラや建設業界だけでなく、過疎地の水道インフラを当社製品に置き換えることで、より低廉な水道原価の実現を図っているそうです。最終的には、離島を多く持つ国などを主な対象として、海外インフラを支えることも目指していると仰っていました。
 海水を淡水に変えるという極めてシンプルな技術でありながらも、他社にはない自社だけの強みを考えて、その強みをどのようにビジネスに生かしていくのかという思考が垣間見れて、とても面白かったです!

終わりに

2時間のシンポジウムでしたが、内容も盛りだくさんでとても聞き応えがありました!
 充実したキャリアを考える上で非常に役に立つ内容で、再び開催される際にはまた参加したいと思います!
 学生団体Diligentでは、今回のような東大生のキャリア形成に役立つ機会を設けています!興味を持っていただけた方は、ぜひ以下のホームページをチェックしてみてくださいね。

文責:向橋卓寛


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