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春になって君は


数年前、ずっと興味があった英語の勉強をして、その後につなげてみたい、と彼女は言った。
それを聞いた時、いつか、お互いのいる場所が離れる時が来るかもしれないな、と思ったけれど、言わなかった。言ったら、その日がすぐに来てしまいそうな気がしたから。
少し時間が過ぎて、まだ何も起こらないことに少し私は安心した。彼女と会って話したり、何かを計画したり、楽しい時間を一緒に過ごすことが、本当に大好きだったから。
でもそれは、留まってほしいとか、変わらないでほしいとか、そういう気持ちではない。
いつか来るその日が、まだ少し先であることへの安堵だった。

去年、ついに彼女が色々な勉強を本格的にスタートして、もうその日が近いことを知った。それと同時に、彼女が進み出したことは私にとってもすごく嬉しく、誇らしかった。
あなたならできるよ、あなたならどこにでも行けるし、なんだってできる、と何度も思って何度か伝えた。
でもそれは、本人が心からそう思わなければ、私が何を言っても意味はないと知っていたし、努力を続ける彼女なら、自分がそうできることをもうすぐ理解するだろう、とも思っていた。

南に桜が咲く頃、笑って彼女は旅立っていった。何の濁りもこの土地には残さず、輝いて。

春になって君は、自分の人生をその手で動かし始めた。あなたならできるよ、あなたならどこにでも行けるよ、私はこれからもそう思いながら、いつだってエールを送る。
どんな挑戦も日常も、いつも応援している。

長い間、本当にありがとう。私の方こそ何度も助けられた。
大切な友人との別れは辛い。でも、その辛さを忘れるほど、素晴らしい選択だと思っている。
楽しい時間を積み重ねてできる、楽しい人生。これからも、分け合っていきましょう。

願わくば、彼女がこれから出会う人々に恵まれますように。
今はもう、ただそれだけ。




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