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新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」12/24 観劇感想

はじめてのバレエ観劇

 パートナーがクリスマスのデートで見に行きたいということで、市国立劇場バレエ団の「くるみ割り人形」を見に行った。僕自身、四半世紀生きてきて初めてのバレエ鑑賞で正直合わないのではないかと思っていたが、見終わると、感動の余韻で言葉が出なくなるほどだった。

圧倒的プリンシパル 米沢唯さん

 僕が本当に「わぁ凄い」と心から思ったのがクララを演じたプリンシパルの米沢唯さんだ。本当に初めてのバレエ鑑賞なので正直良い悪いもわからないだろうと思っていたのだが、それでも米沢さんの踊りは別格に見えた。手・足・体のバランス・所作、すべて完璧なのだ。雑味がなく美しい。まるで精巧にプログラムされた機械人形を見ているよう、と言うと少し悪く聞こえてしまうかもしれないが、完璧な踊りとはこういう踊りなのだと感じた。その完璧さやそこから生まれる美しさに惚れ惚れするとともに、この完璧さを生み出すための無限に続いていただろう努力を想像すると畏敬の念すら覚える。人を感動させる技術とは、こういう形で、それは永遠に続くような努力によって生み出されるのかもな、と少し哲学的な感動もしてしまった。
 特に、第二幕のパ・ド・ドゥ中のソロが本当に素晴らしい。フェッテ(?)という回転技で何回も何回も高速で回り続けるのだが、ブレることが全くない。隣の席のお婆さんも「すごぉい…」と思わず声が出てしまっていた。

川口直次さんの美術

 初めての観劇で、踊りにも勿論大満足だったのが、それと同じくらい驚きがあったのが、舞台装飾の豪華さと美しさである。プロジェクションマッピングを活用した冬の街、巨大なクリスマスツリーなど、バレエの装飾はこんなにも豪華で奇麗なのかと驚嘆した。特に、第二幕の柱を表現した装飾は、ダンサーが躍るスペースを作るために柱の下部を切り取り浮かばせたような形をしているのだが、これがカッパドキアの熱気球のお祭りのような幻想的な空間の演出に貢献している。この素敵な空間を味わうために、もう一度足を運んでもよいと思うくらい、美しい世界が広がっていた。幕が閉じてしまう瞬間が本当に切なかった。

心に残った踊りの数々

 思い返すと、印象に残っている踊りがいくつもある。まずは雪の結晶の群舞。眩しい衣装に包まれたバレリーナがパサパサとスカートの音を立てながら踊るフォーメーションダンスは、まさに雪の美しさそのものだった。特に、その場面でメインを張る一人のダンサーから目が離せなかった。体の動きが凄く伸び伸びとしていて明るいエネルギーに満ち溢れている。腕が上に伸びるたびにこちらが元気になってくるような感じがした。休憩中にダンサーの名前を調べると、彼女は廣川みくりさんという方だった。今回の公演ではクララ役も演じるというやっぱり本当に凄い人だった。今回の公演が全幕主役デビューとのことらしかったので、是非これから応援したい。
 その他に、エネルギッシュな回転技がかっこよかった「ロシアの踊り」での木下嘉人さん、野性的な動きとバレエの動きを見事に融合させた「騎兵隊長」の山田悠貴さん、本当にその場で花が咲いているような花のワルツの群舞、他にも挙げれば切りがない本当に満足した部隊だった。
 今回の公演でバレエをもっと鑑賞してみたいと思えた。早速、次回の「ホフマン物語」も申し込んだし、海外のバレエも見てみたくなったので、パリ・オペラ座バレエ団の来日公演のチケットも買った。これからバレエ関係の勉強も始めようと思うので、お勧めの本や公演等があったら是非コメントで教えてほしい。


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