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ネコクインテット【ショートショートnote】

吾輩は猫である。
いや、猫を飼っている。

猫は五匹いて、五つの違う毛色で五つの違う音色を奏でる。

常日頃は茶トラがこちらを見ている。
お腹が空くと少し甘えた声で「にゃう」と鳴く。

本を読んでいると三毛猫が膝に乗ってくる。
ガラス玉のような目とピンと立てた耳はこちらを向いて、まるで私が脳内で音読しているのを聞いているかのようだ。じっと動かないがしっぽだけがパタパタと規則正しく音をたてている。

白猫と黒猫は一対で、白猫が明快な三拍子を奏でると黒猫が割って入って低音をあわせ、黒猫が恐ろしい唸り声を響かせれば、白猫はそれをなだめるような優しい声で歌う。

もう一匹は真っ赤だ。
最近は滅多に姿を見せなくなったが、時折本棚の影から尻尾がちょろりと見えたりする。そちらから暖かい空気が流れてくるので、傍にはいるのだと感じることが出来る。

赤はエネルギーの塊で、ともすると荒々しく弦を打つ。
五匹目が一番私に似ている。
いや、どの子も私に似ている。
私そのものだ。
私の中でネコクインテットが鳴っている。

私は猫を飼っている。
いいえ、吾輩が猫である。

(455文字 削れたかも)

こちらに参加の作品です。410文字超えたけど(;^_^A

https://note.com/tarahakani/n/n9d7abeb5af27




ペンギンのえさ