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アナログ巌流島【ショートショートnote】

「負けた!」
将司はコントローラーをソファーに投げ出した。
「おい、それ高いヤツなんだぞ。気を付けろよ」
小太郎が勝ったのも当然で、これは彼の家のゲームだから相当やり込んでいる。

同級生の佐々木小太郎と宮本将司が仲良くなったのは、互いの名前きっかけで、故に遊びは常に勝負事だ。
「将司って本当、ゲーム弱いよな」
「剣道なら負けないから。」
いつもこんな調子だ。

そんな二人が一人の少女に恋をした。
今回も正々堂々と真剣勝負である。
将司は優しさ・面白さの二刀流。小太郎もツンデレ燕返しの技を繰り出す。
己の良い所をアピールしたり、高価なプレゼントしたり、彼女の気持ちポイントを競り合っていく。

ある日、二人に彼女から呼び出しがあった。
勝負が決まるのだ。

彼女は言った。
「あのさ、二人とも本当に私が好き?
私のこと見えてる?
本当は勝つことが大事なんじゃない?
私平賀君と付き合うことにしたから。」

デジタルな数字じゃないよ、恋はアナログ巌流島。

<了> 405文字




ペンギンのえさ