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戦力外通告                ――画像しりとりはじめました(#130)

(#129) 下呂温泉→「せん」→戦力外通告

11月2日、のぼりべつクマ牧場は、ビッグ・ベア・ボス(通称BBB)選手との来季の契約を結ばないことを発表した。

BBB選手は、牧場ファーム随一のベテランで、15年という長きにわたって牧場ファームを支えてきたが、近年ではそのパフォーマンスにも衰えが目立っていた。今年に入ってからは往年のキレを出せずじまいの日も多く、各種ショーやCMも若手ヒグマの後塵を拝する機会も増えてきている。

なお、本人は現役続行を希望し、今後は他牧場ファーム、動物園等のオファーを待つ、としている。

「北海道熊新聞」11月2日朝刊より


哀しス(T_T)。あの、北海道ローカルとはいえ、いや北海道ローカルだからこそ、北海道民は老若男女問わず誰もが目にして明日への元気をもらっていた伝説のヒグマ、ビッグ・ベア・ボスが戦力外通告を受ける日が来ようとは……(*´Д`)

それではここで、往年のBBB選手の勇姿をご覧いただこう。

このキレッキレのイェーイポーズがもう見れなくなるとは(*´Д`)。

そして、これがシロクマくんからの連絡がつかなかった理由だったのだ。

聞けば、携帯電話もすでに解約しているという。仮に、連絡がついたとしても、シロクマくんに北海道の湯治に良さげな温泉を紹介、なんて余裕は一切なっしんぐだったのだろう。

私は肩を落としたその後ろ姿にかける言葉が見つからなかったが、意を決して話しかけてみた。

「お久しぶりです」

「おお、松平くんじゃないか。久しぶりだねえ。元気だったかい?」

返ってきた声のトーンは意外にも明るかった。いや、もしかしたらそれはカラ元気だったのかもしれない。

「聞きました」

「あ、そう(笑)。いやあ、やっぱトシには勝てないよ。クマ牧場うちは若手もグングン育ってるしね」

「いや、でも、まだまだやれますよ」

「ん、そうかい? そうだな……本音を言えば、まだまだやれる気はするんだよなぁ」

クマ牧場を支えてきたベテランのヒグマはちょっとだけ嬉しそうに口角を上げ、それから視線を宙に漂わせた。言葉とは裏腹に、その眼にはある種の諦観めいたものが見てとれた気がして、私は無性に悲しくなった。

「そういえば、シロクマくんがよろしく言ってましたよ」

今しがた感じた寂しさを払拭するかのように、私は話題を変えた。

「おお、そうか。元気でやってるかい、あいつ?」

今日一番の笑顔がはじけた。
さすがに下呂温泉で酔いつぶれてゲロってる、とはなかなか言い出せなかったので、とりあえず元気にしてる、ビッグ・ベア・ボスせんぱいに会いたがってましたよ、と当たり障りのない近況だけを伝えた。

「なつかしいなあ。そうだな、アイツんトコでもいいかもなあ」

「アイツんトコ?」

「ほら、アイツ、確か5年前くらいから旭山動物園(*1)に金銭トレードで移籍してただろ」

*1:旭山動物園:北海道旭川市にある市営の動物園。日本最北の動物園であり、動物の自然な生態を見ることができる「行動展示」に力を入れている。

(・_・)タラァ
……なんだ、シロクマくん、そもそも現在、北海道在住ぢゃないか。
だったら、なんでわざわざ下呂温泉まで湯治に行ったんだ?旭川からなら、それこそ、ビッグ・ベア・ボスがいるクマ牧場の目と鼻の先に登別温泉があるぢゃないか。

「どうした?」

「え? あ、いえ」

BBBは、破顔一笑、私の肩を叩きながら声を出して笑った。

「冗談だよ、冗談。さすがに今年オープンしたばかりのトコにワシのようなロートルの居場所はないよ」

どうやら、シロクマくんの謎行動を思い出し戸惑ってる私を、旭山動物園への移籍を本気で画策している無謀極まりない自分に対する不安視と勘違いしたみたいだ。

私の沈黙の真意は隠せたが、旭山動物園への移籍を最初はなから到底無理と諦めているベテランパフォーマーの物言いに、それはそれで寂しいものを感じた。

確かに、旭山動物園の「えぞひぐま館」は今年の春にオープンしたばかり、実際問題として、彼のような戦力外通告を受けたベテランが入園できるような余地はないだろう。

「さて、と。じゃあ、ワシ、そろそろ行くわ。こう見えても、次の居場所を探すのに忙しいんでね」

BBBはやおら立ち上がると、いたずらっぽくウインクしてみせた。
こうして立ち上がると、さすがにデカい。その威容は、肩を落として俯いていた10分前とは別熊のようだ。なんだか、このまま例のCM撮りのセンターを務められるんじゃないか、本気でそう思える。

「また、会えますよね!」

威風堂々と去っていくその後ろ姿に、私は思わずそう叫んでいた。

ビッグ・ベア・ボスは、四つん這いの姿勢から振り向きざま立ち上がると、軽く手を振り、それからぎこちない手つきで耳元に受話器ポーズを作って明るく答えた。

「もちろん! 落ち着き先が決まったらまた連絡するよ。また、見に来てくれよな!」

最後に今一度力強く手を振り、歴戦の勇者は再び歩み始めた。
今度は振り返ることなく、一歩一歩、力強く大地を踏みしめながら。

次第に小さくなっていく後ろ姿が見えなくなるまで、私はその姿から目を離すことができなかった。
戯れに叩かれた肩が抜けそうなくらい痛かったが、その痛みは彼の力がまだまだ衰えていない証に思えて、むしろ心地よかった。

まだまだやれる。きっとやれる。

ついに視界から彼の姿が消えたのを確認して、私も踵を返した。
なにかしら彼から勇気と闘魂を注入されたようで、背筋がシャンと伸び、心の中にも清々しい風が吹き抜けたようにスッキリしていた。

そう、大丈夫。このまま終わるわけないじゃないか。

私は、BBBが乗り移ったかのように一歩一歩、力強く大地を踏みしめて歩きながら、ふと思った。

――連絡するって言ってたけど、ケータイ解約したんじゃなかったっけ?
(・_・) 



さて、文中に登場するシロクマくんて誰?(・_・)?
――と、もし興味を持たれた方で、時間と余裕がある方におかれましては、コチラをご参照いただければ幸甚に存じますm(__)m


ここで、今日の一曲。キーワードは「戦力外通告」ということで、
今週の1曲目、丸山みゆきで、『FIRE

英語の「fire」には、動詞で「解雇する」って意味があるのと、曲自体は非常に前向きでビッグ・ベア・ボスの今後に大きなエールを送りたい、そんな気持ちを代弁する曲でもある( ̄∀ ̄)♪

ちなみに、この曲はドラマ『スクール・ウォーズ2』の主題歌。
また、この曲の原曲はロック・オペラの鬼才、ジム・スタインマンが曲を書き、ミートローフが歌う『Out of the Frying Pan (And into the Fire)』。

タイトルは英語の諺で「フライパンから飛び出して火の中へ」即ち、日本でいう所の「一難去ってまた一難」というヤツである。
ロック・オペラなので少々長いが(^^ゞ💦、たいそう聴き応えのある楽曲である(o^-')b♪

「一難去ってまた一難」というタイトルは「戦力外通告」を受けて一度死んだ漢が蘇るストーリーにも相応しいと言えそうだし( ̄∀ ̄)♪

おっと、今宵ももうこんな時間だ。とりあえずシロクマくんに報告だ――BBBは元気だぞ!と(o^-')b♪

そんなこんなで、
明日も、なるべく多くの人が、一度や二度ダメ出しをくらっても、めげずに立ち上がれるような力強い一日でありますよう💪


■ おまけ

いつもだと、ここで画像しりとりの「しりとり元」となる前日の記事の紹介を入れているのだが、今回はすでに上記で出しちゃってるので(^^ゞ💦

せっかくだから、旭山動物園にこの春オープンした「えぞひぐま館」をはじめとした旭山動物園の雰囲気がチラッとわかるTV番組のひとコーナーをご紹介☆

旭山動物園ご自慢の「行動展示」のもようが垣間見られるのと同時に、「ヒグマと人間との距離感」という、北海道に住む者はもちろん、ひいては総ての人に知っておいてほしい重要なメッセージが、さりげなく入りこんでいる貴重な10分強だ。

今回もトータルしてくだらない殴り書きに終始している記事本文は差し置いてでもご覧になってほしい動画である。



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