うつ病の夫と年子育児しながら働く私が正社員登用されるまでの話3〜守るものとは〜

夫がうつだと気付いた時

はっきりとした気持ちは覚えていないけれど、多分ものすごく複雑な気持ちになったと思う。

夫が布団から起き上がれないぐらいになった時は、とにかく心配だった。本当に、寝たきりみたいなもので、「布団にはいるけどスマホでゲームして遊んでる」みたいなこともなく、何にもしない、できないのだ。それって、本当に重症だよな、と。遊べる気力が戻ってほしい、と心から願っていた気がする。

幸か不幸か、私はその頃育児休暇中で、復帰まであと一ヶ月くらいだったと思う。なので、特段忙しいわけでもなければ暇でもなかったので、家事と育児をしていればよかった。これが、復帰したてだったり、もしくは子供がいなくて二人暮しだったら、もっとしんどかったかもしれない。

でも、私は夫が好きだったので、とにかく心配だった。元気になってほしかった。してあげられることは何でもしてあげたかった。支えたいと思った。

うつの夫を支えたい!はキケン?

私はもともと、人助けをしたくてたまらないタイプだ。夫がうつになったのだから、助けてあげたかった。支えたいと思っていた。

でも、その考えはキケンだ。

何がキケンかって、夫の重みを、病を、人生を、「私がなんとかしてあげなくちゃ」という気持ちになってしまうからだ。そしてそれは、予想以上にしんどいし、下手すると共倒れする。だって、うつってそう簡単に治るものじゃない。(現に、私の夫もとてもよくなっているものの、まだ投薬治療中である)

それに、支えたいと思っていたけど、自分ができることなんて本当になかった。当たり前だが薬も投与できないし、声掛けなんて本当に難しい。(頑張れ、と言わないこと、というのは有名だけどそのとおりだと思う)夫にだけ目を向けていると、元気がなくて心配で、辛くなってしまう。毎日「今日はご飯食べられる?」と聞きたくなってしまう。「死なないでね?」と約束したくなってしまう。とても辛かった。実際に、何もできなくてごめんね、と泣いてしまったこともあった。

そして私は、「夫を支えたい」と思うことを辞めた。「私が支えるのは夫だけではなく、家庭である」と、視点を変えてみたのだ。 

家庭を守ることで、夫を守る

子どもたちが不安にならないように。「お父さんは具合が悪くて寝てるからね」という気遣いはあれど、母たる自分は平静にいつも通りに過ごす。ご飯を作る。一緒に遊ぶ。たまには…結構、自分の息抜きもする。

夫がご飯を食べられそうなら、一緒に食べる。元気そうなら嬉しいよと伝えるし、辛いとこぼせば心配しないで、と伝える。見守る、寄り添う。でも、アクティブには向かわない。

夫は、すごく自分を責めていた。ごめんね、ごめんね、と何度も言っていた。そのたびに私は泣きそうになったけど、「なにが?」「生きててくれればいいよ」「大好きだよ」と伝えた。

私が、「大丈夫?」「心配だよ」「何もできなくてごめんね」と伝えれば、その度に彼はまた自分を責めてしまうと気付いた。そして、彼の「ごめんね」を吐き出せなくなってしまうとも。

私がすべきことは、一緒に嘆き悲しむことではなく、彼が安心して過ごせる場所を守ることだ、と気付いた。そして、夫を支えようと頑張るのではなく寄り添うこと、必要なときには「あなたがいるだけでいいんだよ」と伝わるようにすること。

この2つは、後に夫の主治医にも褒められた。

自分を守るために

それでも、夫がうつだというプレッシャーは凄まじい。上記のように、安心できる家庭を守ることが役割だと気づいても、それを維持するのはやはりかなり強い気持ちが必要だったし、何度もブレた。

だから、私は自分を守るために一つの策を講じた。

現在の状況を包み隠さず、両家両親に伝えたのだ。

パートナーがうつ、という情報を漁りまくった中で、「絶対自分だけで抱えるには重すぎるので、両家両親、近所の人にオープンにした」と書いてあるものを見つけた。

私は、これはすごく有効な手段だと思っている。なぜなら、2つ目の記事で書いたように、アウトプットが下手な人は、ストレスが自分に全部向かってしまうからだ。

私は、夫のうつを「恥」だとも思っていないし、両家両親も心配こそしても、そういった偏見がない人たちだと理解していた。なので私は、自分がしんどくなったとき用のアウトプット先を確保しておいた。 

両家両親も、心配こそすれど黙って見守ってくれていたし、夫に「うつなんだって?」と聞くようなこともしないでくれている。そして、私がしんどくなった時は話を聞いてくれている。それは私をとても助けてくれている。

やっぱり、アウトプットは大事だ。

思ったより長くなってしまったので、2つにわけます。次回の記事では、私がやってしまった2つの失敗について書こうと思います。


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