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機械兵団の進軍 ドラフトガイドライン 入門編

こんにちは、スギモトです!

毎度のことながら、あっという間に新セット発売の時期がやってきますね~。

前回からコピペ


前セット「ファイレクシア:完全なる統一」は、最近のセットの中でも特に苦戦しました。

タコ負け

緩いキープと曖昧なコンバットが全く許されない、クソシビアな環境が、まさに「ファイレクシアの猛攻」を感じさる良デザイン(涙目)で、ぼくはボコボコにされてしまいました。
特に後手での切り返しの型を上手く身につけられず、「先手でハメられて負け」「2ドロップないのでマリガンしたらダブマリで負け」「後半の攻め手が続かずに負け」を繰り返し、ダイヤ4層で、完成化することなく四肢切断されて脱落ウラブラスクしました…

その後、3月中盤からはエクスプローラーに集中的に取り組み、ミシック#1200以下に。4月にはプレイインBO3を一発抜けして、アリーナチャンピオンシップ予選の参加権利を初めて獲得。
初日5-2という成績で喜んでいるようではまだまだ、と思うのですが、「自分にもやれる!!」という実感と、プレイイン参加無料から1発抜けと合わせてもらえた15,000ジェムは、今後のモチベーションを向上させるに於いて、十分な成果だと感じています。感謝。

5月の予選フォーマットは「機械兵団の進軍」リミテッドということで、今まで以上に気合を入れて取り組んでいきたいと考えています!

と言いつつ「フルカードリスト発表から実装まで、今回は結構余裕があるなぁ」なんて言ってエクスプローラーやテーブルトップで遊んでいたら、プレリリースとアーリーアクセスに追い越されてしまいました…!笑

すでに強豪プレイヤーの配信をご覧になられたり、プレリリースで実際にプレイされた方も多いと思いますが、ぼくなりに環境の第一印象を書き残しておこうと思います。他の方に比べると拙いところも多いと思いますが、一つの見解として、参考になればと思います。どうぞお付き合いください。

※MTGアリーナプレミアドラフト(BO1)でのプレイを想定し、低レアリティカードを中心に取り上げていきます。


▼環境概説

「MTGに永遠の変化が訪れる」とかなんとかいう触れ込みで登場した新カードタイプ「バトル」。そして「賛助」「培養」という新メカニズム。全く新しいプレイ感が予想されますので、まずはその分析に字数を割きたいと思います。

・バトル

基本的な挙動は、既にみなさんご存じかと思いますので、割愛いたします。プレイ感は未知数ですが、「どういう使い方をするのが強そうか?どういうバトルが強いか?」というところを、ぼくなりに掘り下げてみたいと思います。

ひとまず、「中盤で、相手の削れたはずのライフをコストに、アクション数を増やすテンポカード」という見方で評価ができると思いました。

まずは前提として、クリーチャーの攻撃で「陥落」(バトルの守備カウンターをすべて取り除くことを仮にこう呼んでおきます。)させるのが基本になります。もちろん火力を打ち込む選択肢も、オプションとして常に視野には入れておきたいのですが、「削れたはずの相手のライフ」以上のコストをかけるのはやはり旨味がありません。
そして、リミテッドの常として、クリーチャーの攻撃は終盤になればなるほど、通りづらくなります。お互いに展開するクリーチャーの数が増えると、複数ブロックなどの選択肢が出てきて盤面は膠着します。

ですので、「序盤にクリーチャーをドロップした後」で、「終盤に盤面が膠着する前」の、4,5ターンあたりで使いたいアクションになります。このターンで「相手のライフを4~5点削る」こと自体の意味は大きくなく、むしろ「削ることの出来る盤面が作れている」ことが重要です。そういう盤面を作り、さらにその盤面の優位を強化する方向で「バトル」を運用してみたいと考えています。

表面・裏面の能力は様々ですが、基本的に(レアリティが低いものは)「表面は、同マナコストのインスタント・ソーサリーと比較して若干割高」な設定は共通しているかと思います。
一方裏面の能力は、表のマナコストと比較すると「割安~破格」です。それがマナも手札も使わずに、「削れたはずの相手のライフ」だけでキャストできるのです。早期の「陥落」に成功したときのテンポとカード枚数のアドバンテージは、「若干割高」だった表面を差し引いてもお釣りが来ます。

具体的に見て行きましょうか。

前述の通り、時間をかければかける程「陥落」が難しくなりますし、「アクションを増やす」カードですので、「なるべく早く唱えて、かつそのターン中に『陥落』させる」のが理想です。
まず2ターン目にパワー2、3ターン目にパワー3をプレイできていれば、4ターン目にキャストしたバトルの守備カウンターを、5つまでなら削りきれます。もちろん相手もブロッカーを出してきていると思いますが、それを何らかの形で突破手段を与えるのが、「強いバトルの表面」だと思います。

仮にお互いパワー2とパワー3を並べ合った先手4ターン目、《最期の一花》《アズゴルへの侵攻》を打ち込む2行動からコンバット。《アズゴルへの侵攻》を「陥落」させれば、ちょうど「削れたはずの相手のライフ」5点“だけ”を使って《灰の死神》を盤面に作ったことになります。マジックの常識では起こるはずのない3行動目、もはや無から有が生成されています。

こういう動きが、バトルを使う上での理想でしょう。

逆にこういう即「陥落」でテンポを取れるような展開にならないと、「陥落」のためにある程度の犠牲をはらった割に裏面が活躍しなかったり、割高な表面を使うだけになってしまいかねません。

また、入れすぎにも注意です。さすがに1ゲームで3回も4回も脇道にそれるアタックを続ける訳にはいきませんので、1ゲームに多くても2枚の設置にとどめておきたいように思います。1枚目で得たテンポの優位はターンが進行するほど収束していきますので、その前にゲームに決着をつけましょう。

①表面が4~5ターン目の盤面に対して、インパクトのある行動であること
②4~5ターン目に『陥落』させられるだけのクリーチャーを、バトルの前に展開できること
③バトルを連打しないこと

この3点が、バトルを使う上でのスタート地点だと思います。プレインズウォーカーのようにただ強いカードではなく、デッキ全体を整えて、うまく活用する必要がありますね。
(盤面に触れない表面能力を持つ「バトル」については、「陥落」を目指さないことも視野に入れて運用すべきではないかと感じます。)

《アズゴルへの侵攻》に加えて、このあたりは①を満たすカードとして、結構注目しています。いずれの表面も、カードアドバンテージ自体は得られていませんし、通常のマナコストとしては1~2マナの行動で、かなり割高です。が、自分自身で盤面に少なくない影響を与えることができ、「即陥落」の動きに貢献します。そして裏面は、相手に即対処を迫る強力な能力を持つ脅威です。4ターン目の行動としては、かなりバリューが大きいのではないでしょうか。

5マナまで見ると、シンプルに除去として機能するものもあり、これらも使用感はよさそうです。特に《ムラガンダへの侵攻》は、表面が4マナの強力カード《弱者狩り》相当。守備6という数字も、クリーチャーのサイズが上がることを踏まえると妥当で、強そうに見えますね。

こうしてみると、普通の除去として見ても及第点である《タルキールへの侵攻》《イニストラードへの侵攻》が神話レアなのも納得。初手級かなと思います。

各ドラフトブースターに必ず1枚のバトルカードが封入されるとのことなので、8人ドラフト1卓には24枚のバトルが出ます。「バトル」のレアリティはアンコモン以上ですが、特に強いアンコモンとの遭遇率はかなり高いのではないかと思います。

こうした「バトル」への備えとして、まず誰でもできるのは、「バトル」を守る側も2、3ドロップを確実に展開すること。4ターン目に相手から「バトル」がキャストされるかどうかは不確定ですので、何か特別なカードを採用するのではなく、リミテッドで当たり前に強い行動を堅実に取るよう心がけましょう。ブロッカー2体を突破して4~5の守備カウンターを削るには、攻める側も多少無理をしないといけません。

最近のセットと同じく、2マナクリーチャー6枚、3マナクリーチャー5枚をひとつのドラフティング目標と考えています。
加えて、「確実に」展開するためには、色マナの問題も軽視できません。今回の基本土地枠には2色土地が含まれていますが、スムーズな展開のため、安易な多色化は避けたいですね。

最後に、これが一番「バトル」関連で難しそうなところですが、自分が先手の場合、例えば4ターン目に気持ちよく全力アタックすると、相手に返しで「バトル」設置から即「陥落」される可能性があります。《キセレスクへの侵攻》で自分の4マナクリーチャーがバウンスされて3/3飛行が出て来ようものなら、先手後手がほぼ逆転してしまいます。

5ターン目にさらにそれを切り返す動きが用意出来ていればよいのですが、(それこそ《ウルグローサへの侵攻》など…)なかなかそうはいきません。
ケアしてアタックを我慢すると、それはそれで先手の利をみすみす手放してしまうことにもなりかねないので、なかなか難しいところ。

後程語る「召集」との兼ね合いもあってか、「警戒」が白を中心に多めに収録されています。こうした「警戒」持ちクリーチャーの評価を上げたり、自身のクリーチャーをアンタップする《機械蜘蛛の順応》を利用するなどして、「バトル」を巡る攻防を効率的に制したいですね。

革新的なカードタイプですので、かなり字数を割いてしまいました。残る能力も見て行きましょう!


賛助

他のセットでも白や緑によく見られる、+1/+1カウンター(以下「+1カウンター」)を任意の対象に乗せる、クリーチャーのETB能力です。キーワード能力になることで+1カウンターのおまけに、そのターン中、自分の能力(おもに戦闘に関わるもの)を、カウンターの乗せ先にもシェアできるようになりました。
「賛助」持ちは、自身のサイズが一般的なマナレシオから-1/-1されています。乗せ先には自身も選ぶことが出来るので、自分に乗せたときにぴったり1人前、ということですね。

このことから、スタッツを「前借り」できる能力だと言えます。
2ターン目に2/2の《雪花石の徒党の聖別者》をプレイ、3ターン目に2/2に賛助1を持つ2/2《印章持ちの歩哨》をプレイして、+1カウンターを《聖別者》に乗せて3/3にすると、2ターン目の行動を実質3/3キャストに書き換えられる代わりに、3ターン目の行動は実質2/2キャストという少し弱い行動になってしまいます。「前借り」した分、3ターン目の行動にツケが回って来るわけですね。

この「ツケ」を返さない方法があります。そう、4ターン目も賛助で「前借り」するのです!

ジェットストリーム賛助

極端な話、ゲームが終わるまで毎ターン賛助持ちを展開して殴り続ければ、「ツケ」は踏み倒し続けることができ、1回目の「賛助」で得た「前借り」分をまるまる得できます。
実際はそう上手くいくわけではないでしょうが、「『賛助』と書いたカードをかき集める」ということが、ある程度肯定されることは重要だと思います。特に赤白は賛助を生かすアーキタイプとして設定されています。


培養

なかなか評価が難しいです。

まず「培養」自体は、結構ライトなおまけとしてついてくる能力のようです。《本質の同化》や《衝撃的な啓示》は最初にテキストを読んだときに「え!?スカってもトークン出るの!?」とびっくりしましたが、確かに培養器トークン自体は、2マナ払って変身するまで盤面に対してほぼ影響しません。例えば、《ギタクシアスの眼》はおおよそ5/3/3+1ドローとして評価することになります。《衝撃的な啓示》は、4/3/3+ピーピングですね。

昨今のリミテッド環境は、序盤∼中盤の盤面の取り合いが非常に重要で、それはここまで述べてきた「バトル」「賛助」をふまえると、今回も変わらない傾向だと思います。その中で、2マナの支払いは軽いとは言えないでしょう。トークンを量産して複数回発生させるような行動をとると、変身させるたびに、相手とのテンポ差が開いていくことになります。(後述しますが、このあたりは他の「変身」カードも同じですね。)
しかもそれはトークンクリーチャーですので、変身後にバウンスで処理されようものなら、目も当てられません。「賛助」と違って、「培養」と書かれているカードを集めれば集める程いい、というわけではないと思われます。

複数枚採用する場合は、変身用の能力を持ったカードを採用しておきたいところ。

あるいは、前述の通りライトなおまけですので、黒赤で生贄用のアーティファクトにしたり、緑白なら「+1カウンターが乗った」という現象だけが活用されることもあるでしょう。
また、今回インスタントの除去カードも多くあります。それらと変身の2段構えで相手にゆさぶりをかけられる、というところも、あるいは強みにできるかもしれません。「マナコストを2+Xに分割できる」と考えると、余ったマナを無駄にしづらく、逆にテンポの獲得に貢献できる可能性もあります。

個人的には、現段階であまり評価はしていないものの、「バトル」と同等以上に使用感が読みにくい能力です。各色ごとに適した活用方法を、柔軟に判断すべきだと考えています。


召集

一番最初に収録された「ラヴニカ:ギルドの都」では緑白のギルド・セレズニアが持つ能力でしたが、今回はなんとカラーホイールの正反対に位置する青赤を中心とした能力として収録されています。青と赤に1/1のエレメンタルを出すスペルも割り当てられていますね。

「バトル」「賛助」で攻撃側優位が続くのではと書きましたが、「召集」は防御側がよりうまく使える能力です。ブロッカーとして立てたクリーチャーをコストにしてアクション数を増やし、手数差を逆転することができます。

コモンの中では《経時的浄化》《いかづち頭の戦隊》がソーサリータイミングのアクションなのは少し残念ですが、白の《割込み》は本来のプレイタイミングもあいまって、かなり有用な「召集」スペルだと思われます。(《機械蜘蛛の順応》でかわされないよう注意!!)

青赤が中心と書きましたが、白には《新たな連合の騎士》など、「召集」で使ってくれと言わんばかりのクリーチャーもいます。白は「賛助」で殴りまくるだけでなく、面展開から「召集」でいなし、全体強化で〆るようなアーキタイプも組めそうですね。「バトル」の項でも書いたとおり、「警戒」はかなり重要な能力になりそうです。

メカニズムとしては、ざっとこんなところでしょうか。


サイズ感など

スタッツとしては、今回も4マナ以降の上昇は緩やか。コモンで4/4/4は《食らいつくカヴー》のみ。5/5/5や6/6/6はいません。とはいえ、各色に「基本地形サイクリング」を持った6,7マナ域配置されており、ある程度ロングゲームを戦ってほしそうな意図も見えます。

コンバットトリックは、「バトル」の「陥落」を意識してか、パワーだけが上がるものが多め。《ザルファーの形成術》は、神河にあった《装身》と違い、タフネスへの書き換えが3と少し危なっかしいですが、カード枚数の損なく「バトル」の「陥落」をサポートすることができるので注目したいですね。
一方でタフネスを上げての除去避けは多少しづらくなります。最近流行の破壊不能系は白の《天使の介入》と黒の《刃の鉄扇》。青の呪禁は《サイバの暗号術師》が瞬速・賛助で担っています。いずれも2マナ。

何度か名前を出していますが、《機械蜘蛛の順応》も環境のキーになりそうです。

除去が「強く」「多い」のは重要なトピック。セット全体で見ると、【団結のドミナリア】以降では一番強いんじゃないでしょうか。ゲームスピード落とすと同時に、「バトル」と「賛助」の強さに下方修正をかける要素だと思いますので、このあたりも実際のゲームの中で確かめていきたいですね。

割と使いやすいものたち。インスタントが揃っているのも大きいですね。


▼各アーキタイプについて

コモンの平均点が高く見えるのは、白と赤。黒はスペルが相当充実しているものの、クリーチャーの質が1段落ちるのが気がかり。青は、青単体というより白青。緑は今回もサイズのエッジを少し下げられているのに加えて、メカニズム回りも若干割を食っており、物足りなく見えます。
注目度の高い白から順に見て行きましょう。

・白青

白の質のいい脅威を効果的に生かせる白青騎士は、環境の攻防を規定する存在になれそうです。

今回の「2マナ一生止まらなくて負け」枠の《剣誓いの騎兵》、「賛助」によるサイズアップの恩恵が大きい《雪花石の徒党の聖別者》から、3マナ《印章持ちの歩哨》に繋ぎます。ここまで散々書いてきましたが、「警戒」による隙の無さは、先手はもちろん、後手からの反撃にも有効で、序盤∼中盤戦に地上戦のキーになるクリーチャーではないかと考えています。青の《羽づくろう勇者》の持つ「3/2/2飛行+トークン」という能力は、過去のセットでも堂々トップコモンを張ってきました。

そこから繋ぐ4マナの《ボーラ投石手》《儀礼の騎士》でブロッカーを押しのけて攻めを継続。最終的には飛行に「賛助」を重ねて点で攻めるもよし、横に広げて《鼓舞する突撃》でもよし。「警戒」+「召集」でアクション数を増やされると追いつけません。

2パターンの攻撃戦略を持ち、各マナ域に厚みがある。卓の許容量が多くなりそうですし、まずはここからドラフトを始めてみると、大崩れすることはないのでは。


・赤白

序盤の横並べが《羽づくろう勇者》から《ラルの援軍》に変わってしまうのが残念ですが、3マナ以降の「賛助」のシナジーがより強固になります。また、赤のパワー上昇や「バトル」攻撃時の強化能力などもあり、「バトル」を「陥落」させる攻撃力は上がります。

「賛助」強化で一点突破する戦略は、豊富に用意された単体除去で止められると”ツケ”の方だけが残ってしまいますので、適宜面攻めでのリーサル狙いにシフトしていくことも必要そうです。

そういう意味でも《ケイレムへの侵攻》の裏面や、「賛助」を拡げられる《鏡の盾の重装歩兵》は強力です。アンコモンのマルチカラーから入るとよさそうに感じます。


・白黒、緑白

白黒に据えられているキーワードはファイレクシアン。とはいえコモンでのシナジーは薄く、アンコモンも「培養」が絡んだものが多いです。固執しすぎない方がよさそうに感じます。
鍵になるのは、培養器を変身させるサボタージュ能力を持った《注意深い空守り》でしょうか。「培養」トークン量産で地上を固め、豊富な除去でこじ開けた上空を攻める、という動きができるかどうか…

 《注意深い空守り》からのラインは、むしろ緑白の方が魅力的かもしれません。t4《改宗獣》で「培養5」のトークンを生成してから《注意深い空守り》の攻撃を通す動きには、代え難いインパクトがありますね。
そんな緑白に割り当てられているのは+1カウンター。同じく4マナの《食らいつくカヴー》も頼もしいサイズです。これらの「賛助」持ちを展開して、2マナのアンコモンマルチ《植物の喧嘩屋》を育てるのが基本の動きでしょう。前掲の4マナのバトル《モアグへの侵攻》も強い部類のバトルだと考えていますので、赤白と同じくマルチカラーアンコモンをピックの起点にしたいですね。

赤緑

キーワードはバトル。「バトルを攻撃しているなら」アタッカーの能力が強化されます。2/3/3トランプルや3/3/3破壊不能、4/8/3威迫ができるこの修正値自体は、非常に魅力的です。一度バトルが設置できたら、「陥落」させる可能性はかなり高まるでしょう。

…なのですが、「バトル」の項で述べたように、あまりたくさんの「バトル」をデッキに入れることが肯定し辛いように思います。となると、まず設置自体が不安定ですし、加えて、出したバトルはできるだけ1度で陥落させたい。ということは、ゲーム中にその能力が発動するのも1回きり
つまり、ほとんどの局面において、この能力は無いものとして考えざるをえないかと思います。

とはいえ、それを差し引いてもスタッツ的に大きな不満があるわけではないので、多少バトルが落としやすいグッドスタッフとして振る舞うことになると思います。
赤白のときには触れませんでしたが、《カーサスの深淵守護兵》を「賛助」するラインは、成立すれば先手後手関係ないイニシアチブが取れそうなので、期待したいですね。

・ 黒赤

キーワードはサクリファイス。前述の通り安く出てくる培養器トークンを、生贄に使うことができます。

とは言ったものの、このカラーの一番の魅力は豊富な除去でしょう。今回は能力の誘発も「生贄に捧げたとき」ではなく「このターンにクリーチャーかアーティファクトが墓地に置かれていたら」なので、シンプルに除去を乱射する動きを後押しします。バトルの例に挙げた《アズゴルへの侵攻》を絡めた早いターンのアクションが魅力的。ある程度詰めたら、生贄ギミックを絡めたドレインでとどめを刺しましょう。

除去デッキの常として、面展開に対する弱さは気になりますが、「賛助」の点攻めには強く、十分に上位を狙える注目のアーキタイプではないかと思います。


・青赤

前述の通り「召集」の色。トークンの横並べが充実しているのですが、肝心のそれを後押しするカードが足りません。本セットに、赤のいわゆる"ラッパ"=自軍全体のパワー修正が収録されていないのは、大きな痛手だと思います。

また、そもそもの色の性質から、青赤はあまり「召集」に向いていません。白青は地上のブロッカーを残して飛行で殴るため、戦闘後~相手ターンにアンタップ状態のクリーチャーを残しやすい構造になります。一方で、赤は飛行の数、ブロッカーの質ともに白に劣りますので、そういった戦略がとりづらい。
代わりに、除去と高いパワーを活かして「スペルでどけて全軍突撃」というのが青赤の基本。このプレイパターンが、どうしても「召集」とはミスマッチになってしまいます。これは本セット云々よりも、マジックのカラーパイに端を発する問題ですね。白より「警戒」持ちも減るので、もはやどちらが召集の色か、怪しくなってきました…。

無いものねだりをしてもしょうがないので、《呪文槍のケンラ》を中心とした果敢&トークンアグロとしてふるまうことになるのでしょうか。いや、だからラッパが無いんですって。トークンをブロッカーに、除去とドローのコントロールデッキ?どれだけまとめられるか…。


・青黒

キーワードは切削。直接のボーナスはゼンディカーの夜明け「ならず者」のように、「相手の墓地枚数が8を超えたら」ですね。とはいえコモンでは《探検隊の見張り》と《終身油唱師》程度で、そこまで強力とは言い難いかと思います。

お互いに切削する動きを繰り返しながら、自分は墓地から任意のカードを選択してプレイするような能力が多いので、これを繰り返して終盤のドローの質を上げていくような動きができるかと思います。培養器も多いので、いかに消耗戦に持ち込むかですね。除去の多さは好材料です。
低マナ域の質はやはり白や赤に及びませんので、ドレインを絡めての延命を目指しましょう。


・緑青、黒緑

キーワードは緑青が変身。黒緑が培養器。
変身パーマネント自体はバトル、培養器以外にも、マナを注ぎ込んで変身させるカードがコモンに複数用意されていますが、本当にテンポの悪さが致命的です。
両面カードの「2マナでキャスト、3マナ+ファイレクシアマナで変身」という動きはキレイですが、バウンスを含めた除去1発でなかった事になります。そこにバトルが絡んでいたりすると本当に最悪。テンポ差を埋めることはかなり難しいでしょう。
白い《注意深い空守り》の力を借りたくなりますが、前述の通り多色化のリスクも無視できません。この色をやることになった場合は、素直にグッドスタッフで戦うことになるかと思います。

まとめると、10種の強さはこんなイメージでしょうか。

本命:白青、赤黒
次点:赤白、緑白
下位:白黒、青黒、青赤、赤緑
辛い:黒緑、青緑

▼コモン・アンコモンTier表

コモン

基準はおおよそ以下の通り

S:初手級!?あるだけ入れる!?
A:~5手目くらい、2枚欲しい
B:~8手目くらい、1枚あるといい
C:1周期待、数合わせ
D:入れない
ランドはまぁ、適宜。

https://tiermaker.com/create/common-march-of-the-machine--15303872

アンコモン

各帯のコモンより優先

https://tiermaker.com/create/uncommon-march-of-the-machine-15303872


▼おわりに

以上です。

とにかく「バトル」と「培養」の使用感が未知数ですので、わかりやすくパーツが揃っていて想像しやすい白系テンポと黒赤除去が、環境序盤は人気を集めるのではないかと思います。
そこから研究が進んで、台頭してくるアーキタイプがあるのかどうか、楽しみですね。

コミュニティにスペシャルサンクス。(いつもの)
ぼくも参加している、リミテッド中心のDiscordサーバーです。
ご無沙汰気味ですが、今回はしっかりお世話になりたいですね!

チャットでは7勝のデッキを共有や意見交換をしていますので、楽しいドラフトライフのお手伝いができるのではないかと思います。気軽にJoinしてくださいね。

じつは毎回書いているドラフトガイドラインは「入門編」「中間報告編」「完成版」の3部作を目指しているのですが、最近はやりこみ不足で入門だけ書いて終わることがデフォルトになりつつあります…笑 今回は頑張るぞ!また!


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