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ファイレクシア:完全なる統一 ドラフトガイドライン 入門編

こんにちは、スギモトです!明けましておめでとうございます!笑
毎度のことながら、あっという間に新セット発売の時期がやってきますね~。

前セット「兄弟戦争」は、取り組みはじめるのが少し出遅れたのですが、まことしやかに囁かれる「赤アグロが強いらしい…」という噂を確かめるところからスタート。なんせ事前の予想として、「赤は明確なルーザーカラーという第一印象です。」と語ってしまっていたので、正直かなり驚きましたね!!笑

はじめてみるとタネは意外と単純で、「5マナ以降のインパクトを高めるために、4マナを弱くしている」という読みでしたが、そもそも5マナ以降も弱く(試作の完成品版が重く)、低マナ域のビートが継続しやすい環境が用意されていました。
「頭でっかち(高パワー・低タフネス)が多くて殴りにくそうだなぁ」と思っていた低マナ域のクリーチャーたちは、逆に先制攻撃や破壊不能を付与するコンバットトリックでのバックアップが強烈で、2~3マナ上の相手にも涼しい顔で殴り続けられる逸材揃い。プレイ感としては「ニューカペナの街角」が近かったですね。「サイズの上昇が緩やかなセットはアグロ有利。2マナ域のパワーと先制攻撃に注目!」で、覚えておこうと思います。

なんかだいたい同じ

12月後半から年末の繁忙期に入って、ランクマッチに最後まで取り組めなかったことは心残りですが、完走回数も最近のセットでは多め。店舗のゲームデーでのドラフトでも優勝できたりと、エンジョイすることができました。

その後1月は、パイオニアのテーブルトップでのプレイに重心を置いていましたが、2月は新セット「ファイレクシア:完全なる統一」のドラフトに力を入れていきたいと思います。

プレリが本日、なぜか発売も本日ということで、またも駆け足になりそうですが、第一印象を書き残しておこうと思います。
最近は配信者さんを中心に、多くの方がすごいスピードで環境予測をされていますね。他の方に比べると拙いところも多いと思いますが、一つの見解として、参考になればと思います。どうぞお付き合いください。

※MTGアリーナプレミアドラフト(BO1)でのプレイを想定し、低レアリティカードを中心に取り上げていきます。


▼環境概説

第一印象としては、「ピックムズそうすぎわろた」

主なキーワードとして、毒性・堕落・増殖・油カウンターがありますが、それぞれ単体では中途半端な能力です。
毒カウンターを与えるカードがなければ、「堕落ー」に続く文章はフレーバーテキストになりますし、増殖も、増やすカウンターがなければ空回り。一方で、中途半端にしか集められなかった毒性持ちは、堕落や増殖がなければ通常のクリーチャーと何ら変わりがありませんし、油カウンターを置けても、それを活用する方法がなければ、ダイスを用意するだけ時間の無駄です。
加えて「ただその単語が印刷されたカードを集めよう」というだけでも不十分。増殖や堕落は、ゲーム中盤以降に力を発揮するカードなので、マナカーブの意識も大切です。カウンターを置くカードを先にプレイできていないと、《実験的占い》は「増殖のついた《予期》」ではなく「《予期》」です。

「なんかだいたい同じ」にしてはいけない

これらの能力を「インクの染み」にしないドラフトピック・デッキ構築というのが、最初の関門になりそうです。
「能力がないとしても十分なスタッツ」と言うのは簡単(で、実際そう言うこともできるとは思うの)ですが、相手だけが能力を有効に使っている状態では、ゲーム開始の時点でハンデを負ってしまうことになります。そうならないよう、ピック・構築の段階で、しっかりとデッキの一貫性を作っておきたいですね。
そのためには、大味な点数表による優先順位付けだけでは不十分。「白黒ではAランクだけど、白青ではC」というようなカードがたくさん存在しますので、アーキタイプごとに必要なパーツをしっかりと整理しておきましょう。

クリーチャーのサイズに話を移すと、ここ1年のセットではかなり落ち着いている方かと思います。大型クリーチャーがマナコストを踏み倒して現れるNEO,DMU、小型クリーチャー優位のSNC,BROと、若干特殊なマナレシオの環境が続きましたが、軽いものは小さい、重いものは大きい、というのが守られており、素直に1つ上のマナ域で押さえられるカードが多いように見受けられますね。

とはいえ、まずは攻撃することがイニシアチブを握るという最近のトレンドは変わらないと思われます。後述しますが、まず環境の基本になるのは毒性を生かしたアグロデッキでしょう。「いかに序盤のアタックを通して毒の起点を作るか」ということを、多くのアーキタイプが意識することになります。油カウンター関連も、強力な能力は攻撃時に真価を発揮するものが多いですね。

それでは、毒、油の順に、攻撃的なアーキタイプから整理していきたいと思います。


▼アーキタイプ①毒(白・黒・緑)

色の強弱にそこまで大きな差は感じられませんが、コモンの平均点が高いのは白と黒だと感じます。クリーチャーの質が高く、除去も豊富です。
この2色は毒性・堕落を綺麗に担当しており、2マナ域の毒の起点が多く、黒の増殖、毒カウンターを与えるスペルでバックアップもできます。まずはこの2色の毒アグロが、環境を定義することになりそうです。

《信念堅い決闘者》《伝染させる吸血者》、《腐り腹のネズミ》から、《肉剥ぎの猛禽》につなぐのが基本ムーブ。飛行でクロックを刻みながら、《聖堂の導き手》で毒殺に向けて加速していくのが理想でしょう。綺麗に動けば4ターン目の戦闘後メインフェイズには「堕落」が達成されますので、アンコモンの《生体解剖の福音者》も強烈です。

また、《這い回る合唱者》《有刺巣主》《肉なし剣闘士》など生贄に適したクリーチャーが多く、白黒らしいトークン+生贄+死亡誘発を軸に、面攻めに寄せたセカンドアーキタイプも検討出来そうです。"ハスク"枠の《殺しの百長》が毒性を持たない上に起動制限がついてしまったのは残念ですが、《滅殺の眼差し》の種を確保できるのが強く、アンコモンの《騒がしい這い回り》《板金鎧の猛攻》などは、この方向性を強く推し進めてくれそうですね。

注目される《聖堂の導き手》は、どちらの方向性でも有用なエースですが、後手5ターン目の行動として、盤面を支える力がかなり弱いのは注意したいところ。4ターン目を《次元の撹乱》《苦痛ある選定》を交えた2行動で繋ぎ、強い盤面を作った上で出していきたいですね。

総じてプレイアブルなカードが豊富で、8人卓での許容プレイヤー数も多そうです。まずはこのアーキタイプを志向するのがよいのではないでしょうか。

緑白も、同じく毒性をキーにしたビートダウン。こちらはアンコモンの《殺戮の歌い手》に象徴されるように、回避能力が少ない代わりに、より盤面のサイズを高めることに注力するアーキタイプのようです。5ターン目にアクティブになる《切歯の滑空機》などで戦線のイニシアチブを握りましょう。

受けの弱さ、毒性持ちの少なさ、堕落の恩恵が少なく結局20点ダメージで勝ちそうなところなど、白黒と比べると粗さも目立ちますので、《殺戮の歌い手》や《伝染する一噛み》などのアンコモンから参入する、という優先度でよいかと思います。

黒緑は白のアタッカーが減る分、よりゆったりゲームを進めていくことになります。緑の毒性持ちはパワー<毒性の値×2のものが多く一撃が強力なのが特徴ですが、重くなればなるほど《呪い金の斬撃》でテンポを取られる危険性が高まります。人気の集まりそうな白黒、白緑と競合することもあり、積極的に目指すアーキタイプではないように感じますね。


▼アーキタイプ②油(赤・緑・青)

ハイアベレージの白黒に対して、強いカードと弱いカードのムラを感じるのが赤と緑。これに青を加えたティムールカラーは、「油カウンター」を中心に据えて組まれています。ムラがあるとはいえ、卓の許容量が少ないだけで、しっかりとコンセプトがまとめられれば、決して弱いアーキタイプにはならないと思います。

上でも触れた《呪い金の斬撃》は、「赤を使う理由」とまで言ってもよさそうな優秀な除去です。なつかしの再録となる《電位の負荷》も、除去をしながら油カウンターを差すことができる上に、本体にも飛ぶ火力なので意外な角度からリーサルを演出することができそうです。

青赤は、定番の「クリーチャーでない呪文を唱えるたび」の作用で油カウンターを獲得し、それを打点に変えていく、新ファイレクシア流「果敢」デッキです。
《実験的占い》でチェイン出来る展開になれば、爽快感がすごそう。ひとまず軽く置いてデッキを回せる《頭蓋爆弾》サイクルにも注目ですね。《外科の頭蓋爆弾》の強さは白黒のテンポ感次第なところもありますが、リミテッドでは定番の強力な能力です。

クリーチャーとしては、まず《ギタクシア派の猛禽》。2,3マナ域を確実にキャッチしつつ、攻勢に転じたときには4点の飛行クロックになりえます。カルドハイムドラフトで《煙霧歩き》がお気に入りだったぼくは、かなり注目していますね。

↑でぞんび先輩が紹介されているプチコンボも、結構目にする機会が多いんじゃないかと思います。
《肉体からの解放》の「1マナの非クリーチャースペルで油2個」というコストパフォーマンスは《胆液の合成者》などと組み合わせても侮れない上、最悪油と関係ないクリーチャーをジャイグロしても《カルドーサの哄笑者》の火種になります。

5マナ域の《焼炉の徘徊者》《脳網の徘徊者》も優秀な油持ち。《脳網の徘徊者》はスタッツもさることながら、搭乗者無しでクリーチャー化できる能力と「警戒」がかみ合っており、ディフェンスでも強い稀有な機体です。青赤のアーキタイプでは、「非クリーチャー」として唱えられることも地味に重要ですね。

油を使って占術やルーティングをするクリーチャーもいますが、基本的には攻撃的なクリーチャーとスペルを組み合わせて、果敢アグロっぽく動いていくのがよさそうなアーキタイプでしょう。アンコモンもアーキタイプに噛み合った強力なものが多く、《呪い金の斬撃》と《ギタクシア派の猛禽》で、白黒の対抗馬となることを期待しています。


赤緑は、いつも通りのグルールアグロ。緑からの戦力になるのは《捕食の世話役》《格子刃のカマキリ》。どちらも油を直接打点に変換していきます。《捕食の世話役》は、DMUの「後援」的な動きができるので、中盤以降も腐りづらい2マナ域として優秀だと思います。これらの起動回数を《伝染病のヴォラック》《肉体からの解放》《電位の負荷》などで水増しして、骨太の攻めを継続していきましょう。

緑青は、赤の攻撃性が抜けてゆったりめになります。アンコモンには「キッカー」のような挙動をするカードもあり、いつもどおりのランプ+ミッドレンジな印象ですね。そうなると《呪い金の斬撃》《電位の負荷》の不在が一層響きますので、今回も下位アーキタイプの予感が…
コモンの2色土地が無いので基本的に多色化は目指せませんが、《予言のプリズム》が「非クリーチャーのキャントリップ」ですので、ティムール3色の可能性がないとは言い切れないかも?


▼アーキタイプ③その他

ここからは、それ以外のキーワードを扱うアーキタイプです。

青黒は、増殖・堕落コン。《終焉よ来たれ》《苦痛ある選定》は、堕落が達成できれば終盤まで軽く1対1がとれるコントロール垂涎のカード。”夜鷲”化する《骨拾いのスカージ》も、3つの能力全てがコントロールに噛み合いますね。
前述の《脳網の徘徊者》と並んで、5/5のスタッツでフィニッシャーを担うのは《残虐の陰皇》。6マナという重いコストが、意外にハンデス効果と面白く噛み合います。お互いストレートに手札を吐いていけば《陰皇》が出たときには手札の残りは少なく、相手が温存している除去か、大型クリーチャーーいずれにせよ1番強い手札をもぎ取れる可能性が高い。相手が手札を吐き出し切っている場合=盤面は押されているはずなので、《蜂蜜マンモス》的なライフゲインも悪くありません。見た目よりやりそうです。

課題は毒の起点をどうつくるか。《伝染させる吸血者》よりは、《腐り腹のネズミ》、あるいはアンコモンですが《多汁質の頭蓋住まい》、マルチカラーの《虚空翼の混種》あたりが、コントロールのコンセプトには噛み合いますね。これらでワンパン入れたあと相打ち、あとは増殖で堕落に持ち込むのがよさそうです。《伝染性尋問》や《ヴラスカの堕落》は、通常の環境では1~2枚程度にとどめておきたいクオリティのカードですので、毒のために欲張らない方がよさそうです。

黒赤は、定番の生贄コンセプト。今回はトークン供給やコントロール奪取などのレアリティが高く、カードが足りなくなりそうな印象です。毒と油が中途半端に混ざりやすい組み合わせなことにも注意したいですね。赤メインの油を黒の増殖でバックアップしていく方向がよさそうですが、青赤や赤緑と比べて、ハイコスト・ローリターンな印象が拭えません。《鍛冶鎚の百長》の奮戦に期待。

青白赤白は、アーティファクトシナジー。白の2マナ域ながら白黒や緑白では優先度の低い《大顎の大司法官》、4/4/4警戒になる《正典の執行者》《聖堂の導き手》を組み合わせて戦っていきましょう。
白青の航空戦力に関して、例えば「3/2/2飛行」「5/3/3飛行」には「+α」の能力がつくのが最近のトレンドです。今セットはその「+α」が「毒性」や「堕落」に振られており、白青は「インクの染み」問題で最も割を食っているアーキタイプに見えます。
爆発力を《聖堂の導き手》やマルチカラーアンコモンに依存することから、どうしても毒・油アグロに後れをとってしまいそうな印象です。
例えば「ミラディンのために!」の2/2トークンがアーティファクトだったら毒・油とも互角以上に殴り合えたと思うのですが…自分より速いアーキタイプが多い環境になると、「ミラディンのために!」の継戦能力も生かしづらく、若干マナレシオがひかえめなクリーチャーで終わってしまいそうです。

▼コモン・アンコモンTier表

(建設されるかもしれないし、されないかもしれない予定地)

▼おわりに

以上です。

まずは、毒と油のアグロがどれくらいの速度感で殴ってくるか体感することからでしょう。その上で、青黒などの技巧派アーキタイプがどれだけ「受け」を成立させられるか、というふうに環境が進んでいくと思われます。

ピックがあるドラフトを中心に話を進めてきましたが、今回はシールドも同じようなアーキタイプ環境になるように思います。前述のように、使用するキーワードに一貫性を持たせることが重要で、グッドスタッフを寄せ集めたミッドレンジ的な構築では、プールのパワーを最大限引き出すことが出来ないからですね。
サイドボーディングで、相手の速度に合わせて「毒アグロ」や「増殖コントロール」へ大胆に切り替えるような感覚がよさそうです。プレリリースで試してみたいと思います!!楽しみ!

リミテッドのプレイ機会が減って顔を出せていませんが、コミュニティにスペシャルサンクス。(いつもの)
ぼくも参加している、リミテッド中心のDiscordサーバーです。

チャットでは7勝のデッキを共有や意見交換をしていますので、楽しいドラフトライフのお手伝いができるのではないかと思います。気軽にJoinしてくださいね。

3月以降はまた忙しくなりそうなので、2月にどっぷり油に浸かって”完成”を目指したいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!


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