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機械兵団の進軍 ドラフトガイドライン 中間報告編

こんにちは、スギモトです!

【機械兵団の進軍】ドラフト、楽しんでいらっしゃいますか?

ぼくはアリーナのプレミアドラフトを30回やって、完走(7勝)6回。序盤は比較的調子良かったんですが、結局いつもの勝率55%程度のラインに落ち着いてきましたね…。【機械兵団】以前はドラフトお休みしていたのもあって、4月のランクは「ダイヤ3」で終わりました。

個人的に、いろいろなカードに触ったこのタイミングで、ピック優先度がブレてくることが多いように感じます。5月の予選などにもエントリーしていく予定なので、ここで一旦、「中間報告」として考えを整理しておこうと思います。
(4/30に出すつもりが、風邪をひいてちょっと遅れました…)

ミシックランク帯やアリーナオープンで実績を挙げられている方のまとめに比べると拙いところも多いと思いますが、一つの見解として、特に伸び悩んでいる方の一助になれば幸いです。どうぞお付き合いください。

※MTGアリーナプレミアドラフト(BO1)でのプレイを想定し、低レアリティカードを中心に取り上げていきます。

※今回は実験的に、冒頭・末尾以外は「だ・である調」で書こうと思います。編集の手間が省けるし、読む方も読みやすいかも。


▼環境の振り返り

①高レアリティ

「バトル」や「多元宇宙の伝説」の影響で、アンコモン以上のカードの開封比が、普段のセットよりも高くなっている。派手なレアはともかく、シャープな強さが光るアンコモンをたくさん使えるのが、個人的には嬉しい。

アーキタイプを意識する際も、参入の基準をアンコモン以上のカードに置きたい。
ぼくは普段「軸になるコモン→底上げしてくれるアンコモン」という視点でアーキタイプを評価しているが、今回のセットは「軸になるアンコモン→アーキタイプの純度を損なわないコモン」と見る方が適切かと思う。カードパワーはもちろんのこと、コモンの開封比自体が相対的に下がっているので、通常のセットのように特定のコモンを3枚、4枚とかき集めるような戦略はそれほど期待できない一方で、アンコモンを複数とれることもままある。パフォーマンスの高いアンコモンを生かす方向で、デッキの細部を整えよう。

レアがつかえればもちろん嬉しい!特にマルチカラーのカードを受け容れるために、5~7手目あたりのパックにピンとくるカードが無ければ、多色土地を押さえておくのもアリ。どうせ強いカードは後からたくさん回ってくる。3色の「伝説タッグ」が上手くハマる可能性を持てることに価値がある。4色のアトラクサも、緑多色ならぜひプレイしたい。
それら「ボム」を対処する除去やハンデス・カウンターの価値が高いのは言わずもがな。《停滞域》は、召集や生贄で活用はされてしまうものの、常在型能力や死亡誘発があるカードにも対処出来て、かなり信用できるカードになった。


②盤面構築と2マナ域

バトルや賛助の存在があるので、いつも以上に1ターン先を見据えた盤面構築を意識したい。
その上白系アグロは、特に2マナ域のアンコモンが各アーキタイプの先駆けになる。後手からでもそれらと渡り合える一手を撃てるのが理想。確実な展開のために数が必要だが、クオリティも可能な限り維持したいというレベルの高い要求があり、質の高い2マナ域のカードの数が、色・アーキタイプの強さにダイレクトに繋がっているように感じる。
コモンでは、各種2マナ除去は言わずもがな、パワー3クリーチャーである《剣誓いの騎兵》と《用心深い演劇役者》、接死持ちである《霊気刃の工作員》、マナブーストで先手後手を返せる《前兆の追跡者》。このあたりが積極的に採用したいラインだろうか。

受けるカードが思っていた以上に安定していることもあって強烈なテンポ環境にはならなかったが、やはり油断すると白青や赤白は、相手に何もさせず蹂躙してくる。特に、後手3ターン目に展開したブロッカーを潰す手段は108通りある(らしい)ので、2ターン目の展開を落とさないように心がけよう。


③培養と牽制

リリース前はテンポの悪さがかなり気になっていたが、実際に使ってみると《ノーンの審問官》《ファイレクシアの覚醒》《改宗獣》などは、それを補って余りあるサイズに魅力を感じる。さながら古のキーワード「エコー」のように、マナレシオの高いクリーチャーを分割払いで生成できるような感触か。
なにより、「エコー」とは違って、後払いのタイミングを自由に選べる―インスタントタイミングで変身可能だという性質が強力。盤面に“見かけ上”クリーチャーを展開しながら、自然に2マナを構えることが出来る。
例えば「攻撃側(AP)が2/2、防御側(NAP)がカウンター2つの培養器+2マナ浮きという状況で、APが相打ちを嫌って先に「賛助」持ちなどをプレイすると、NAPが《最期の一花》で対処」というような展開。特に青黒では2マナで構えられるアクションの豊富さも相まって、《ギタクシアの眼》《衝撃的な啓示》《胆液飲み》などが活躍している。

中盤の安易なタップアウトは、返しにバトルを絡めたビッグアクションによって咎められやすい。培養による分割払いとインスタントアクションの両立、あるいは召集によるアクションの追加は、それを牽制する要素として非常に重要。


▼各アーキタイプについて

ピック優先度

前項の3点や、17Landsに出そろっている有力アーキタイプを踏まえた上で、1パック目のピック優先度を、以下のように考えている。

【1】強いレア
【1.5】《アモンケットへの侵攻》《光素を漁る者》《キセレクスの投光騎士》《羽づくろう勇者》
【2】黒除去/白アグロ系パーツ
【3】2マナ域/土地

下家に可能性を与えない

強いレアは無条件にピック。続いて、最有力アーキタイプである青黒関連のカードは可能な限りせき止めておきたい。
上家からの流れを意識してアーキタイプを探る段階になるのは【2】から。以下では、それぞれ分岐していくアーキタイプについて、コンセプトと主役になるカードに注目しながら見て行きたい。


青黒

ゆったりとしたゲームレンジで多色レアをタッチしやすく、かつ切削→回収の動きでそれへのアクセス率、再利用回数を高める。除去とカウンター、手札破壊で相手の高レアリティにも対処しやすいく、そのように1対1交換をしていけばアドバンテージで勝てる。アドバンテージ源の一つであるバトルを陥落させる飛行も豊富と、環境のおいしいところをかきあつめた、コントロール系アーキタイプ。
セットの第一印象はバトルを巡る肉弾戦に寄るように思われ、黒や青のコモンクリーチャーの質には不安を感じていたが、対処札の充実と、そのバトルを巡る攻防にも強い”質の高いコモン”《羽づくろう勇者》の存在が、このアーキタイプの地位を押し上げている。
また、アグロの強さの肝は2マナの起点となるクリーチャーなので、“除去カードを早いターンに撃つ”ことが通常のリミテッド環境より肯定されやすいようにも感じている。

序盤の基本は除去や接死クリーチャーを活用した1対1交換。軽く交換をとって相手の盤面構築を妨害しながら、パワー4~5分の飛行クリーチャーを設置していく。

ある程度飛行が揃ったらバトルの設置。《アモンケットへの侵攻》は、カードアドバンテージとリアニメイトを兼ね備えた、青黒のポイントゲッター。サイクリングした《鬱牙のやっかいもの》や《雪花石の徒党の仲裁者》を釣るだけでも十分だが、相手のレアを切削して盗用できるのがズルすぎる…笑
キャスト時点でカードアドバンテージが確定し、後半の強力アクションをおかわりできる《ヴリンへの侵攻》、表面は若干弱いものの、ライフゲイン込みで裏面のフィニッシャー適性が高い《ウルグローサへの侵攻》あたりも候補になる。

得られたアドバンテージで飛行クリーチャーのアタックをバックアップしてフィニッシュ。《光素を漁る者》と《死滅都市の開封》のループをつくれれば、物量で後れを取ることはないはずだ。

ここまで環境にフィットする要素を散々並べてきたが、ダメ押しになるのが《エファラの分散》。
後述するが、2番手以降の黒緑系増殖も、(白青以外の)白アグロも、「バウンスで崩され易い」という共通の弱点がある。このカードによって後手からの切り返しが安定するのも青の強み。

参考1 7-1 レアや除去もさることながら、3マナ域のやる気がすごい。さすがに卓一だろう。
ちなみに1敗も相手の《ハヅクロー》連打。こいつほんま。
参考2 7-1 ↑と比べるとかなりおとなしいが、《ハヅクロー》とレアでなんとでもなる。


黒緑培養(白黒、黒赤)

青いカードプールは充実しているものの、同時に方向性が若干分散しているとも言える。具体的には《ヴリンへの侵攻》と《芸術的な拒絶》、あるいは《隠れる分析者》や《ギタクシアスの眼》。後述する白青アグロではこのあたりのアーキタイプ適性が低く、逆に《忌まわしき眠り》や《儀礼の騎士》の点数を上げたい。
《キセレクスの投光騎士》と《羽づくろう勇者》はどちらのデッキでも何枚でも欲しいカードになるが、それ以外のカードはアーキタイプ純度の低下につながる裏目があるので、ドラフト後半、ポジションを固めてからのピックでよいのではないかと考えている。再三になるがパックの平均的なレアリティは高いので、ポジションさえ固まれば、強いカードは後から流れてくる。

青黒のポジションを固めたい場合も、黒除去側から整えていく方が、後の分岐を広くとれると感じる。

《最期の一花》《命を奪う嘲笑》、軽く打てる《集団的悪夢》あたりは言わずもがな、カードアドバンテージをとれる完全除去《無慈悲な再利用》から、制限がつく《弱者成敗》《失敗した変換》も最低限の仕事はしてくれる。

青黒に進めれば万々歳、進めなかった場合は、黒緑を本命に、白黒や黒赤も含めた培養路線へ舵を切る

黒緑も、青黒と同じく長めのゲームレンジに加え、《荒廃した芽ぐみ》などのマナサポートでレアの受け入れがより広く、《巨大化した害獣》がそれらへのアクセスを高める。
《世渡り上手の交渉人》《荒廃刈りのサリッド》《霊気刃の工作員》《用心深い演劇役者》で序盤を整え、中盤以降、培養を回せるようになるとサイズ&物量で圧倒できる。《改宗獣》《エルフの桶守り》《もつれた地平線》あたりが主力だ。

青黒における飛行とカードアドバンテージの部分が培養とランプ戦略に置き換わるので、どうやっても2番手に甘んじてしまうのは、仕方ないところか。直接対決になると飛行が止めづらく、殴り合おうにも除去やバウンスで崩され、長期戦でも《アモンケット》分が悪い。結局勝ちきるには強力なレアによる逆転打が求められるという点は、心得ておきたい。

白黒は、《ノーンの審問官》や《ファイレクシアの覚醒》が主力になるアーキタイプ。《注意深い空守り》は《ハヅクロー》や《投光騎士》と比べるとどうしても頼りないが、重なった培養をテンポよく消化していくために頼る場面があるだろう。
問題なのは、これ以外にアーキタイプの純度を損なわないコモンが極端に少なく、完成度にムラが出やすいこと。前述のアンコモンとレアの巡りに、他のアーキタイプ以上に強く依存することになる。かといって培養カードがたくさん集まれば成功か?と言われると、それもそれでテンポ負けを招くことになる。しっかりと組めれば十分に戦えるデッキにはなると思うが、このあたりのちぐはぐさが災いしてか、17Landsの平均勝率において、2色アーキの中では赤緑を下回る最下位のようだ。

参考3 7-1 ダブル天使様様。各種培養エンチャントも押さえられており、やれるときの白黒か。


黒赤は、便宜上ここに含めたが、培養はそこまで多用せず、《梁町の殴り棒》を活かした先行逃げ切りのビートダウン。序盤をリードして、《メルカディアへの侵攻》《アズゴルへの侵攻》などの軽量バトルや、除去、パクリファイスで押しきる動きが持ち味になる。
一方で後半のクオリティでは他アーキに後れをとりがちで、イーブン以下の盤面を押し返すことは難しい。《嵐爪の憤怒鬼》でじっくり引き合うよりも、主砲《不敵なスカルド》での一撃に望みを託してライフを詰める方がよさそうだ。


白アグロ(白青、緑白、赤白)

黒除去に対するもう一つの分岐となるのが白アグロ。ピックの指標になるのは《ザルファーの司令官》、《植物の喧嘩屋》や+1カウンター関連のカード、《鏡の盾の重装歩兵》だ。白単色では《ノーンの審問官》に加え、コモンの《印章持ちの歩哨》《天使の介入》《空中ブースト》は、ほぼすべてのアーキタイプで活躍できるマルチタレントで、ピックの裏目が少ない。これらのカードを活かし、高レアリティカードのレンジに入るまでに殴り切ることを目指す。

青に対して白側から固めていくのが白青騎士。青黒と並ぶ環境のツートップ。
《司令官》から、《投光騎士》《ハヅクロー》《いかづち頭の戦隊》といった航空戦力を連打するだけでも十分強力だが、騎士染めに成功すれば、《剣誓いの騎兵》の価値を大幅に上げることができるのが大きい。同じく騎士シナジーがある《ザルファーの槍騎兵》《儀礼の騎士》はある程度代替品があるが、先制攻撃による止まりにくさと、2マナパワー3という相打ち性能は、他のコモンはもちろん、ロードにも担えない役割だと言える。

《キセレクスへの侵攻》にも触れておきたい。「表面でマナ相応の仕事をする」というのが強いバトルの共通見解ではあるが、これだけは少し例外かと思う。飛行と横並べによって陥落難易度が低いアーキタイプなこともあり、概ね相手の1番強いクリーチャーを戻して、こちらに4~5マナ相当の飛行クリーチャーが出る展開を、ワンアクションでつくりやすい。即陥落できれば4マナからスペルを2つ唱えることになるので、《投光騎士》からのつながりも非常によく、白青のキーパーツの一つだと感じる。


参考4 7-2 ロード3体。太陽降下は引かず、だいたいセイレーンで勝った。
参考5 7-2 こちらは投光騎士3。除去ですぐ沈むシーンも多いが、逆に残れば勝つ。
バトルや召集との相性の良さが追い風。



緑白は+1カウンター。《喧嘩屋》の横に賛助、あるいは培養を並べて盤面を作っていく。《モアグへの侵攻》でリードし、必殺の《種子中枢への襲撃》で殴り勝つ。
白黒の項でも触れた《ノーンの審問官》と《ファイレクシアの覚醒》のセットはここでも強い。加えて、《注意深い空守り》+《改宗獣》は、環境屈指のコモンコンボかもしれない。《囁かれる希望の神》や《狩りに喚ばれしレナータ》は、アーキタイプに噛み合ったいいカードではあるものの、特に後手番でこれらを展開する際の隙はなかなかに重い。対空防御や0/1でのチャンプブロックまで含めて考えれば、攻めの上振れから守りの安定感まで《空守り》+《改宗獣》の方がパフォーマンスが安定するように思う。5/5に《覚醒》で警戒がつけば完全に地上の覇者だ。


参考6 7-1 レアもさることながら、《空守り》→《改宗獣》の流れがかなり決まった記憶。


赤白は賛助と装備品。軸となる2マナ域は《鏡の盾の重装歩兵》と《練達の職人、レヤブ》になる。
賛助は《ボーラ投石手》から《黄金鱗の飛空士》の強引な押し込みがあり、回れば本当に一方的な展開になる。反面、他のアーキタイプでも使われる《印章持ちの歩哨》を含めた白の賛助ラインが集まらなかったときは、少し寂しい出来になる。
一方で、装備品の場合は遅く回ってくる《レヤブ》あるいは《ヴァルダーク》と《殴り棒》《帆凧》が工面できていれば、他はある程度妥協できなくもない。積極的に参入したいわけでない赤白に対して、遅めの参入ができる逃げ道として現実的なのはこちらか。

ただ、いずれの赤白も、除去・バウンスでの崩しが本当に厳しい。緑白にも言えることだが、より点攻め・育成ゲーに寄りやすい赤白は、《エファラの分散》1発が即致命傷になるような展開もある。《天使の介入》によるカウンターも無くはないが、装備品の場合はクリーチャーに依存するカードのスロット(4枚以下に抑えたい)を食い合うことになり、採用しづらいカードになってしまう。
幸か不幸か、キーとなるアンコモンは《重装歩兵》と《レヤブ》のみで、他はコモンの束でもアーキタイプとしての形にまとめることはできる。この辺りが、ブン回りの強さに加えて、白黒や赤緑などの下位アーキから半歩リードできる要素ではないかと考える。キーとなるアンコモンを1周付近で確認できたときに検討するアーキタイプとしよう。


▼コモン・アンコモンTier表

コモン

S:何枚あってもいい。《命を奪う嘲笑》は重さが気になるものの、4マナ域がこれ3枚になってもあまり困らないかと思いSにした。
A:2枚欲しい。
B:1枚あっていい。汎用的な除去や、各アーキタイプに適合したカードで、ここまでが「アーキタイプの純度を下げない」ラインだと考えている。
C:数合わせ。実質バニラ∼フレンチバニラのクリーチャーなど。「純度を下げる」側のカードであることが多い。


アンコモン

それぞれ各ランクのコモンより優先。

《鏡の盾の重装歩兵》《アズゴルへの侵攻》あたりの各アーキタイプでの重要度はAランクと言っても差し支えないが、再三語った通り積極的に参入したいアーキタイプではないのでこの位置。後からガンガン流れて来る。


▼おわりに

以上です。いかがだったでしょうか。

何度も触れていますが、白青騎士の強さは予想通りだったものの、思っていた以上に中速デッキが強い環境になりました。ただ、ONEのような高速環境よりはこちらのほうがはるかに好みなので、「嬉しい誤算」ですね。

課題としては、記事で触れることができなかった青系アーキタイプ―青赤と緑青に対する理解があまり進んでいません。引き続き研究を進めるとともに、週末のプロツアーでのドラフトにも注目したいですね。

コミュニティにスペシャルサンクス。(いつもの)
ぼくも参加している、リミテッド中心のDiscordサーバーです。
久しぶりにガッツリドラフトしていく中で、いろいろな知見を頂戴しています。

チャットでは7勝のデッキを共有や意見交換をしていますので、楽しいドラフトライフのお手伝いができるのではないかと思います。気軽にJoinしてくださいね。

プレビューの始まった「決戦の後に」は、アリーナのプレミアドラフトには特に影響ないという理解でよさそうですかね…?
予選や5月のランクに取り組む中で、いい形の「完結編」が残せるように、引き続き精進していきます。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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