屋久杉の頭部管(2018年10月)
このところ頭部管製作が滞っている・・というか作る気にならずこのまま何もせずに年を越すことになりそうだ。
暇に任せて過去の製作記録などに目を通していたのだが、以前掲載していた Facebook ページを誤って削除してしまったこともあり、現在あまり目に触れなくなってしまった過去の印象に残ったものをこちらに再掲することにした。
幸いブログの方には記事が残っているのでほぼそのまま転載することにします。
**以下2018年10月~11月に投稿した記事をまとめました(長い)**
以前飫肥杉で頭部管を製作した方から今度は屋久杉でのご依頼がありました。(興味のある方は↓をご覧ください。)
前回の経験からもあまりお引き受けしたくない材料ではあったのですが、貴重な材料をご用意いただいたので製作することにしました。
伐採禁止の屋久杉がなぜ商品として流通しているのか?
不思議に思われるかもしれませんが、土埋木という形で流通しているのだそうです。
丸棒加工
ヘッドキャップの加工
以前飫肥杉の加工では難儀したヘッドキャップの製作を最初に行ってみました。
いよいよ本体の加工に入ります。
穴あけ
通常は角材の状態で加工するのですが、杉は柔らかいので円柱でも大丈夫です。
それでも非常に神経を使います。
終端は少し中心がずれました
リーマーによるテーパー加工も終えました。
リーマーを掛けると肉厚の不均衡が目立ちます。
外径加工
センターずれによるブレはありましたが、仕上がりサイズぴったりで吸収できました。
歌口加工
リッププレート部分を削り出す前に、上部リングを先に付けることにしました。
杉は柔らかいので作業中に欠けたり凹んだりする恐れがあります。
先ずはこちらの型に合わせて
余分な部分を削っていきます
これでほぼ成形出来ましたが
このままではリップ部分の径が大きいので、さらに仕上がりの型に合わせて
リッププレート形状を削り出します。
歌口穴の成形
気を抜くとあっという間に取り返しのつかないことになってしまうので慎重に進めます。
角度とサイズがほぼ目標に近付きました。
縦横ともにまだ約0.5mm小さい状態です。
ここから形の修正をしつつ既定の大きさに広げます。
ひとつの面につき0.25mmということになりますが、広げる時には削っても削っても中々到達しない感じです。
くずれた形を修正する時にはすぐに大きくなってしまう気がするのですが・・・
2日間にわたり殆ど丸一日かけた感じで、
ようやく穴の成形が終わりました。
接続部分の製作
5㎜幅リングの径(内径)は使用する接続管の太さで変わるのでその都度現物合わせで作ります。
8㎜幅の板はCNCフライス盤で切削したもの。
5㎜幅の平角線は寸法を測って糸鋸で切り出します
あとは頭部管に接着して最終成形に入ります。
最終工程
接続管を接着し 最終的な形の修正を終え エンブレムも貼りました
屋久杉は樹脂成分が多いらしく、放置しておくと色が濃くなってきます。
ちょっと力を入れたり爪が当たったりするとすぐに凹んでしまうので注意が必要です。(何度か修正しました・・)
あとはオイルを塗り重ねて完成です。
一回目のオイルを塗ったところで、乾燥させ塗り重ねを繰り返します。
ヘッドスクリューの製作
この間にヘッドスクリューの製作をしておきます。
最近はこういったパーツの作り置きをせずに、頭部管製作の度に用意している状態です。
これをロウ付けします
わずかなザグリを頼りに位置決めするのですが、なかなか垂直には接合できません。
ロウ付け後に叩いて修正します
そのままでは完全なセンターも得られないので、
旋盤で約17mmまで削り出します。
コルクを押さえるワッシャーも
これで完成に向けて準備が整いました。
完成!
オイルを塗り重ね完成しました。
だいぶ渋い色に仕上がりました。
なんとなく樹齢千年以上の重みを感じさせます。
角度によって面白い光沢が見えるので動画にしてみました.
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?