窓越しの世界・総集編 2019年12月の世界
12/1【小説にする理由】
昨日から書き始めたものが、いつのまにか小説の顔をしてきてしまった。
説明を繰り返すよりも、物語を紡ぐほうが伝わる気がした。
答えはシンプルだ。しかし、理解を求めようとすれば、そうではなくなる。
飛行機の答えは、飛ぶこと。例えば、それを理解することと同じ。
12/2【模様替え】
たまに、模様替えをする。
状況が変わると、配置を変えたくなる。
思考が変われば、言葉が変わることと似ている。
今、最適なものへと更新するための進化や変化が、僕には必要である。
冷たい雨の日曜日。
12/3【良い言い訳】
看板だけは、見た瞬間にあの時と同じものだと思い出した。
24歳の僕が訪れた喫茶店で、父の懺悔の書を読むことにした。
カメラがまわっていたから、父と向き合えた。
ドキュメンタリーの撮影が、頑なな僕にとっての都合の良い言い訳になった。
それでよかったと、今は思っている。
12/4【どちらか】
使命感がなければ、始められないことがある。
それをやり遂げるはじめの苦しさを超えたところからが勝負だ。
使命感という見方がいなくなってしまった時、再びそれと出会える人は少ないかもしれない。
知は最大の敵であり、最大の理解者である。
使命感を持つには、無知であるか、もしくは、知という理解者を携えているか、どちらか。
いずれにせよ、使命感は尊い。
12/5【思い出した】
個が強すぎることは、調和を生まない。
しかし、個を深く知らなければ、調和を理解することはできない。
個が強く、個を知った時、身を委ねることが可能となる。
調和とは、調和を体験しなければ、決して理解できるものではない。
全ての人は、その感覚を眠らせている。
僕は今日、それを思い出した。
12/6【世の定】
調和を感じながら進める時、人は幸せなのだと思う。
他者との調和、そして自分自身との調和。
その状態を作り出すための行いこそが人生であるのならば、納得がいく。
また、その道程にこそ調和が必要なのだという、目的と道程の混同に迷い苦しむのがこの世の定なのか。
12/7【我が物顔の街】
今の所得られそうにない共感を解剖すると、解剖しきれないところが見つかる。
その部分を解剖できた時、傲慢さではない提示ができるだろう。
赤坂の街を歩いていると、よくわからない支配感に襲われて、コーヒーショップに手袋を忘れる。
街が、我が物顔でそびえていた。
12/8【欲望の自覚】
昼食のボリュームがありすぎて、夜になっても空腹が訪れない。
満たされてしまっている状態というのは、なんともつまらないものだ。
求めることで満たされることが、われわれのDNAに刻まれていることを、まざまざと感じる。
空腹が欲しい、そして満たす過程を味わいたい。
それが人間の欲望だと自覚する。
12/9【これからの、25年。】
25年、、という言葉がカウンターの方から、テーブル席で読書をする僕の耳に飛び込んできた。
白髪で初老のマスターと、この店に訪れるのは10年ぶりだという背広姿の同じく初老の男性と話しをしている。
その頃の僕は13歳だ。
人生はまだまだ長く、高校生活、大学受験、就職、、果てしない道程が広がっていた。
そこから解き放たれると、人生は駆け足だった。
これからの、25年。
さて、どうしようか。
12/10【イマジン】
イマジンという歌に希望はなかった。
経済という宗教の中で、イマジンを恐れた誰かが彼を殺した。
誰かというのは、世界中の人々かもしれない。
確かに、イマジンはこの世界において脅威だ。
嘘を信じ込むことが、世界の秩序だとしたら、イマジンは世界を滅ぼすかもしれない。
イマジンが、なぜイマジンなのかも知ることなく、世界は終わるかもしれない。
でも、イマジンの理由を理解できたなら、そうはならないはずだ。
僕らが正気ならば、世界は今とは全く違う方を向くだろう。
しかしそれが望む方へ行くとは限らないことを、知っておくべきだ。
12/11【確信こそ疑え】
確信に足元をすくわれる。
確信は確信にスポットライトを当てるので、確信を支えているものの存在を暗くする。
確信に向かい声が大きくなるにつれて、伴奏はかき消され、調和が乱れるのを感じた。
その確信を疑え。確信こそ疑わなければ、調和は得られない。
12/12【その反復でしか、この脳は育たない】
確信に身を委ねていられる時というのは幸福。
そしてその幸福の余韻の隙間に忍び寄る不安。
あれ?
そうやって首をかしげるとき、過去のメモが背中を支えてくれる。
頭の中は常に書き換えられ、正しいものも正しくないものも、積み重なる。
積んで積んで、忘れて思い出して。
その反復でしか、この脳は育たない。
12/13【欲望の満たし方】
空腹の満たし方で、その時の精神状態がわかる。
コンビニで済ませようと思ったら注意のサイン。
欲望の満たし方を考えることのできる時代に生まれたことに感謝しなければいけない。
12/14【信用】
過去を編集することに意味があるのだとすれば、それは概ね信用の構築、
信用を使いこなしたものが、心の平穏をも獲得する社会だ。
正直者に信用は生まれない。
本当を隠し切ったものに、世界の舵は委ねられている。
信用がこの世界のバランスを保っているのだから。
12/15【知がもたらすそれ】
知も、無知も、関係なく、傲慢になった時、何かを失い始める。
今夜の僕は傲慢で、それをわかっていながら傲慢であった。
知がもたらすそれと、きっぱりと別れないければいけない。
12/16【知らないという感情】
知らない街を眺める時、少し優しい自分に出会う。
知らないということは財産だ。
知らないという感情は、幸せの源だ。
12/17【求めて、求めらる】
求めると、求められそうだから、求めない。
そんな時代が続いた。
求めて、求めらるような時代を、始めたい。
12/18【なんといっても、体】
やればやるほど、わからなくなるのは、わかったことがたくさんありすぎて、
何が大切なのかの判断が難しいからだ。
休んで、体を整えて、また始める、
なんといっても、体、なのだから。
12/19【僕は僕に】
家路につく時、今日の日がよかったって思える理由を考える。
ひとりひとりの笑顔が、僕の背中を支えてくれていて、僕はまたしばらく、頑張れる気がした。
優しい気持ちが戻ってきて、もう、僕は僕に戻っていた。
12/20【知らない場所へ】
確かに、ここを離れても何も変わらないが、
すこし距離を置くと、ここがよく見えてくる。
できれば、知らない場所がいい。
知らない場所へ、たまに行くといい。
12/21【望んでいること】
悪を打ち破る時、涙が溢れるのはなぜだろうか。
弱き者が強さを手に入れる時も。
誰もができることではないが、望んでいるということだろうか。
12/22【ただいま】
二日ぶりのトトは、はじめよそよそしい。
忘れているわけではないだろうから、すねているのだろう。
少しずつ距離を縮めて、足元をがぶっときた。
ただいま。
12/23【何事も無かったかのように】
頭の中で一つ増えると、同じように一つこぼれ落ちる。
何がこぼれ落ちたかを僕らは知ることはできない。
必要な時にまた思い出すまで、それは眠る。何事もなかったかのように。
12/24【メリークリスマス】
知らないということは幸福だと思う。
知ってしまった不幸から、知り続ける幸福にたどり着くまでの道のりは長い。
心置き無くメリークリスマスと言える夜。
僕らがそれを唱えるのは、繋がっていたいからだろう。
12/25【僕らの共存】
サンタクロースを信じていたころ、僕らは幸せだった。
サンタクロースなんていないと知っても、サンクロースを見ると幸せな気持ちなるのは、記憶の過ち。
世の中は、「何が本当か」ではなく。「何を信じているのか」で動くのだ。
僕らの共存はその上にある。
12/26【はなれてゆく】
調子がいいということは、一番危険なことかもしれない。
滑らかにスピードに乗っている時、些細なネジ一つの緩みで空中分解するような危うさを感じる。
いくら声が気持ちよでたとしても、それに酔ってしまうと音楽は離れてゆく。
12/27【続かないことだけが、続いていく】
自分を高めるほどに調和から離れるが、さらに高めることで調和に近づく。
しばらくすると、また調和から離れ、そんなことを繰り返す。
綱渡りは失敗に終わり、また始めから始める。
一度渡りきれたとしても、それは決して続かない。
そう、続かないことだけが、続いていくのだ。
12/28【感じる不幸】
感じることができれば、全てはうまくいく。
感じれない時は、全てがダメになる。
感じることができたから、感じれないという状況も生まれる。
知らない方が幸せだということもある。
12/29【順に、】
理解することはできないが、理解ができないということを理解できると、心が軽くなる。
理解など出来ないのだという理解の向こうに、共存があり、それをまとめることに長けたものが、富を得る。
潔癖さは足かせになり、それに気がついたものから順に幸せになっていく。
12/30【成熟と分断】
共通認識を持てたものたちは、繋がっていく。
それが成熟してしまうと、分断が生まれる。
世界は成熟して分断が始まっている。
12/31【大晦日】
初詣の列に怖気付いて引き返した。寒空の下600円のたこ焼きを頬張りながら境内を歩く。
今年はたくさんの傷を負った。しかしその傷は、自分が生み出した虚像であり、本質という光の後ろに生まれた影だ。
全ては変わり続ける。
答え合わせは、どこまでも続く。