窓越しの世界 2022.4.4~9
4/4【効果】
メモのTO DOに横棒が入ると、その度に体が軽くなる気がした。
消化を認識することの効果。
4/5【夕闇の空】
空に悲しそうな顔が二つ浮かんでいた。
その顔がゆっくりとひしゃげて消える。
街の灯りを反射してほの明るい夕闇の空。
4/6【底上げ】
背中を日除けにした。
さっきまで太陽を浴びていた文字が日陰の中で深緑に浮かぶ。
夜は今年初めての虫の音。
日差しも、夜の空気も、底上げ。
4/7【わずらわしい自覚】
涙が滲むまでは無自覚。
目頭の滲みに気がつくと涙が止まった。
そんな自分が少し残念なのだ。
わずらわしい自覚。
4/8【今度は作為的に】
かつて毎日通った街並みに残る面影を見つけたとき、いつ閉じたのかも定かでない蓋を開けてしまったような心地になる。
新しいビル群がその中に紛れ込み、またそっと蓋を閉じる。
今度は作為的に。
4/9【小説】
人は一つの人生しか生きられない。
流動する物語で培う哲学に、固定された文字が養分を与える。
小説は、人と人の間にある。
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