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窓越しの世界 2021.4.13~27

4/13【主観と俯瞰】
時間に追われていると些細なことでイライラする。

同時に、イライラしていることを俯瞰している自分もいる。

俯瞰が主観を見つけて、主観が俯瞰を受け入れる。

4/14【過去に居る気がして】
日暮里の繊維街。

大量の布を手にして店を出ると雨は上がっていた。

駅ビルにある古い喫茶店に腰を下ろした時、僕は過去に居る気がして嬉しかった。

4/15【7、10、11】
久々にコルセットを腰に巻く。
数年間のお蔵入りから急に役割を与えられた君と再会。

7時のスタジオ、10時のバス、11時の新幹線。

4/16【記憶の角度】
記憶というのもは曖昧。

別の角度から再会すると、違う記憶になる。

蘇らない記憶にも気がつく。

4/17【光の当たり方】
背景のグレイと強い雨。

光の乏しい景色。

同じ景色なのに、こうも違う。

光の当たり方について、考察する。

4/18【世界を一つにするのは】
圧倒的な自然現象。

世界を一つにするのは、そういうものだ。

巨大な虹の出現が、そう伝えていた。

4/19【タイムイズマネー】
夕暮れの住宅街から公園へ続く小道を入ると、黄色い木香薔薇が満開。

光が足りない。もう10分早ければ、8mmを回しただろう。

2分で6800円のフィルム。タイムイズマネーの記録。

4/20【シャケの日】
シャケをフライパンに乗せる。

皮を鉄に押し付けてパリパリにする。

バターが焦げる匂いがしたら酒を垂らし、少し塩をかける。

隙間でブロッコリーを焼く。あとは、銀杏ご飯と味噌汁。

4/21【公園】
高い梢の先端だけが西日に光っていた。

薄いブルーの小さな花畑に光が届くのを待つ間、今日の穏やかさに身を委ねる僕は幸福だった。

すねて泣きじゃくる三つ編みの女の子が、ちらっとこっちを向いた。

4/22【そこにあったはずの物】
そこにあったはずの物が無い。

巨大なホームセンターの中も、久しぶりの街も、僕の中も。

4/23【この機会に】
ダウンを着て自転車に乗った。それくらい今夜は寒い。

週明けから休業するという中華料理屋の店主に悲壮感は無い。

お疲れ様。この機会に、ゆっくり休んでください。

4/24【何事もなかったように】
青空に埃が舞い上がる。

この広い空で薄まり、消えた。

何事もなかったように。

4/25【記すという伝え方】
伝えたいことはあるけれど、伝えること自体に意味はないから、今は、記しておく。

記すという伝え方が、程よい。

4/26【それまでに】
振り子時計の規則性とBGMのBPMは明らかに違うのだけれど、気にならない。

ステレオ定位など御構い無しの席で水出しのアイスコーヒーを注文。

買い物袋からはさっき八百屋で買った万能ネギの先っぽが飛び出している。

日が落ちるとまた寒くなりそうだから、それまでに帰ろうと思っている。

4/27【説明など】
朝6時のスタジオ。コンビニのコーヒーとあんの入ったコッペパンを食べながら、映像と音の交差を眺める。

こんな風に「生きていたという証」を残そうと思う自分を、どう説明したら良いのか。

説明など、到底出来ない。

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