窓越しの世界 2021.6.10~16
6/10【めくる】
早起きをして本を読む。
紙をめくると、自分の指先の湿度を感じる。
指の支え方で紙面が少しうねり、湾曲した文字の立体が目に心地いい。
意図は、意図のまま伝わらず、僕の中でドリップされる。
トトが目覚めるまで、僕はめくる。
6/11【めまぐるしい】
梅雨入りの宣言がされていないらしいことに驚く。
多摩川の堤防と夕暮れ。
夕焼けの富士山。
トトと留守番。
移動も、やることも、季節感も、めまぐるしい。
6/12【一筆書きで曲ができるとき】
一筆書きで曲ができるときは、よく知る街の初めての道を行くような感覚。
たまに見える知った通りが現在地を教えてくれて、目的の場所までの支えとなる。
不意の行き止まりで後退りしながら、最後の音に着地する。
6/13【他者と触れ合いながら】
人一人の中にも多様があり、自覚がない。
自覚の無い多様の中で、一つずつそれを探す。
他者と触れ合いながら。
6/14【巻きで行こう】
夕食の後で、もう一度スタジオに戻る。
いつもならば明日にするのだけれど、僕の中で何かがこう言う。
巻きで行こう。
6/15【いつかの教室】
7分。
郵便局の開局までのその間、何もせず空を見ていた。
いつかの教室で、チャイムをただひたすら待つのと同じ時間の流れ。
6/16【rain。雨。】
日本語は音程の無い打楽器のようだ。
早朝から激しく降る雨音の中でつぶやく。
rain。雨。
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