窓越しの世界 2021.11月まとめ
11/1【そのひとかけら】
案内をする喜びがある。
自分の好きな景色、行きつけの店。
音楽もそのひとかけら。
11/2【絶えずに、耐える】
ひさしぶりと言ったその人の声は優しかった。
あれからの日々を、今は意味あるものとして解釈できる。
絶えずに、耐えたからこその。
11/3【帰り道】
前からこうだったような気もするし、こうなった気もする。
自分を感じるよりも他者を感じた方が、自分を知れる気がした。
まだ夜風が心地よくて、帰り道の片手にハイボール。
11/4【充実感】
梅酢を探して3件目。やっと見つける。
生姜を刻んで塩もみしてから2時間くらい経つから、結果ちょうど良い。
小瓶に入れた生姜が梅酢の赤に浸るときの充実感。
未来を補填する充実感。
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11/5【贈る心地よさ】
贈りたくなる。
コンロに火をつけて換気扇を回して、豆を焼く。
贈る心地よさの中。
11/6【受動的休息】
待ち合わせの中華調理店でテレビを眺めるていると、情報を選ぶ疲弊から束の間の解放感。
運ばれてくるビールと点心。
受動的な休息。
11/7【何度見ても】
夕焼けが美しい。何度見てもそう思う。
トトが可愛い。何度見てもそう思う。
11/8【無理はしない】
まだ葉が落ち切れていない紅葉樹の下で雨宿り。
意外と大きな雨つぶの通り雨。
もうすぐ止むのを知っているから無理はしない。
11/9【言葉の向こう側】
その人の言葉の向こうにあるものが想像できた。
その指先や眼差しに身を委ねる時間は至福だ。
探求はジャンルを超えて共鳴する。
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11/10【誰かの幸福になる】
期待に応えてそして喜んでもらえると、その実感の中で僕は幸せだった。
つまりはもっと、何かに期待したり、喜んでいい気がした。
それは誰かの幸福になる。
11/11【チェロと行く】
ワインレッドのケースを開けて久しぶりの再会。
これから一年くらいかけて43小節を旅する。
五線紙の上にひかれたレールの上をチェロと行く。
11/12【旅をしている気持ち】
都心へ向かうほどに昔が残っている。
細い路地に佇む都市の記憶に触れると、旅をしている気持ちになる。
25時閉店のコンビニもその一つ。
11/13【秋刀魚のコンフィ】
もう少しだけ火にかけたいけど、もう骨まで食べられる。
朝から仕込んだ今年初の秋刀魚のコンフィ。
魚臭くなった僕の手が気になってしょうがないトト。
11/14【音楽はその向こう】
力学を感じると、思いが直接弦に伝わっていく気がした。
力点、支点、作用点。
音楽はその向こう。
11/15【なるほど】
久しぶりにノンアルコールの晩は深い深い眠りになった。
夢の中の僕は悔やみきれない過去を思い出したみたいで苦しかった。
目が覚めると足の上でトトが重たく、なるほどと思った。
11/16【夜の深呼吸】
1日が終わって、トトが膝の上で寝ている。
終電車の音が風に乗って聞こえる。
トトを触ると、ゴロゴロしていて暖かい。
かぼすをお湯に入れて飲みながら夜の深呼吸。
11/17【コトコト、トコトコ】
真夜中に帰ると真っ暗な玄関からひょこっとトトの顔が出てくる。
閉店間際のスーパーで買ったアルミ器の鍋セットをコトコト。
トトはそそくさと寝室へトコトコ。
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11/18【西日に縁がある】
影の美しい季節になってきた。
毎年この時期になると、影に見とれている。
今辿り着いた場所にも、傾いた日差しが綺麗に入る。
自宅もしかり、西日に縁がある。
11/19【今夜からは】
籐のスタンドランプを担いで夜道を歩く。
夜はいつの間にか秋と言うには冷たい空気。
埃をかぶって暗い店内を照らしていた年代物も今夜からは僕のリビングに灯る。
11/20【それでも】
スタジオの窓から休日のヘッドライトが列をなす光景を眺める。
ここに座って束の間を過ごすのが好きだ。
決して広くない空と街路樹だけしか見えないけれど、それでも。
11/21【25年前の映画】
白ワインとトト。
内職をする音。
壁に映し出された25年前の映画。
11/22【謎の魚】
赤魚、アメリカ産。
はて?
昨日買ってあった、謎の魚。
11/23【出てきた音が好きならば】
エフェクターに通した加工された音が楽しい。
生楽器も結局は原音を共鳴部で加工している。
出てきた音が好きならばそれでいい。
11/24【夜更かし、早起き】
真夜中のチキンラーメンの至福。
アルコールを摂らないと夜は長い。
夜更かし、早起き。
11/25【扉越しに】
扉越しにうっすらと聞こえてくるギターの音色。
ぼやけた音だけど、どうしてこんなに心地よく聞こえるのだろうか。
11/26【この刹那】
今日も誰かの恩恵を受けている。
自転車でスタジオに向かう道すがらのアスファルトの止まれの文字。
LEDの信号。
この刹那、それは僕だけの為にある。
11/27【夜道を自転車で行く時】
例えば重い荷物を背負ってみると、初めてそこが下り坂だったと気がついたりする。
夜道を自転車で行く時も、人生も。
11/28【木から離れて】
カーテンに移る影に、蝶々?
そう思ったまばたきのの後に、続々と舞い上がる落ち葉たち。
木から離れて、自由な枯葉の舞。
11/29【この瞬間に意味を与えるのは】
朝焼けを受けた甲板で風を感じると、徐々に古い記憶が目覚めていく。
過去を切り捨てる生き方もあるけれど、思い出して涙したりすることが僕には大切と思う。
今この瞬間に意味を与えるのは、未来。
11/30【明日はどうかな】
見慣れた凪に白波が立つと、穏やかな水面こそ不思議に思えた。
同じ景色は続かないのだと、感じては忘れる。
明日はどうかな。
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