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窓越しの世界・総集編 2019年11月の世界

11/1【秋晴れ】
天気が良いから歩いた。

今日は何かが切り替わる日らしい。

秋晴れの日。

11/2【音楽】
僕にしか理解のできないことは、僕にもなかなな理解しがたい。

形のないものを音にして、感じることでしか共有できないものが音楽なのかもしれない。

11/3【選ばれたもの】
さっき朝食をとったばかりなのに、ふいにホットサンドが食べたくなった。

近所のスーパーへ出かけて、スライスチーズとハム、そして食パンを買った。

スライスチーズだけでも、たくさんの種類があって、それはハムも食パンも同じだった。

そのなかで選ばれたのは、高くも安くもない、でもちょっと良さそうなもの。


11/4【夢をみている】
「もっとこうしたい」

そういう思いがある時というのは幸せだと思う。

言い換えるとそれは「夢を持っている」ということだ。

僕は、いつも夢をみている。

そう思うと、なかなかいい人生だと思う。

11/5【実感の最中】
毎晩毎晩余裕が無い。

パフォーマンスはきっと良くなっているが、求めることもまた高くなってくる。

そしてそれを毎晩更新しようとする。だからずっと余裕が無い。

この日々は、必ず糧になるという実感の最中。


11/6【明日になるのがさみしい夜】
半年ぶりくらいだろうか、外の景色に興味津々のトト。真夜中のドライブ。

いつもの部屋から連れ出す時、胸がしくしくした。

いつものソファから抱きかかえるとき、旅なんてやめてしまいたいと思った。

実家の布団で丸くなるトトと暖め合って眠った。

明日になるのがさみしい夜。


11/7【僕を勇気付けてくれるもの】
僕はいつでも迷っている。

迷いながら、信じるものを頑なに守っている。

でもそれは、誰かに肯定されるのを待っていて、その些細な後押しだけが、僕を勇気付けてくれる。

11/8【頭痛】
朝からずっと頭痛がしていて、生放送の時は多分熱があった。

とにかく食べ物を沢山食べようと思った。

夜は森の中で、ぐっすり眠れた。

11/9【折れては癒す】
まっすぐでいると、折れやすい。

しなやかなはずの僕は、今、とても折れやすい。

何度も折れて、心はつぎはぎだらけ。

折れては癒し、折れては癒す。

11/10【生きているだけでいい】
すっと鼻から吸い込んだ空気で、心が満たされる。

空気のありがたみを感じながら朝ごはんを食べる。

こんなに清々しい朝を、毎日迎えられたなら、生きているだけでいいと思わざるを得ない。

11/11【僕と同じ】
風の音か潮騒かも定かではない。

海も山も川も騒がしく、厳しい顔をしているけれど、それは僕の持つ眼差しによって如何様にもなるだろう。

一つの島の様々な表情。僕と同じだと思った。

11/12【海が「好きだ」】
一番好きな海はどこですか?

僕が一番好きな海は、福江島にある。

そう言える、海ができた。

海が「好きだ」って、初めて思えた。

11/13【必要な時間】
まだ元気だったから車を走らせてトトを迎えにいった。

七日ぶりに再会したトトは、目を潤ませて、ホッとしているってことが伝わってくる。

昼過ぎに長崎を飛び立ち、東京そして静岡へ。

驚くことに、そんなに疲れていない。

島での休息は、最近の僕に必要な時間だったのだと思う。

11/14【隙間のない街】
いつもの珈琲店の、飲み慣れたブレンド。今夜の演奏まではあと1時間だった。

メールの返信、セットリストの確認。漂って来るタバコの煙。

見渡す限りの建物。久しぶりの夕焼け。隙間のない街での日々が再開した。

11/15【見失いやすい時】
不自然が自然になりつつあることを感じて、乗れるようになった自転車にまたがるような、自分の一部になりつつある感覚を感じる時。

その正体を見失いやすい時。

どんなにあがいても、自然体になってしまえば忘れ、また失うから、書き留めておかなければならない。

11/16【炎の力】
燃えて消えてしまう感情と、燃えずに残る思いがあった。

目に映る炎が、それらを選別してくれて、僕はシンプルな自分を感じていた。

炎には力がある。

創ることも、消滅させることも、できる。

11/17【たくさんの正しさ】
正しさは、変化する。

たくさんの本に囲まれていると、たくさんの正しさに出会う。

正しさは、相対的で、それは音楽と同じ。

音楽が愛されるのはきっと、相対的だからだろう。

全ての音は、歩み寄ればハーモーニーになる。

正しさが一方通行でないということが、人の心にやさしい。

11/18【南風が吹くと】
風が強い一日が終わる。

生暖かい風を感じで、まさか、南風だろうかと思う。

天気予報を調べると、どうやら南風が吹いたらしい。

寒い季節でも、南風が吹くと、暖かい風が来るのだ。

11/19【居眠り後の回答】
深い眠りにつくことと、死ぬことは、何が違うのだろうか。

眠るように死ねるのならば、それはいつも通りだ。

寝ぼけまなこだが、気を持って、、

まるで授業中に起こされて回答を求められた時のような時間。

11/20【どこへいこうか?】
八重洲のバスターミナルは、多分一日居ても飽きない。

いつかの僕も、いつかの君も、それぞれの人生が交差している。

どこへ行こうか?

そんなことを幸せと共に考えている時が、一番幸せなのかもしれない。

それは、期待とか、希望を持っているということと同じなのだ。

11/21【歩きたくなる時】
街路樹の色づきと午後の光が混じり合って、歩くことが気持ちいい。

車を走らせるよりも、歩くことを選ぶ時の、自分の心が好きだ。

どこへ向かえばいいのか、わかっている時。

人は、歩きたくなるのかもしれない。

僕は音の中に、今、それを見はじめている。

11/22【頭の中も同じ】
こんな雨の日にかぎって、よく歩くことになった。

もう10年以上前に購入したアウトドア用のカッパが今も役に立っている。

生きていると、物がたまる。

毎日使うものと、そうでないもの。

そうでないものが、どんどん積み重なる。

頭の中も同じだ。

11/23【地滑り】
雨がよく降る。

不機嫌は、不機嫌を生む。

ご機嫌は、ご機嫌を生む。

不愉快は、不愉快を生むのだ。

雨降って地固まると言うが、大雨は地滑りを起こす。

11/24【だから、成り立つ】
焙煎室から眺める公園の景色の豊かさが遠い記憶のそれだと感じた。

状況に左右されるような思いばかりだが、そんな類の気持ちなどに構うことはない。

そんな感性を持っている時の心というのは、健康であるが、弱っている時というのは、
あからさまにそれに引きずられて、それでいいものだと立ち止まるだろう。

大いに、人は弱く、ほとんどその状態と言っていいだろう。

だから、音楽も、宗教も、成り立つ。

11/25【前提条件】
朝の散歩。

新しい靴は、僕の足の形で作られている。

皮はまだ馴染まないが、歩くたびに吸い付いて来る。

なんとも友好的な歩行。

前提条件を満たしているところから始まる関係が心地いい。

11/26【答えの前触れ】
全てを整えてから、始めることなどできない。

知りながら、問いが生まれて、解いていく。

答えの前触れ。

11/27【一つの答え】
一つの答えが生まれる。

答えを知らないから、問い続けた。

一つの答えを、形にする作業が始まる。

そこには、これまでの問いが、総動員される。

11/28【世界中でただ一人かも】
僕と同じ答えを持った人がいるのかを探している。

もしも、僕しかそれを知らないのならば、えらいことだ。

僕の見ている世界は、世界中でただ一人かもしれない。

11/29【誰も知らないということを、確かめに】
門は開かれている。

その門をたたく者、そうしない者、知らない者。

国会図書館の門をたたいた。

誰も知らないということを、確かめに。

11/30【公園に落ちている】
足元には、果肉から飛び出た銀杏。

上手に裸になっているもの、泥にまみれているもの。

この季節の味覚は、公園に落ちている。


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