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2021年総選挙各党公約比較-②立憲民主党-

 10月31日の選挙を踏まえ、各党の選挙公約を比較検討したいと思います。第2回目は立憲民主党です。

1ー1.新型コロナ対策(感染症対策)

 自治体任せでなく国の責任で医療体制を強化するとして、集中的な検査と徹底した水際作戦により国民の命を守るとしている。

 医療、介護従事者に慰労金(新型コロナへ従事した関係者には20万円)を支給するとしている。

 公立・公的病院の統廃合、病床削減を目指す「地域医療構想」を抜本的に見直し、職員の増員による保健所機能を強化するとしている。

 必要なときにすぐ受け入れられるPCR検査体制を確保し、すべての入国者を対象に最低10日間の隔離を行うとしている。

 国産ワクチン・治療薬開発への強力な支援を行うとしている。

 感染症対策の体制と権限を総理大臣直轄の官房長官が担当する司令塔に再編・集約するとしている。

 「危機管理・防災局(仮称)」の設置、「生活支援隊(仮称)」を創設し、危機対応を抜本強化するとしている。

1ー2.新型コロナ対策(経済・復興対策)

 コロナ禍の影響により家計が苦しい世帯に対する即効性支援として、時限的に個人の年収が1000万円程度までの実質所得税の減税と住民税非課税世帯をはじめとした低所得者に年額12万円の現金支給を行うとしている。また、コロナ禍収束時点を見据えた消費税5%減税を実施するとしている。

 持続化給付金、家賃支援給付金を速やかに再給付するとともに、対象拡大、給付要件緩和、事業規模に応じた加算を行うとしている。また、税、社会保険制度の給付猶予特例制度の再実施を行い、減免を含む特例措置を行うとしている。

 以上の新型コロナに対する感染症対策、経済・復興対策に対して総額30兆円の補正予算を直ちに編成するとしている。

2.経済・財政・税制

 中小零細企業への公的助成を行いながら段階的に時給を引き上げ、将来的な目標として時給1500円にするとしている。

 「無期・直接・フルタイム」による雇用を基本原則とし、派遣法の改正を含め、希望すれば正規雇用で働ける社会を取り戻すとしている。

 必要に応じて、雇用類事業者に労働者と同様に労働関係法を適用するとしている。

 長時間労働を抜本的に改善し、過労死、過重労働を断固根絶するため、残業時間を含む総実労働時間の上限規制の遵守徹底を図り、違法残業など法令違反に対する罰則を強化するとしている。

 1週間に1日必ず休日を取ることを法定化し、違反への罰則を設けるとしている。

 前日の終業時刻から翌日の始業時間の間に一定時間の休息を義務付ける「インターバル規制」を導入するとしている。

 自動車運転業務の時間外労働の上限960時間を一般同様の720時間にするとしている。

 高度プロフェッショナル制度を廃止するとしている。

 環境・エネルギー分野、医療・介護分野、農業・観光分野で地産地消、地域のニーズに応じた新たな産業を創出するとしている。

 特別会計を含む予算・決算の透明性を高め、税金の使い道を確認して行政の無駄を排除するとしている。

 民間企業と同様の会計原則、複式簿記等による国の財務諸表を作成し、インターネットでの公開することを義務付けるとともに、自治体等も含めた財務諸表の連結範囲について検討をし、行政活動の実態に即した財務情報の提供を目指すとしている。

 中立的、長期的な観点から財政政策を調査・評価するための「経済財政等将来推計委員会」を国会の下に設置するとしている。

 法人税について政策上必要な減税を残すことを前提に、累進税率を導入するとしている。

 所得税の最高税率を引き上げ、金融所得課税について将来的な総合課税化を見据え、国際標準まで強化するとしている。

 2023年10月に導入が予定されているインボイス方式についてはコロナ禍が収束して経済が回復するまで導入を延期するとしている。

3.社会保障

 国民皆年金を堅持し、持続可能な年金制度の確立を目指し、最低保障機能の強化、世代間公平の向上に向けた年金の抜本改革に着手するとしている。最低補保障機能を強化するため、簡単な資力調査を行うことを前提に低所得の高齢者に年金を一定額上乗せする制度の創設を検討するとしている。

 一定以上の高齢者を対象に税財源部分を中心に基礎年金の一部の支給制限を行うとしている。

 年金第3号被保険者制度の問題について、制度的公平や働き方に与える影響等を勘案しつつ見直し議論を進めるとしている。 

 社会保険料の月額上限を見ないし、富裕層に応分の負担を求めるとしている。

 地域医療構想の全体像を示さない状況での自主的な病床削減等を行う医療機関への財政支援を行っている「病床機能再編支援事業」を廃止するとしている。

 中小病院、有床診療所をはじめとした地域の医療機能全般の底上げをはかり、病床機能分化についてより一層の需給バランスの適正化を図るとしている。

 患者が任意で「かかりつけ医」に登録をする「日本版家庭医制度」を導入するとしている。「かかりつけ医」は地域におけるプライマリ・ケア、専門的な医療機関との連携などの役割を果たすとしている。

 地域の持続的な活性化を担う中核として、国公立、日赤などの公的病院の再生、存続を目指し救急医療、産婦人科、小児科などをしっかり確保するとしている。

 医療従事者の長時間労働の是正、女性医療労働従事者の就業継続、再就業支援などにより医師、看護師を確保するほか、看護師の処遇を改善し働きやすい環境整備に努めるとしている。

 国民皆保険制度を堅持し、医療保険制度全体の安定的な運営のため、保険者間の負担の公平化など格差をなくすとしている。

 現役世代の負担が今後さらに厳しくなることが予想されるため、被用者保険からの拠出金が課題となっている高齢者保険制度を抜本的に改革するとしている。

 高齢者人口の増加、現役世代の減少による地方自治体の財政負担が大きくなることで介護保険料の過度な増加にならないよう、国庫負担の引き上げ、自己負担のあり方、被保険者の対象について検討を進め、将来に向けて持続可能な介護保険制度を構築するとしている。

 認知症基本法を制定するとしている。

 介護現場の人手不足解消のため、介護職員以外の職種を含めた介護事業所で働くすべての人を対象に月額1万円の賃金引上げを目指す「介護・障害福祉事業者の人材確保に関する特別措置法」を早期に成立させるとしている。

 ひとり親家庭への「児童扶養手当」の支給月額を1万円増額し、支給期間を20歳未満までに延長するとしている。

 児童手当の支給対象を高校生まで拡大するとしている。

 待機児童を解消し、利用希望者を「全入化」するとしている。

 「保育士等処遇改善法」を制定し、保育士一人あたり月額5万円の昇給を実現させ、保育士等の処遇改善を行うとしている。

 一人暮らしの学生への家賃補助、低所得世帯を対象に公的住宅手当を創設するとしている。

4.教育

 35人学級の中学への拡充、将来的な小中学校、高校での30人学級を段階的に実現するとしている。

 危険な組体操、しごき、精神論の強要の禁止など、スポーツ医学等の科学的識見に基づく保健体育授業を推進するとしている。

 公立の義務教育諸学校等の教育職員等に関する特別措置法の廃止を含めた見直し、加配教員、スタッフの増員の推進、持ち授業時間の上限設定によって教職員の時間外労働、長時間労働を是正するとしている。

 高校の授業料の無償化への所得制限を撤廃し、義務教育の学校給食を無償化するとしている。

 全都道府県での夜間中学の拡充を図るとしている。

 国連社会権規約の斬新的無償化実現のため、大学授業料を引き下げるとしている。

 「子どもの基本権利法」を制定するほか、学校の校則について子どもの意見表明権を保障し、教職員が当事者である児童、生徒との議論を深め、あり方を検討するとしている。

5.農林水産業

 農業者戸別所得補償制度を復活し、米の生産調整を政府主導に戻すとしている。

 農業の中心である家族経営を活性化し、国内農産物の需要拡大を図るとともに、耕作利用率の向上に向けた施策および食育・地産地消の取り組みを総合的一体的に推進し、農業者戸別所得補償制度の構築によって食料自給率の50%を目指すとしている。また、農地の有効利用等により、国内生産の拡大を目指すとしている。

 農地は公共財であるとの考え方から、農地転用の厳格な運営に向けて、都市計画などでの厳格なゾーニング規制など従来の農地法等の枠組みを超えた本質的な農地改革のあり方を検討するとしている。

 農協法を改正し、農協を「地域の農協」として、農家の所得向上と経営の安定を図るだけでなく、生活、医療、福祉など地域の様々な機能をも支える組織であることを明確にする。

 遺伝資源を守るため、主要農作物種子法を復活させるとしている。また、貴重な遺伝資源の持ち出しや種子の持ち出しが行えないよう制度の厳格化に取り組むとしている。

 消費者が安心して食品を合理的に選択できるよう食品のトレーサビリティの拡大を図るとしている。

 食の安全、安心への関心が世界的に高まる中、各種の市場開拓事業を展開し、国内の農林水産物・食品の輸出を積極的に進め、農林水産業の所得を増大させるとしている。

6.環境

 再生可能エネルギーによる発電割合を2030年に50%、2050年に100%とすることを目指すとしている。関連して温室効果ガス実質ゼロは2050年までに原子力エネルギーに依存しない形で行うとしている。

 原子力発電所の新設、増設はこれを認めず、すべての原子力発電所の速やかな停止、廃炉決定を目指すとしている。

 化石燃料についてはCO2の排出の少ないLNG火力を中心に再生可能エネルギーへの移行期を支えるエネルギーとして既存設備の有効活用を前提とするとしている。石油・石炭火力については、当面緊急時のバックアップ電源としての活用を基本とするとしている。

 廃プラゼロ法案を提出し、脱使い捨てプラスティック社会を目指すとしている。

 廃棄物の不法投棄、不適切処理を防ぐため、法制度を抜本的に見直すとしている。廃棄物の最終処分場について適正かつきめ細かな管理・監視体制を構築し、人の健康が脅かされることがない安全、安心な社会を目指すとしている。

7.外交・平和(安全保障)

 健全な日米同盟を基軸に、アジア太平洋地域をはじめとした世界との共生を実現するとしている。近隣諸国との人的交流を大幅に拡充し、国民各層の相互理解を深め、日本の未来を見据えた外交戦略を進めるとしている。

 核兵器廃絶、人道支援、災害救援、経済連携、文化交流などを推進して人間の安全保障を実現するとともに、自国のみならず他の国々とともに利益を享受する開かれた国益を追及するとしている。

 健全な日米同盟を外交・安全保障の基軸に、日本の安全保障環境を直視し、専守防衛に徹した防衛力を確実に整備し、国民の生命・財産、領土・領海・領空を守るとしている。中国による南シナ海での力による現状変更や尖閣諸島周辺での日本に対する挑発行為には毅然として対応するとしている。

 現行の安全法制について、立憲主義および憲法の平和主義に基づき、違憲部分を廃止するなど必要な措置を講じ、専守防衛に基づく平和的かつ現実的な外交・安全保障政策を築くとしている。

 尖閣諸島は日本固有の領土であり領有権問題は存在しないとの立場から、力による現状変更の試みに毅然に対応するとともに、北方領土(筆者注:南千島)の二島返還論を受け入れず、竹島の国際法による平和的解決を強く求めるとしている。

 中国の急速な軍備拡大、北朝鮮のミサイル、ロシアへの北方領土(南千島)への新型ミサイル配備への対応を専守防衛に徹しつつ、効率的、効果的に日本の防衛力を維持、整備するとしている。

 在日米軍基地問題については、抑止力を維持しつつ地元の基地負担軽減や日米地位協定の改定を進めるとしている。米軍、軍人、軍属、その家族に対する国内法の原則遵守、日本による米軍基地管理権などについて米国と協議し、ヨーロッパの米軍受け入れ国同様の基地使用に関する協定・覚書を締結し、使用条件を規定するなど、米軍駐留のあり方を改善し、基地所在地域の負担を軽減するとしている。

 辺野古移設工事を中止し、沖縄の基地のあり方を見直し、米国と再交渉をするとしている。

 国際的な企業活動等に従事する在外邦人、企業の安全を確保するための態勢を構築するとしている。

 拉致問題について、早期にすべての拉致被害者が帰国できるよう全力で取り組むとしている。

8.人権

 男女共同参画社会基本法のもと各次の男女共同参画基本計画が実行あるものとなるよう、内閣府や男女共同参画会議等による監視体制を強化し、重点方針を中心に各省での予算の金額や執行状況などをフォロー、分析するとしている。

 男女ともワーク・ライフ・バランスの実現が可能な職場・地域・社会の環境整備を目指すとしている。

 選択的夫婦別姓制度を早期に実現するとしている。

 女性の正規雇用化、賃金上昇に取り組むとしている。

 女性だけにある再婚禁止期間を廃止するとしている。

 LGBT平等法を制定し、同性婚可能な法整備を進めるとしている。

 人権の尊重を基本とした在留外国人を包摂できる社会の実現と在留外国人の増加による社会経済情勢の変化への配慮を基本理念とする「多文化共生社会の形成」を目指す基本法を整備するとしている。

 ヘイトスピーチ対策への取り組みを拡大し、人種、民族、出身などを理由うとした差別を禁止する法律の制定など国際人権基準に基づき、差別撤廃に向けた取り組みを加速するとしている。

 現行の難民認定制度・収容送環制度を抜本的に見直し、保護すべき難民認定者、補完的保護対象者等を適切に保護できる新たな難民認定・保護制度を確立するため、政府から独立した第三者機関「難民保護委員会」の創設等を柱とする難民等の保護法案の制定を目指すとしている。

 あらゆる人権侵害を受けた人を救済するための独立性、公正中立さが制度的に担保された実効性のある人権救済機関「人権委員会(仮称)」を設置し、救済活動を行う仕組みを整えるとしている。

 取り調べ等の録画・録音制度の対象事件をさらに拡大し、これらについても取り調べの開始等から終了までの録音・録画を実現させるとしている。

 被疑者・被告人の身体拘束について人権保障と真実発見の調整の観点から課題を整理し、対応を検討するとしている。

 刑期を終了した人たちが再犯を犯さないよう、高齢者、障がい者、薬物依存歴のある人など、実情に応じた矯正プログラムの見直し、刑期終了後の就職支援等の充実を図るとしている。

 保護司を含めた保護観察制度を社会の変容に合わせて見直すとしている。

 共謀罪の廃止を求めるとしている。

 精神障がい、知的障がい、身体障がいの当事者の政策決定過程への参画を実現し、ともに議論しながら障がい者政策を進め、内閣府に設置した政策委員会の機能強化など、障害者基本法の改正を検討するとしている。

 障がいの有無によって分け隔てられることなく、自立した生活が送れるよう、障がいのある人もない人もともに生きる共生社会を実現するため、改正障害者差別解消法の附帯決議を踏まえるとともに、裁判外紛争解決の仕組みの検討など、同法の実効性ある運用を目指すとしている。

 ミャンマー、ウイグル、香港、北朝鮮の人権侵害に抗議し、国際社会とともに人権蹂躙を即時停止するよう働きかけるとしている。国際的な基本価値の規範を強化すべく、国内の人権規範を強化する法・体制整備や他国間企業活動でも人権の尊重を反映するなど「人権外交」をはじめとした価値観外交を進めるとしている。 

9.憲法

 立憲主義に基づき権力を制約し、国民の権利拡大に寄与するのであれば、憲法に限らず、関連法も含め、国民にとって真に必要な改定を積極的に議論検討する。

 検討に際しては、憲法の条文の規定ぶりから具体的かつ不合理な支障があるか、あるいは条文に規定がないことから具体的かつ不合理な支障があるかを重視する。すなわち、立憲事実の有無を基本的視座とする。

 立憲民主党「憲法論議の指針」を参照のこと(政策集に記載) 

10.その他

 人と動物が幸せに暮らす社会に向け、動物を飼養する者の責務と動物取扱者の責任の強化、動物に不要な苦痛を与える虐待行為の罰則を強化に取り組むとしている。

 被選挙権を20歳引き下げ、立候補休暇制度を設けるとしている。

 国政選挙でクォータ制を導入し、男女半々の議会「パリテ」の実現を目指すとしている。

 内閣人事局による幹部職員人事制度を見直し、官邸の人事介入を改めるとしている。

 カジノ解禁の方針を撤回させるとしている。

 日本学術会議の任命拒否がされた6人を新たな会員として任命するとしている。


立憲民主党政権政策

「立憲民主党 政権政策2021」(画像をクリックすると特設サイトに飛びます)

 いかがだったでしょうか。ここに挙げたのは私が注目した公約ですので、全部を知りたいという方は、上記の「政権政策2021」を下までスクロールすると、下記のような画面が表れ、政権政策パンフレットと政策集をダウンロードできます。

立憲民主党2021選挙ダウンロード2

 次回は公明党の選挙公約を比較検討する予定です。

皆が集まっているイラスト1

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