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立憲民主党の総選挙惨敗についての雑感

前回総選挙からの投票率分上昇についての雑感

 先日10月31日の衆議院選挙では新聞の情勢調査の情勢と異なり、立憲民主党が96議席と改選前110議席を下回り、惨敗した。立憲民主党の支持者が動揺しているだろうことは、SNS上の「選挙クラスタ」を称する同支持者が予想を外したことについて、どうしたらいいのかという状況になっていることからもわかる。また、選挙の投票行動分析によって、惨敗の理由を分析するべきで、政策面などから支持されなかったことについて否定的見解を示す意見もある。(※1)しかし、私は選挙での投票率および自民党と立憲民主党の比例代表の得票率に注目をしたい。

 今回の総選挙での投票率は55.93%と、2017年の53.68%、2014年の52.66%に次ぐ、戦後3番目に低い投票率となった。(※2)前回2017年と今回の比例の得票数を比較すると、自民党が18,555,717票(有権者数:106,091,229人・絶対得票率17.49%)から19,914,883票と(有権者数:105,622,758人・絶対得票率18,85%)と得票数で135万票余り、絶対得票率で1.36%増やしたのに対し、立憲民主党は11,084,890票(有権者数:同上・絶対得票率10.45%)から11,492,115票(有権者数:同上・絶対得票率10.88%)と得票数で40万票余り、絶対得票率では0.43%しか得票数が上回っていない。

 立憲民主党は前回選挙と異なり、希望の党の後継政党である国民民主党の大半の議員と2019年の参議院選挙後に再合流をしており、規模の点では前回衆議院選挙を上回っていた。にもかかわらず票が伸び悩んだということは、立憲民主党の票が従来の支持層以外の票を掘り起こすことができなかった可能性がある。

 投票率が2.25%上がり、自民党の比例絶対得票率が1.36%と投票率の上昇分の60%を占めたのに対し、立憲民主党は0.43%と上昇分の19%にしか過ぎないことと比較すれば、自民党は保守票の掘り起こしがある程度成功をしたと言えよう。そうした結果が小選挙区での接戦区での野党候補の相次ぐ敗北につながった可能性がある。もちろん小選挙区ごとに各候補者の絶対得票率を考察しているわけではないので、以上に挙げたのは仮説に過ぎない。ただ、以前2017年総選挙で野党が一本化した候補について2014年総選挙の絶対得票率を比較した際、与党候補が保守票を掘り起こし票を上乗せした傾向があったのも事実である。(※3)

 今回の選挙で立憲民主党は前回2017年、前々回2014年と異なり、野党第1党は過半数の候補者を形式的でありながらも擁立でき、曲がりなりにも形の上では一応自民党に代わる政党であるということを有権者に示した。にもかかわらず、投票率は旧民主党時代の総選挙時の60%前後-郵政選挙、政権選択選挙に至っては60%台後半にまで達した-には届かなかった。

 前述した今回の立憲民主党の得票数11,492,115票、絶対得票率10.88%だが、旧民主党が2000年に獲得した15,067,990票(有権者数:100,492,328人・絶対得票率14.99%)から350万票余り少なく、絶対得票率でも4.11%少ない。今回の投票率55.93%に比し、2000年の投票率は62.49%と6.56%違うが、棄権層の多くが潜在的に野党票だという可能性はないだろうか。だとすれば、棄権層が現状を追認し、野党に投票をしようという意識が生まれなかった原因がどこにあるかを立憲民主党やその支持者が真剣に考えない限り、次の参議院選挙も今回のように惨敗する可能性は否定できない。

立憲民主党の政策面に対する雑感

 立憲民主党の今回の選挙公約では、個人収入1000万円以下の人への実質所得税減税とコロナ収束を見据えた時点での消費税5%減税を提言し、財源を法人税課税強化や富裕層への課税強化で対応をするとした。(※4)しかし、そこでの財源に対する具体的な数字、規模を立憲民主党は示さなかった。これでは責任政党として政権を担い得る政党として疑問符が沸いてくる。(※5)また、現在巨額の赤字財政で太平洋戦争末期の国債規模を上回る国債に対する状況も考えれば、財政政策と税のあり方についてもっと深く切り込んだ政策を提言するべきであったが、財政のあり方に関する委員会を国会に設置すること、民間企業の基準に基づく国の財務諸表を作成するといったこと以外には財政のあり方についての言及もなかった。にもかかわらず、減税を強調することは、立憲民主党が財政をどうするかという視点がないと有権者に疑われたということはないだろうか。

 野党支持者はこうした見解に自民党も具体的な選挙公約を示していないと反論するかもしれない。それは事実ではある。しかし、自民党は政権を担当している政党であり、実際の是非はともかく、政権運営上問題がないということを強調をすることで支持を獲得してきた政党である。野党がこうした自民党の姿勢に対抗するにはその政権運営の問題点について個別具体的に指摘し、それに代わる説得力ある政策について有権者の理解を得ることが必要である。だが、今回の総選挙結果からすれば、野党の政策は説得力ある政策ではないと有権者に判断されたとみなされてもやむを得ないだろう。

 もちろん、政策面以外でも議員の選挙区において普段から地元回りや有権者の声に耳を傾けるといった基本的なことができているか、党の資金面の問題、人材が与党と比較して不利であるといったことも大きな要因であろう。しかし、そうであればこそ、立憲民主党は有権者が政治をどう考えているか、とりわけ今回棄権をした有権者が政治に求めるものがどういうものか、それこそ立憲民主党を支持している「選挙クラスタ」と称する人びとは分析し、いかにして彼らの支持を得るかを考察し、実行に移すべきではないだろうか。こうした考え方は私が無党派層という第三者だから言えることだからであろうか。読者の皆さんのご意見をうかがいたい次第である。

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(※1) 例えば、三春充希などは政策面からの惨敗という見解に対して否定的な見解を示している。

(※2)

(※3)

 なお、今回総選挙における個別具体的なデータについては別の機会にお示ししたい。

(※4)

(※5)

 れいわ新選組の議席獲得ということを強調する意見もあるが、れいわ新選組の得票数は2019年参議院選挙の比例で2,280,252票(有権者数:前掲・絶対得票率2.16%)、今回の総選挙の比例で2,215,648票(有権者数:前掲・絶対得票率2.09%)とほぼ横ばいであり、固定層以外の支持拡大の傾向が見られない。

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