第49回(2021年)総選挙議席シミュレーション(考察)
衆議院選挙が当初の11月7日から10月31日に繰り上がったこと、また候補者を急きょ差し替えたり、撤退するといったこと、その他私自身が見落としていた立候補などでバタバタした感はあります。とりわけ、立憲民主党と共産党との選挙協力での共産党、れいわの候補取り下げ、また連合、とりわけ旧民社同盟系労組の共産党への反発による愛知11区での候補者の取り下げや維新候補が小出しに立候補したことも修正に大きな影響を与えたことは否めません。
また、シミュレーションは内閣支持率について、NHK、朝日新聞で50%前半、読売新聞で50%後半を前提としていたものです。そのため議会の数値が与党寄りの傾向となっていることは否めません。以上を前提とした各党の議席数は以下のような結果となりました。
議席シミュレーション全体の結果
一応中間値がシミュレーションの結果です。なお、数値の範囲ですが、最小値は接戦区を全部落としたときの数値、最大値は接戦区を全部当選したときの数値を表したものです。5chの議員・選挙板、したらば掲示板の選挙板では自民党が300議席を超えるないし、自民党が過半数割れをして立憲民主党が躍進するという予想がありますが、それらを反映しての数値ではありません。
比例の議席のシミュレーションの数字は、2019年参議院選挙の各党の得票数を元に算出しています。ただし、立憲民主党については国民民主党、社民党、れいわの票数のそれぞれ半分を加えたもの、日本維新の会についてはNHKから国民を守る党の票数の半分を加えて計算しています。立憲については旧立憲、旧国民の合併、自治労13県本部が立憲を支持したこと、無党派層のれいわ離れを考慮したことによるものです。維新についてはポピュリスト的傾向の支持者が維新に向かうものと想定してのものです。
情勢調査記事風議席情勢
以上を踏まえ、新聞記事の情勢調査記事を意識した書き方だと次のようになります。
横見出し「自民堅調、立民低迷」
縦見出し「公明堅調、維新倍増の勢い、共産議席増」
宴は終わったが、の議席シミュレーションによると、自民党は270議席を上回る勢いで、解散前の276議席に近い議席を獲得する勢いだ。自民党は中国、四国、北陸信越といった自民党が本来強い地盤で確実に議席を獲得するほか、都市部でも千葉、兵庫を中心に議席を獲得する見込み。対する立憲民主党は105議席と100議席を上回る見通しであるものの、解散前の110議席を下回り低迷する見込みだ。立憲民主党は北海道、愛知、長野、新潟、三重など本来的に強い地盤のところで自民党と互角ないし自民党を上回る可能性があり、東京、神奈川などを中心に議席を獲得する見込みだが、それ以外での地域の議席を拡大するめどが立っていない。
公明党は東京、大阪、兵庫で擁立した議席の獲得の可能性が高く、北海道、広島で擁立した候補もやや優位な勢いだ。日本維新の会は地盤の大阪を中心に議席を獲得するほか、比例でも堅調な伸びを示す情勢。共産党は沖縄1区で議席を獲得する可能性があるほか、比例での議席増が見込める模様。国民民主党は現職を中心に小選挙区で5議席程度確保する見込みだが、比例での議席獲得に勢いがない。社民党は沖縄2区以外での議席の獲得が厳しく、れいわ新選組は議席獲得の状況は厳しい。
これは飽くまでもシミュレーションであり、実際の結果がその通りになるかは別です。なお、週刊文春、サンデー毎日2021年10月24日号、週刊現代週刊現代10月2日9日号の予想は私が出したシミュレーションよりも自民に少なく立憲に多めです。(※1)これら雑誌関係者の選挙予想は過去のデータだけでなく、各党やメディア関係者の情報を踏まえて補正を加えた可能性があります。その意味ではどれだけのデータがあるか、補正をどう捉えるかによって議席数が変わるものであり、私のシミュレーションが情報不足、分析ができてないということは否めません。その意味でも、タグに「当たらない」と書かせていただきました。
今回シミュレーションを行おうと思った理由
当初、私は予測という形で出そうと思いました。しかし、①現地での取材を行っていないし、そのデータを知っているわけではないこと、②選挙区内の市区町村、地域単位でのデータを細かく分析しているわけではないこと、③過去複数回の選挙が野党が離合集散をしているが、それに対する有権者の投票行動を詳細に分析をしているわけではないことから予測の形で出すのは不適切であり、ある仮定の上において議席を想定をしたらどうなるかというシミュレーションの形の方が望ましいと考え、シミュ―レーションという形で投稿させていただきました。(※2)
今回の選挙では野党間の統一候補が前回よりも多く、その意味で野党間の選挙協力が有権者の投票行動にどういう影響力を与えるのかに注目しています。既にお話している通り、前回2017年の衆議院選挙でいわゆる主要政党の候補が一騎打ちとなった選挙区を見ると、保守系候補が危機意識を持ち、保守票が掘り起こされて投票率が高くなっており、単純に野党票を合わせれば野党側が勝利をするというものではないと思われる傾向が見られました。(※3)その意味で、今回野党統一候補となった選挙区でどのような現象が起きるか注目をしています。それに加え、前述したように維新の大量の候補擁立のほか、シミュレーションを作成中にトヨタ労組離反の情報が入ったこともあり、反共産党の色合いが強い連合の旧民社系同盟労組の動きがどのように影響をするのかも注目しているところです。
したがって、今回の選挙では有権者はどのような投票行動を行うのか、選挙結果も踏まえ前回総選挙との比較検討をすることが今回のシミュレーションの目的でありますことを最後に述べて本稿を終わらせたいと思います。
明日は衆議院選挙の公示日です。そこから30日まで選挙戦、31日に投票日となります。それを踏まえ、自民、公明、立憲民主(余力があれば共産、維新、国民)の選挙公約について、各党が強調している公約および私が注目した公約について取り上げたいと思います。
私、宴は終わったがは、皆様の叱咤激励なくしてコラム・エッセーはないと考えています。 どうかよろしくご支援のほどお願い申し上げます。
(※1)
サンデー毎日2021年10月24日号予想
週刊文春2021年10月21日号予想
週刊現代10月2日9日号
なお、週刊現代での予想の後、松田は2021年10月14日の夕刊フジで次の予想をしている。
週刊現代においても10月23日号では次のように修正している。
(※2) 静岡補選与野党でデッドヒートを繰り広げている可能性がある情勢調査があり、ここで伯仲、野党勝利となった場合には野党が選挙戦で勢いが増し、有利な展開となる可能性がある。
(※3)