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2021年総選挙各党公約比較-①自民党-

 10月31日の選挙を踏まえ、各党の選挙公約を比較検討したいと思います。第1回目は自民党です。

1ー1.新型コロナ対策(感染症対策)

 新型コロナ対策として11月早期までに希望者へのワクチン接種を完了させるとしてる。また、ワクチン接種が行き渡った後には接種記録などを活用してイベント、旅行などが行えるように「新しい日常」を取り戻すとしている。同時に3回目接種のための必要な準備を整えていくとしている。

 感染症問題を有事とみなし、クラスター発生防止、人流抑制のための法改正を含めた国民的議論を行うとしている。また、病床、医療関係者の人材確保、保健所の対応力の確保の枠組みを整備するとしている。

 治療薬、ワクチンの開発、生産体制の強化を図り、緊急時の医薬品等の供給体制を確立するほか、治療薬、ワクチンの製造拠点整備を行うとしている。また、早期のワクチン、治療薬等の実用化支援を図るとしている。

1ー2.新型コロナ対策(経済・復興対策)

 コロナでの休業要請の対象の中小企業・小規模事業者への協力金、月次支援金の支給の促進、実質的な無利子、無担保の融資、返済猶予の要請を行うとしている。また、コロナ禍での過剰債務を抱えた中小企業等の再生のため、個人破産への対応や事業再生への積極的支援を行うとしている。

 地方再生臨時交付金をはじめ、地方再生関連交付金を活用した地方の取り組みを支援するとしている。

2.経済・財政・税制

 経済の持続的成長を実現することで将来不安を軽減することで、消費、投資が更に呼び起こす好循環を実現させるとしている。

 石油、天然ガス、金属鉱物資源等の安定供給を実現し、国民生活や経済生活を支えるとしている。

 円への信頼を持続させるために、経済成長力を維持し、中長期的に見通せる経済財政運営、市場流動性の確保に取り組むとしている。

 財政の単年度主義の弊害を是正するため、科学技術振興、経済安全保障(注.自民党の造語)などの国家課題に対しては中長期的・計画的に取り組むとしている。

 経済社会の構造変化に伴い、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤の構築の観点から税制を見直すとともに、地方自治体が安定的な財政運営を行えるよう地方税、地方交付税等を安定的に確保するとしている。

3.社会保障

 社会保障全般の総合的な改革を進め、持続可能な全世代型社会保障を行うとしている。

 年金は国民が安心できる水準を確保するとしている。

 少子化対策については、安定的財源の確保を含め協力に推進をするとしている。また、財源を確保し、待機児童減少、病児保育の拡充を行い、保育人材の確保、保育の受け皿整備を進め、学童保育の受け皿の拡充、質の確保を進めるとしている。子育て支援が必要な世代へ支援を行う拠点を全国に設置するとしている。

 国民皆保険制度を堅持し、予防・健康づくりに取り組むとともに、小児・周産期医療、救急医療等の確保、歯科健診の充実、かかりつけ薬剤師、薬局の普及、看護師の確保に努めるとしている。また、介護福祉人材の確保と介護の受け皿整備を進めることで介護離職を防ぎ、50万人分の介護の受け皿を整備するとしている。

 このほか、社会福祉協議会、民生委員などの公的組織の拡充、強化を図るとしている。

4.教育

 幼児教育・保育の無償化を着実に推進しつつ、「幼児教育振興法」の推進や教職員配置の改善、幼小接続の改善など幼児教育の質的充実を推進するとしている。

 学校の指導や校務・事務体制の効果的な強化、部活動改革の推進、支援スタッフの配置促進、コミュニティ・スクール等の必置化を進め、学校での働き方改革を行うとしている。

 小学校の35人学級を計画的に推進し、効果検証を行った上で中学校の35人学級対応を検討するとしている。

 私立小中学校の家計急変支援世帯の支援、高校生などへの就学支援の充実、低所得者世帯の高等教育無償化を着実に実施し、所得連動型拠出金制度や多子世帯支援等の検討を進め、教育の機会均等を実現するとしている。

 教師が子どもと向き合う時間を増やし、新学習指導要領を着実に実施することで学校の働き方改革を進めるとしている。

 いじめ、不登校、児童虐待への対応を強化するため支援スタッフを充実し関係者や外部の関係機関の連携により、相談支援できる体制を強化するとしている。

 私立小中学校の家計急変世帯支援、高校生などへの就学支援の充実、低所得世帯への高校無償化を着実に実施し、所得連動型拠出金支援制度や多子世帯支援等の健闘を進め、教育の機会均等を実現するとしている。

 学部・大学院の活用、研修の効果向上と負担軽減、指導力不足教員対応等の一体改革を進めることで、質の高い教員、職員を採用するとしている。

5.農林水産業

 農産物の価格安定が喫緊の課題であり、需要に応じた生産・販売が行われるよう、地方交付金を含む水田フル活用予算を責任を持って恒久確保をするとしている。

 米については、コロナ禍による需要減に相当する新たな特別枠を設け、昼食、外食、生活弱者等への米の提供を支援し、販売環境を整備するとともに、収入が減少をした場合にはナラシ対策、収入保険で対応をするとともに支払いがなされている間は無利子融資を行うとしている。

 将来にわたり国民に食料を安定的に供給するため、需要に応じた生産の拡大を進め、食料自給率、食料自給力を強化し、農業、農村の所得拡大を行うとしている。

 2025年の2兆円、2030年の5兆円の輸出目標達成に向けて輸出産地、事業者の育成、品目団体の組織化、戦略的サプライチェーンの構築を進めるとしている。

 すべての農産物を対象とした自然災害、価格低下などのあらゆる収入減少リスクに対応できる収入保険の加入を促進するとしている。

 改正種苗法によって種苗の海外流出を防ぎ、改正改良増畜産法、家畜遺伝資源法により和牛を守るとしている。

 人・農地プランを法定化し、地域における担い手に対し、農地の集積・集約化を進めるとともに、その経営発展を支援するとしている。受け手のいない農地については放牧等による持続可能な土地利用を進めるとしている。

 新規就農者の促進確保のため、親元収納を含めた新規就農者への賃金支援、地域のサポート体制の整備、農業教育の充実等を支援し、女性の一層の活躍の推進、外国人材確保と受入れを支援するとしている。

 生産性向上のための林道・作業道等の整備を進めるとともに、ウッドショックを踏まえた国際材の安定供給体制を構築するとしている。

 水産日本の復活に向け、漁船・漁具等のリース方式による導入、施設の再整備、計画的な代船建造を進めるほか、儲かる漁業、養殖業の実証により、持続可能な収益性の高い操業体制へ転換するなどとしている。

 漁業者が安全に操業できるよう、大型取締船の導入など漁業取締体制の強化を図り、密猟対策や周辺国との国際資源管理強化などにより、日本周辺の資源の保護・回復を図るとしている。

 漁業地域の防災、減災、国土強靭化対策を2021年度から5年間かけて集中的に実施するほか、拠点漁業等の整備、流通機能強化、養殖拠点の整備、環境変化に対応した漁場、藻場、干潟の安全整備を図るとしている。

6.環境

 2050年カーボンニュートラル実現に向けて2兆円基金、投資促進税制、規制改革などあらゆる政策を動員するとしている。

 2030年度温室効果ガス46%削減を目指し、50%の高みに向けて挑戦を続けるとしている。

 火力発電は、再生可能エネルギーの変動力を補う調整力、供給力として適切な電源ポートフォリオを構築するとしている。 

 気候変動適応法により豪雨、猛暑の多発、地域特産物の栽培適地変化に対応をするべく、防災、減災の推進、熱中症対策を国、自治体、企業の将来を見据えて適応策を推進するとしている。

 プラスティック資源循環法に基づく国内の資源環境体制の構築、海岸漂着物の円滑な処理をはじめとする海洋ごみ対策を推進し、プラスチックごみの更なる対策を推進するとしている。

 浄化槽の普及を通じて水環境の保全を図り、快適な暮らしを創出するとしている。 

7.外交・平和(安全保障)

 「自由で開かれたインド太平洋」の一層の推進に向け、日米同盟を基軸としてオーストラリア、インド、ASEAN諸国、欧州、台湾とのパートナーとの連携を強化するとしている。

 台湾のTPP加盟、WHO総会のオブザーバー参加を歓迎するとしている。

 北朝鮮への制裁の厳格な実施を行い、拉致被害者全員の即時一槽帰国を実施するとしている。

 政情不安に陥った国、地域での在留邦人保護に万全を期すとしている。

 国連改革を推進し、常任理事国入りを目指すとしている。

 中国の急激な軍拡、尖閣諸島・台湾周辺等における軍事活動の急激な活発化・力を背景とした一方的な現状変更の試みなどで安全環境保障が変化しているとして、対応を抜本的に見直すとしている。

 NATO諸国の国防予算の対GDP目標2%以上を念頭に防衛関係費の予算増額を目指すとしている。

 沖縄の基地負担等を軽減するため普天間飛行場の辺野古移設、在日米軍再編を進めるとしている。

8.人権

 人権擁護は基本原則であり、人権状況の改善じ実際に貢献する日本らしい人権外交を主体的、積極的に行うとしている。

 侮辱罪の厳格化、削除要請の強化をなどを通じ、インターネット上の誹謗、中傷、フェイクニュース等への対策を強化し、人権意識向上の啓発活動を強化し、様々な人権問題の解消に取り組むとしている。

 法テラスの基盤整備を強化し、子ども、障がい者、一人親など社会的、経済的に立場の弱い人への法的支援を充実させるとしている。

 保護司、協力雇用主、更生保護施設等の民間協力者、地方自治体の活動支援を強化し、国、民間、自治体が一体となった再犯防止策や満期釈放者対策を通じ、安全、安心な地域社会を構築するとしている。

 性的志向、性自認に関する広く正しい理解の推進を目的とした議員立法の速やかな制定を実施し、多様性を認め、寛容であたたかい社会を築くとしている。

 外国人の適正な出入国、在留管理を徹底しつつ、一元的窓口の設置など多文化共生社会の実現に向けた環境整備を行うとしている。同時に技能実習制度、特定技能制度の活用を促進し、中小企業、小規模事業者等への人手不足に対応するとしている。

9.憲法

 憲法改正への取り組みを強化するとしている。イメージとしては、①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育の充実の4項目を提示するとしている。

10.その他

 愛護動物の虐待をなくし、不適切な動物取扱業者への対応を強化するとともに、保護犬猫の譲渡促進により殺処分ゼロを目指すとしている。

 当選無効となった議員の歳費返納を義務付ける法改正の速やかな実現に取り組むとしている。

 自由、民主主義、人権といった価値を守り、有志国と連携して法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現し、日本国の生存、独立、繁栄を経済面から確保するため経済安全保障政策を推進し、「経済安全保障戦略」を早急に策定するとしている。


自民党2021衆院選特設サイト

「自民党衆院選2021特設サイト」(画像をクリックすると特設サイトに飛びます)


 いかがだったでしょうか。ここに挙げたのは私が注目した公約ですので、全部を知りたいという方は下記の「令和3年政策BANK」、「令和3年政策パンフレット」をご覧ください。


令和3年政策BANK(自民党2021年衆議院選挙公約)

令和3年政策パンフレット(自民党2021年衆議院選挙公約)

 次回は立憲民主党の政権公約を比較検討します。

皆が集まっているイラスト1

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