「漆黒の熱力学 ~Prelude~」に関しての補足・制作話

初めまして、うたきれすと申します。

先日投稿致しました動画に関しての補足をしていきます。

例によってですが、間違った事を書いていたらやさしく指摘いただけると助かります。

今回は題にpreludeと入っている通り、本格的に熱力学に入っていく前に知っておいてほしい、熱力学の前提について話しました。

その前提をここで改めて記させて頂くと、「熱力学はミクロの視点に立ち入らずに、対象のマクロな性質について、力学を基盤として議論する学問である」という事です。加えて、熱力学の結果の一つとして、「熱力学的な対象の変化には起こりにくい変化と起こりやすい変化があり、実はそれを決める対象の"価値"を、力学を基盤とする熱力学の体系の中で決定する事ができる」という事実が示唆されました。

ここで大概の人はその"価値"を熱力学の主役とも言えるあの量だと勘づいたかと思いますが、実は私はその量だけを指して言っているのではありません。また、そのためにあえて言葉を濁しています。これについては後の動画で徐々に明らかにしていこうと思います。

この”価値”についての議論は分かりづらい所があると思いますのでもう少し言葉を補います。「価値が低いもの」「元に戻らないもの」を矢印で結んだ箇所が何回かありましたが、これは数学での「 ⇒ (ならば) 」を指していると思ってください。

めたんは最初「価値が低くなると元に戻らなくなる」と言いました。よって「低価値 ⇒ 戻らない」です。しかし「元に戻らないという意味では価値が低い」と言っているので「戻らない ⇒ 低価値」のように聞こえます。価値が実際に戻るかどうかで決まるのなら、それはトートロジーとなり、戻る戻らないは結局やってみないと分からない事になってしまいます。

ここでめたんが言いたかった事は「価値が低い」という名称が「元に戻らない」事から来ているというだけで、その後に語るように、実際はこの「戻るか戻らないかを決定する"価値"は力学的操作によって決定できる」のです。

以上を纏めると、「力学的操作 =(定義)⇒  低価値」であり、「低価値 ⇔ 戻らない」であるという事になります(⇦が成り立つ事は動画では言ってませんが多分成り立ちます。後でしっかり調べておきます)。戻るかどうかという性質が、別の方法で定義された”価値”で議論できる、という事実が熱力学の一つの著しい結果なわけですね。


補足は以上としまして、制作に至った経緯やちょっとした裏話など、つらつらと書いていこうと思います。


そもそも私が熱力学、ひいては物理学に興味を持ったのは、いかまぐ氏(twitter:@ikamagu)の「ことのは熱力学」シリーズ(https://nico.ms/sm35176768)が発端です。

大学の熱力学の単位を落とし、熱力学を自分で勉強する必要性に駆られ、最初に見たのがこのシリーズでした。

当時ほぼ高校の物理しか知らないような状態だった私は物理学という学問がひどく無機的なものに見えていたと思います。

その認識を「(理論)物理学は人間の知性をフルに使って自然を理解し、理論を一から作り上げていく試みだ」と改めさせられたのがこのシリーズであり、このシリーズの参考元である田崎晴明先生の熱力学本でありました。

元々高校の勉強の中では物理そのものより倫理の中での科学思想に興味があるような人間だったので、田崎先生のような物理学者・研究者方の自然に対するアプローチに強く惹きつけられ、物理をやるようになったという経緯です。

中でも熱力学は物理をやるにあたって最初に学び始めた学問である上に、物理全体を貫く根源的な原理を内包した体系であるし、化学科の学生としてもこれに取り組む必然性があるため、特に思い入れを持って学んでいます。

その学びの一環として、頭の中で纏まってきた事をアウトプットしたいという気持ちがあり、この動画シリーズの構想を始めたわけです。

しかしその構想を練る内に、自分の熱力学への理解がまだまだ足りていない事が分かってきて、動画を形にすれば形にするほど熱力学を学び直したいという気持ちが強く湧いてきました。

今では自分の熱力学の勉強への発破をかけようというモチベーションで動画の続きを考えている部分が大きいです。

よって、学び直しながらの投稿になるので完結までのペースはかなり遅いかと思いますが気長にお待ち頂けると幸いです。

ひとまずは「ことのは熱力学」シリーズの進度に追いつく事がノルマだと思っているのでそこまでは安心してお待ち頂けたらと思います。


ここからは制作裏話なのですが、今回の動画(というか今後もそうなると思いますが)ではaviutlなどの標準的な動画編集ソフトを使っていません。

理由は私の PC が MAC だからという一点に尽きます。

そこでソフトは何を使ったかと言うと、「iMovie(windowsで言う”フォト”の”ビデオエディター”...よりは機能が多いのかなという感じ)」と「keynote(mac版power point)」です。VOICEVOXは最近macにも対応されたため使用できました。

機能が少ない上に慣れないソフトを使ったための苦労が多く、どうしても紙芝居的にしか動画を作れないという制限の上ででしたがなんだかんだ納得のいく出来にはなったかなと思います。今後もこの形式で動画を作っていくつもりです。


今回の動画及び記事に何かあれば本人twitter : @utachilles までお願いします。

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