本はささやく

ふと見つけた古書店に入る。古い紙とインクの匂いが何十年も降り積もったような静寂の中、赤い背表紙に手を伸ばす。「あらお目が高い」小さく囁かれた。他に客はなく店主であろう老人は奥で本を読んでいる。「おすすめですわ」本を買うとき「本は喋りますか?」問うと「たまには」と店主が答えた。

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