ラプンツェル

春を待つ胸が苦しいのだ

僕は失った。それはとても大切な存在を。

「愁くんまだー?」

僕を呼ぶ彼女の声。
その声に手は届かず、ぼくは彼女を探し続ける。

またこの夢だ。

どこか懐かしいような声。思い出せない。何かを忘れている。

2月。スギ花粉が飛び始めて、春がすぐそばまで来ている……ともいかす、辺りはまた雪景色だ。

この夢を見る度に、僕は苦しくなる。何かを待っているような、待たせているような。

「いい加減、思い出してよ。もう、3年経つんだよ。」

苦しい。トラック……え?


____戻らない記憶が、僕への罰だ。

僕が待っている春はなんですか……?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?