『トリセツ』歌詞の世界

今回は西野カナさんの『トリセツ』の歌詞を味わっていきたいと思います。この歌は結婚式でよく使用されている曲で、女性目線の理想の愛情を歌っています。歌詞もわかりやすくて読みやすいですが、ここではもう一歩踏み込んで解釈していこうと思います。


まず、この曲のサビは3回ありますが、実はそれぞれ微妙にニュアンスが違っていると思うのです。ではそれぞれを簡単に見ていきましょう。歌詞全文は掲載しませんので、ご了承ください。

1番
冒頭ではこの歌の設定を語っています。
次のAメロでは、女性は急に不機嫌になります・放っておくと怒ります・小さな変化に気づいてほしいなど、主にマイナスの意味のわがままを歌っています。なので、サビの意味は「いろいろ文句の多い私だけど、許してね」となりますね。また、男性に求めていることが、そばにいてもらうことや爪の綺麗さをほめてもらうなどあくまで外面的なことにとどめているというのもポイントです。

2番
2番では女性からのアプローチというよりは、男性からのアプローチを歌っています。一輪の花・プレゼント・手紙・ぎゅっと抱きしめてなど、女性がしてほしいプラスの意味のわがままが語られているんです。なので、サビの言葉も微妙に変化していて、「こんな私だけど笑って頷いて」とプラスの言葉に変わっています!この辺が面白いなぁと思うわけです。さらに、2番では男性に求めていることが直接的な愛情になっているのも分かりますね。

Cメロ以降
さて、私がいい思う箇所がこのCメロ以降です。一度歌詞を読んでみてください。

たまには旅行にも連れてって
記念日にはオシャレなディナーを
柄じゃないと言わず
カッコよくエスコートして
広い心と深い愛で
全部受け止めて
これからもどうぞよろしくね。
こんな私だけど笑って許してね。
ずっと大切にしてね。
永久保証の私だから。

何か気づきましたか?なんだかスケールが大きくなって、非日常感が演出されていますね。それだけではありません、広い心と深い愛で全部受け止めてという1番と2番を合わせたようなことばが入っています。ということはラストのサビの意味も変わってきませんか?そうです、ラストのサビは、「わたしはいい意味でも悪い意味でもちょっとわがままだけど、ずっと大切にしてね」という意味になるわけです!
このように、ほぼ同じような歌詞を用いて1番2番ラストでことばに乗せる意味を変化させているのが、この歌詞の一番面白いところだと思いますね。


では最後に、タイトルにも絡む話をしたいと思います。トリセツはもちろん取扱説明書のことですが、よく考えたら違和感のある設定です。だって、取説には主に商品の取り扱い方しか載ってなくて、商品の修理方法はそんなに記載されていませんよね。ではどうやって女性を文字通り「修理」するのでしょうか?でも安心してください。実は、この『トリセツ』の2番にちゃんと答えが載っています。それは、

もしも涙に濡れてしまったら
優しく拭き取って
ギュッと強く抱きしめて
あなたにしか直せないから。

なんですね。


最後まで読んでいただきありがとうございました。もちろんこれとは違う解釈もできると思います。あくまで私の一案として楽しんでいただけたのであれば幸いです。次に『トリセツ』を聴くときは、歌の世界がちょっと澄んで見えるかもしれませんね。

               

 歌詞の引用 西野カナ『トリセツ』

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