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硬式テニスラケット【完全習得】セッティングバイブル

はじめまして。Utaです。

シンガポールで開催されたチャリティーイベントに出席する機会があり、かの有名なロジャーフェデラー氏にお会いしました。

うかつにも、その究極紳士イケおじに恋してしまい、次の日にはテニスがしたくてラケットを握っていました。

学生時代は卓球🏓バイクレース🏍️社会人になってからはサッカー⚽️とスポーツ経験は比較的豊富だと思います。

  • テニスを始めたけど、どのラケットが合っているのかわからない🤔

  • ラケット買ったけど合わなくてすぐ売っちゃった😂

  • 何回もガット変えてる経済的余裕はない🫨

悩みを抱える初中級者の皆様へ、少しでも手助けができれば幸いです。


【第一章】セッティングは目的をもって

>筆者の身体的特徴とプレースタイル

  • 175cm 70kg  🏓全国選手レベル 🏍アマチュアレーサー

  • 肩は強いが二等筋弱め💪🥺
    →サーブとバックハンドは強力、フォアハンドが課題

  • 瞬発力と動体視力はいい👁️
    →チャンスに反応できるのでバコルし前出てボレー

  • 体力はあまりない🏃💨
    →膝の古傷かばう、長期戦苦手でミス増える

>やりたい戦術

  • サーブボレーのスピードを活かした早い展開がメイン

  • 腕力と体力がないので、ワイパースイングでずっとスピンはきつい

  • 肩で押して回転をかけるフラット主体

  • 片手バックハンドなので、振り抜きが良く、スライスで体勢を立て直しやすくしたい

>いるもの

  • フラットショット、フラットサーブのスピード

  • 厚く当てて自然と回転がかかるラケット性能

  • スライスの乗りを重視する

>いらないもの

  • ゴリゴリの高軌道スピン→疲れる攻撃的シコラー

  • パワーアシスト→前出るんでボレーオーバーミスを避けたい

サーブとフォアはコンパクトなフリッツ、
フットワークとボレーはフェデラー、
片手バックはガスケが理想的

【第二章】なぜグラビティツアーを選んだか

まずはラケットの変遷から見てみましょう。その時その時でやりたかった、習得したかった技能の背景が見えてくるはずです。

>使用ラケットの変遷と変更理由

  1. プロスタッフLS-2018【使用期間:2か月】
    フェデラーへの憧れで勢いで購入。硬くて無理。。。初心者🔰あるある

  2. ピュアアエロ-2016【使用期間:10か月】
    ナダル御用達スピンラケット。ラケットパワーがあり、サーブも良かった。片手バックのスイングスピード増加とともに自然にワイパースイングになり。球が浮きすぎて決定力が下がったため変更

  3. スピードMP2020【使用期間:24か月】
    ジョコのラケット。なんでもできて6台目のグラフィンから打感が柔らかく、負担が少ない。使用していたガットであるブラスト1.20との相性も良かった。※この間にラケット買いまくって色々テスト。白黒ラケットはガットの色を選ばなくて優秀👍未だ疲れたときは使います。

  4. スピードMP2022
     オーセチックでスイートスポット増加。しかし飛びすぎる。ホールド感が強くなったため、片手バックハンドに必要な弾き感が無くなってしまった。柔らかいガットが好みなのだが、打球が少し重く感じてしまうので変更。後に4Gブラックやアルパワーを使うことで解消。

  5. ラジカルMP2023
     オーセチック搭載の恩恵が最も大きかったモデル。全モデルよりも弾き感とパワーアシストが増加。何のショットでも80点以上のクオリティを出せる。しかし、サーブのパワーは増加したけど球速が出なくなってしまった。ノータッチエースではなく触るけど弾かれて帰ってこないヘビーサーブに。あとはフェイスが98なので後半体力低下でミスショット増えがち。フェイスサイズが100だったらずっと使ってました。100はピュアストライクがあるのはナイショ。

  6. グラビティツアー2023  ※現在※
     フェイス100あって サーブ、ボレーのタッチ感がいい。ディアドロップ【逆卵型】なのでフェイス上部のスイートエリアが広いのが決め手
    ルブレフやズべレフといったハードヒッターを支える機種。
    サーブはフラットが特に速く回転系もいい。ボレーも適度な弾き感で、深い球も当てて止めるのも、どちらもできる。フォアストロークゆっくり降ると中起動スピンが勝手にかかる。フルビンタで低軌道で伸びのあるフラットになる。

>片手バックとスライスのために〜

22mm以下のフラットビームの恩恵では振り抜き良く、ヘッドがしっかり走る。スライスもフレームに当たるようなミスはない。そのため、片手バック向きの機種は23mm以下のフレーム厚を推奨。

  • ブレード16x19 :21mmフラット※チチパスは18x20で同じフレーム厚

  • グラビティツアー:22mmフラット

  • ラジカルmp :21-23-21mm

  • ピュアストライク100 :21-23-21mm ※ティエム

  • エクストリームツアー 22-23-21mm※ガスケ

  • スピードmp :23mmフラット

  • イーゾーン 23-25-23mm ここからキツくなるアエロとか特に

トッププロで片手バックハンドの選手は
ヘッド側が22mm以下という特徴がある

【第三章】ラケット・ガットの基礎知識

>ラケットは大きく分けて4種類

  1. 中圧スピン系 :アエロ、エクストリーム、バーン、ブイコア
    良い◯ ⇒ 球を飛ばす力が強くスピンが自然にかかる。
    悪い✖️⇒ スライスが回転かかりすぎて浮く、フレームに当たる。

  2. 中圧フラット系 >ピュアドラ、スピード、ウルトラ、イーゾーン
    良い◯⇒ フラットが打ちやすく、回転かけるかけないの使い分け可。
    悪い✖️⇒ 球離れが早い。硬めのガットを使うか柔らかいガットをテンション高めにする必要がある。

  3. ボックス薄フレームカッチリ系 >ピュアスト、ラジカル、プロスタッフ
    良い◯⇒ 全ての技術を使いやすいスライス打ちやすい
    悪い✖️⇒ パワーアシストが少ない

  4. ボックス薄フレームしなる系 >グラビティ、ブレード、パーセプト
    良い◯⇒ ラケット特有の個性が出やすい。ブレードは飛ばないのでオーバーミスは少ない、グラビティは回転がかかって収まるなど。
    悪い✖️⇒ 細かいスペック展開で使い心地が変わる。一定のスイングスピードが要求される。特にバランスポイントが変わると全然ダメ。初心者から文句出やすいのがここ。

>ラケットに合わせてガットを選ぼう

  1. 硬くて飛ばない
    4G、RPMパワー、RPMハリケーン、ツアーバイト、ハイパーg、PTスピン

  2. 硬くて飛ぶ 
    アルパワー、アルパワーラフ、PTストライク、PTレブ

  3. 柔くて飛ばない ※擦ると飛ぶ※
    RPMブラスト、RPMラフ、ポリプラズマ、ブラックコード、EXバイト

  4. 柔くて飛ぶ
    エレメント、PTプロ、PTファイア、ホークタッチ、レーザーソフト、EXツアー

>私にとって失敗だったセッティング事例

飛ぶフレームに飛ぶガットは合わない
→腕がしっかり振れるようになるとオーバーパワー、年配の方にはむしろいい
例〉ピュアドライブに PTプロ 45ポンド

飛ばないフレームに飛ばないガットも合わない
→プロ並みのフルスイングできるフィジカル
例〉ブレードやプロスタッフに 4G 45ポンド

※ブレード4Gのチチパスは規格外??
 彼がGS優勝ないのは片手バックがフラットのみで単調だから。フェデラーのようなスライスやライジングなど多彩な球種がないことも駆け引きで不利だと感じる。


【第四章】ガット調整は原理を理解して

>ガットの種類は大きく分けて3種類

  1. ナチュラル〉
    牛の腸から作られる。湿気に弱いため日本では向かないと言われている。※実際はコーティングによる。

  2. ナイロン〉
    柔らかく伸びるためポリよりテンションは➕3ポンド強く推奨。

  3. ポリ(ポリエステル、ポリエーテル)
    飛ばさずにスピンをかけるため現在主流に。
    飛ばす力はラケットに求められているため、ポリを最新ガットに緩めに張る。
    プロのセッティングでテンションは低下傾向にある。2000年台60ポンド→2023年50ポンド前半となっていることからもうかがえる。

>縦糸と横糸の役割

縦糸の役割⇒ スナップバックによるスピン、飛ばす力
横糸の役割⇒ たわんで球を捕まえる

※ガットゲージの違い
縦1.30/横1.20の場合
良い◯ :縦糸がスナップバックしやすく回転がよくかかる、縦が切れにくく横糸の反発も活かせるため楽に飛ぶ
悪い✖︎:強打時にスナップバックしすぎて球離れが遅く、常にスピンがかかる

縦1.20/横1.30の場合
良い◯ :縦糸細ゲージのあっさり感オフセンター時がわかりやすい、横糸が太いため飛びすぎを抑えて球を潰せる
悪い✖︎: 縦糸の耐久力2週間程度

>単張り・ハイブリット二本張り

  1. 単張り1本張り
     初心者は思考停止でこれ。技術上手くなってからいじりましょう。
    例〉ナダル アエロラファ➕縦横RPMブラスト1.30【55ポンド】

  2. ハイブリッド2本張り【縦:ポリ、横ナチュラル】
     スピンがよくかかり、ポリ単よりも反発力とホールド感が上昇する。球潰したいパワーヒッターメンズ向け。
    例〉ズべレフ グラビティプロ➕縦ホークタッチ1.25【52ポンド】➕横タッチvs1.30【55ポンド】

  3. ハイブリッド2本張り【縦:ナチュラル、横:ポリ】
     通称フェデラー張り。ナチュラルがスナップバックしやすく。強烈なスピードボールが打てる。横糸を使ったスピンボレーやドロップショットなど、このセッティングでしか打てない球種がある。上級者のみ推奨。
    例〉フェデラー プロスタッフRF➕縦ウィルソンナチュラル1.30【58ポンド】➕横アルパワーラフ1.25【55ポンド】

  4. 縦:ポリ、横:ナイロンのハイブリッド
     ラケットに合う合わないがピーキーで、特にセッティングが難しかったので初心者には向かない。柔らかさが欲しくて横糸にナイロンを入れても、ナイロンが潰れてスナップバックしなくなるケースが多い。
     柔らかいエクセルを横糸にした場合は面で捉えるアルパワーを低いテンションで組み合わせる。
     ブラストやレブのようなスナップバックメインのガットを入れるならポリ単じゃないと、むしろ性能が落ちる。

>極意〉クセのないPTプロを横糸に…

  • キャスパールード
    イーゾーン➕縦PTスピン1.25【54ポンド】➕横PTプロ1.30【54ポンド】

  • ベンシェルトン
    イーゾーン➕縦PTレブ1.25【??】➕横PTプロ1.25【??】 ※今季から縦をPTストライクに変更

  • 大坂なおみ
    イーゾーン➕縦PTストライク【??】➕横PTプロ【??】 ※もともと横糸はナチュラル

    ポリxポリのハイブリッド
     PTプロを【飛ばないナチュラル代用品】として、ホールド感を出す目的で、使用するケースが増えている。近年のラケットは過去と比べてパワー増加、スイートエリア拡大、微振動の吸収が可能になったことから、ポリを緩く張って回転をかけるようなセッティングを前提に開発されている。そのためポリポリハイブリッドが台頭。
    2023年現在〜


【第五章】ピ◯チュウ!キミに決めた!うちの相棒

ラケット〉
HEAD・グラビティツアー2023
フレーム22mmフラット、バランス320mm、フェイス100、305g →総重量331.5g

縦ガット〉
Technifiber•レーザーソフト1.25【46lbs】
自然な回転がかけやすく、あらゆる技術が扱いやすいオールラウンダー向け。メドベージェフ使用。
あっさりした弾き出しで、重さを感じさせないガット。
球を潰しやすく低弾道でスピードボールがバンバン決まる。
使用後からやや微振動が出てくるので、横糸を振動の少ない柔らかいガットにした。

横ガット〉
Dunrop・エクスプロッシブツアー1.25【46lbs】
適度なホールド感とスピンアシスト。弾き出しも強くボレーがバシバシ決まる。例えるとめっちゃ柔らかく振動の少ないアルパワー。

HEAD gravity tour 2023

グラビティ過去のセッティングメモ  ※テンション【縦/横】

  1. テク二ファイバー・レーザーソフト1.25【46/46】サーブ、ストローク、タッチすべてよし。だだし三日目から微振動がでて肘に悪いので冬季は使用をやめた。

  2. テク二ファイバー・レーザーソフト1.20【46/46】微振動が1.25よりも改善され、飛びもよくなる。しかし余計に飛距離が伸びたので、次回は2ポンド上げて48ポンドでトライ。

  3. ポリツアーストライク1.20【46/46】硬いガットなので細ゲージに。飛ばないアルパワーで球威は抜群。しかし1.20のわりに弾かないためタッチは最悪。薄いフレームには合わなかった。

  4. ポリツアープロ1.25黒 【46/46】 前作のグラビティでは最高の相性。しかしオーセチックが入った今作では飛びすぎるので2ポンド上げる。

  5. ポリツアープロ1.25黒 【48/48】 やや硬く張ることで飛距離とタッチが劇的に改善。現時点で弱点無く、さすがの使用感。

  6. ポリツアープロ1.25黒 +エクスプロッシブツアー1.25【48/48】 ptプロよりもホールド感のある横エクスツアー。スピンのかけるかけないがさらに向上。引っかかりがダイレクトに伝わる。PTプロ単張りよりもショットの伸びが強かったため、次回2ポンド下げて。

※張り替えにはラケ2本あった方がいい
 1本だけだと破損時も安心。かつラケットの耐久力も維持できる。


【第六章】ガットセッティング以外でも打感に影響が出る

 アエロなど硬いフレームではフレーム左右のウエイト調整だけでオッケーといえる。

 ボックス系ラケットはバランスポイントが個体ごとの差が出やすく、ヘッド、スロート、グリップの重量が少し変わるだけでショットにも影響が出る。
 このウエイト調整をしないと、ガットがスナップバックしながら球を潰すというエッグボールに必要なメカニズムが得られない。

エッグボールとは
 ガットのスナップバックと同時にボールを叩き潰して変形させることで、ボールのゴムの復元とガットのたわみ戻りが重なり、強烈なスピンが生まれる。ナダルのフォアハンドやシナーのバックハンドがそれに該当する。

エッジガード貼り付け→元グリップ巻き直し→フレアグリップ加工→オーバーグリップ装着→グリップエンドにシリコンで振動吸収付与→フレーム内バランスポイント調整

①エッジガード

グロメット保護にエッジガードをトップヘビーになる。重量+3g増加

②フレアグリップ加工

 まず元グリップを一度はがして、コンチネンタルグリップで握った際に、ラケット上部から巻き直す。この時元グリップのフチが少しだけ重なるように巻くと、段差ができて、角もわかりやすくなる。
 ※HEADのハイドロゾーブが好み。薄くしたいならBabolatのシンテックチームがおススメ。レザーは重量がかなり増加するので使っていない。

 次に、バボラの極薄ドライグリップであるVSグリップを4等分し、さらに半分の細さに縦カットする。これをグリップエンドの小指が当たる位置に、エンドテープで巻き付けて少し段差を作る。このときコンチネンタルで握って、先ほどとは反対の下方向から巻き始めると、段差の偏りがなくきれいに仕上がる。
 これでスイング時のすっぽ抜けを気にせず快適にプレーできる。重量+3g増加

 最後にオーバーグリップを上から巻き付けて完成。ウエットグリップならボウブランドの白、手汗が多い方ならトアルソンのクイックドライがおススメ。

③グリップエンド内部にシリコン

 スイングスピードに合わせてグリップエンドにオモリを追加→耐震ゲル【シリコン】を使用、マイナスドライバーでキャップを外すことができる。
これも1g~3g程度をお好みで調整。

④フレームのウエイト調整

フレームサイド内側の、3時9時の方向から上下に貼り付けて、15分程度試打ちする(サーブ、ボレー、片手バックすべて同じ使用感か)。4時8時方向で落ち着くケースが多かった。
 オモリは左右0.5g、合計1gでいい。 球キャッチを自然にできる位置がベストだと思う。

⑤試打

 壁打ちのみではわからないので、必ず対人戦での使用感を元に調整を行う。振り遅れや違和感を感じたら③、④で調整する。

壁打ち :ボレーの飛びと打感の確認は十分
対人で試合 :サーブの決定率、ストロークの軌道と収まり、球の伸びは相手に聞く


結論〉

ある程度使いたい道具を固めたら、基礎技術と体力強化に努めるのが上達の最短ルートだと思います。

手ニスではなく足ニス。
いかに移動して打点に入れるかが重要な競技。ラケット競技はスランプに陥った際に道具のせいにしがちですが、実際は体のコンディションによる影響が大きいです。

弘法は筆を選ばず。
上達してくると結構どんなラケットでも打てるようになりますし、道具の最適化より身体メンテナンスが先にくることを覚えておいてください。


※ラケット別ガットセッティングは別の機会に〜

①ラケット別 セッティング 例

②プロのセッティングとプレースタイル



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