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世界一の学び場を「デザイン」する

はじめに

初めまして、UT-BASEのデザイン部門の統括をしている、理科1類2年の西原薫です。

デザインという言葉を聞くと、パンフレットやロゴなどの制作物のことを思い浮かべるかもしれません。実は、デザインの語源とされているラテン語の”designare”は、「計画を図面に写す」という意味を持っていて、これは現在の英語の”design”にも受け継がれています。その意味を簡潔にまとめると、「問題解決のための計画とその実現」となり、この意味におけるデザインを、グラフィックデザインなど具体的な制作物と区別するため、括弧付き「デザイン」と表します。この記事では、人が人に向けて行う「デザイン」に絞って深掘りしていきます。

上手く機能する「デザイン」が、必ずしも高い合理性を持っているとは限りません。取り組む問題により評価指標が異なってきます。そのような複雑な問題に対し、
①解決策の評価指標を分析 ②納得解といえる計画を模索 ③目に見える形で実現
するのが、「デザイン」の理想型だと僕は考えています。日常的に触れているグラフィックデザインは、このプロセスを経て生まれた成果物の一種といえます。

以下では、この①から③について、Ep.1~3にてそれぞれ詳しく説明した後に、UT-BASEが取り組む「デザイン」についてお話ししていきます。

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Ep.1 ミッションを念頭においた「デザイン」の重要性

評価指標の分析は軽視しがちですが、対象の人が意図していたように機能しないと「デザイン」として意味をなさないので、ここは冷静に熟考する必要があります。ただ対象の人を満足させる「デザイン」とは、案件ごとの評価指標だけを満たす計画。一方で、ミッションを念頭に置いた「デザイン」とは、案件ごとの評価指標と、組織のミッションを同時に満たすことを目標にした計画です。両者の違いは明白ですよね。
 
ミッションを念頭においた「デザイン」が目に見える形で実現できたのであれば、文字通りミッションの達成に一歩近づくわけですが、ミッションを表出する成果物に反映するのはそう簡単なことではありません。これを乗り越えるためのメソッドを考えたいところですが、一般的な「デザイン」の議論では抽象的で掴みどころがないですよね。そこで、特定のケースに注目し、具体性を上げて議論していきます。

Ep.2 ミッションと実現の間に挟む、世界観というクッション

ここでは、情報メディアのケースを取り上げます。
情報メディアにおける「デザイン」の③実現方法には、大きく分けて、
1.ユーザーに対し、情報を伝える
2.組織体制に変更を加える
の2種類があると考えています。両者はそれぞれ独立した取り組みとして捉えられることが多いですが、片方だけに力を入れては信頼のおけるメディアとして成り立たなくなってしまうことから、密接な関係で結ばれていることが分かります。両者をフル稼働させれば良い効果が期待できますが、そこにバランス(量的問題)と、一貫性(質的問題)の維持が課題として立ちはだかります。これらの問題を解決するには、どうすれば良いでしょうか?
問題を解決するには... 問題を、解決... 問題解決... 
そうです、今こそ「デザイン」の出番です!

ここでの評価基準はバランスと一貫性で、対象となるのは、ある種の「世界」です。その「世界」は、メディアの運営組織とユーザーを内包するという意味で空間的にも、現在だけでなく未来の像も描く必要があるという意味で時間的にもスケールの大きなものです。上で挙げた2つの「デザイン」に先立つこの「デザイン」を、僕は「世界観デザイン」と呼んでいます。宇宙がビッグバンから生まれたように、この世界観にも誕生のきっかけになる起爆剤が必要になる訳ですが、そこで登場するのが、①で念頭に置いた、メディアの掲げる独自のミッションです。この存在により、世界観に最適に構成するだけでは生まれないようなオリジナリティが生まれます。この世界観は、ミッションを目に見える成果物に反映させるための仲介者のようであり、②の取り組みの時にいつも参照できるような存在です。

鮮明な世界観を浸透させ、メディアとユーザーの距離を近づけることで、組織内のメンバーは発信内容に確信を持ちながら活動でき、ユーザーはサービスが持つ理念を実感しながら利用できるようになるので、ミッションを反映した成果物を得るハードルが下がるという考えです。

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これは決して机上の空論ではなく、実際に世界的に有名なメディアは共通して、この世界観デザインに成功しています。以前シリコンバレーを訪れ、Facebook(上画像はFacebook Headquarters)やAddLiveのオフィスを見学する機会があり、その時にシリコンバレー企業に顕著な特徴の1つとして、転職の激しさがあることを知りました。未だに終身雇用の多い日本とは対照的ですよね。勤務年数が短いなら、企業の体制に慣れないうちに転職するため、企業全体としても生産性が下がるのではないかと予想できますが、言わずもがな、実際には高いクオリティのコンテンツによって圧倒的なネームバリューを獲得し、生産性を高水準で維持している企業が多いです。つい直前までユーザーだったような新規メンバーが、素早く適応できるような、ユーザーと運営の距離が近い環境になっています。それを可能にするのが、浸透した世界観デザインであると僕は分析します。
 
世界観デザインがいかに重要かお分かり頂けたでしょうか? 最後に、世界観デザインを持ってしても残存する課題、実現のための条件についてお話しします。

Ep.3 「デザイン」を実現するために必要な条件

「デザイン」が実現まで辿り着くためには、さらに別の条件が必要になってきます。どれだけ精密な設計図があっても、組み立てを間違えたり、途中で疲れて放り投げてしまったりしたらテントは建たないですよね。それと同じで、実現するためには他にも、メンバーの士気やミッションが絶えず継承されていくための持続性が必要になってきます。

<東大を「デザイン」するUT-BASE>
「デザイン」の理想型について詳しく見てきましたが、UT-BASEにはこの3つが全て揃っています。まず、冒頭でもお伝えした通り、UT-BASEは、「東大を世界一の学び場にする」というミッションを掲げており、それを念頭におきながらデザインをしています。そして、「世界一の学び場」という世界観を描いては修正することを繰り返し、学生間にもその世界観を浸透させる試みを行っています。UT-BASEだけで東大を世界一の学び場にすることはできませんが、学生も一体となればその状態も実現可能です。そのために学生も含めた世界観を描いています。そして、UT-BASEには、設計図からしっかりと目に見える形で実現するためのノウハウや発信力があり、そしてそれを支える熱意あるメンバーが集まっています。

このように、UT-BASEは「デザイン」のプロセスを理想型に近い状態で行える環境です。組織の地盤が強い故に、世界観のデザインを試行錯誤することができます。

最後に

ここまで読んで頂きありがとうございました。世界観の模索は、社会の変化が止まらない限り止まることがありません。是非UT-BASEで、一緒に「世界一の学び場」を「デザイン」しましょう!少しでも気になった方は、こちらのフォームから説明会に申し込んでみて下さい。

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