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「演技」と「表現」の違いについて考えてみた。

「演技」と「表現」についての考察の記事を"これってぃ"こと、是常祐美嬢が引用していて、面白いなぁと思って考えてみた。

板の上に立っていて感じるのは、目。目の奥底には人の感情というものが露骨に出ると思っていて、「演技」をしている目というのは、それっぽい「目」をしている。「表現」をしている目というのは、騙されそうになるくらい本気で訴えかけてくる。経験からそんな風に感じている。
実際、劇団時代、客演で出演してくださってた上田泰三さんの目が本気すぎて、稽古中に笑ってしまった事をよく覚えている。ご本人は「なんでやねん(笑)」っておっしゃってたけど。芝居なのか本気なのかわからなくなってしまって、全部気持ちを持ってかれた。

どちらか片方だけ、なんて事はなく、舞台の上での見せ方であったり、カメラに向ける角度であったり。声の出し方、立ち位置の把握、音響のタイミング、etc…これは、「演技」とは言わないかもしれないけど、「表現」している自分とは違う、もう一人の自分が、テクニックとしてコントロールしなければいけない事だ。これがなければ商品にはならない。

これは、自分の見てきたものの"マネ"から入る人が多いとでも言い換えれるのか、テンプレート的に、”怒り”だったら大きな声で怒鳴る。”悲しみ”だったら泣く。”驚き”だったらワッと声を出す。ような演じ方をする人が多いように見受けられて、怒っていても静かだったり、悲しくても泣かなかったり、驚いたからこそ声が出なかったりする事もあっていいのだけどなぁと思う。ただ、その時に演出家がほしい情報としての一面もあるので、一概にテンプレートが悪いとは言えないのだけど。

「表現」は心の奥底から湧いてくるものを起源としているから、そのもののエネルギーが大きくないと表面化しづらい。大きな舞台だと、そんじょそこらの感情を頼りにしていては、伝わるものにならなかったりする。それを「演技」という技術で補ったりする訳だけど、表面化しているものを全て「演技」だと思われているのではないかと思う事がある。表面化することは同じかもしれないけれど、その出発点は「表現」と「演技」では180度違う。

そこに存在したい。
とてもステキな言葉だと、僕は思っている。自分が役としてその劇世界に浸る事ができた時、思いもよらない自分が現れる事がある。段取りやセリフのことを忘れて、その瞬間、思考ごとその役として、相手にのみ集中できた時、生きたセリフが吐けるように思う。何か、舞台のことを立花として考え始めた時、自分のことを考えるのをやめて、相手の事のみを考えるようにしている。

これも同じことかもしれない。「セリフ」を「セリフ」として捉えている時は、ハキハキと、大事に、誰かに一言一句聞こえるように声を出してしまう。そりゃあお客さんには聞こえなければいけないのだけれど、聞こえるか聞こえないかギリギリのところで「表現」としてハキハキではなく、言葉を濁したり、あえて聞こえづらくなったり、そんな事があってもいいよなと、それが血の通った"やりとり"なんではないかと思う。普段、僕らは常にハキハキと喋らない。

前述した通り、心は目にみえない。心を起点とする「表現」は時としてわかりにくい。それをフォローするために「演技」があると思っている。
大劇場では目で芝居をしても、一番奥のお客さんは何も変化を見て取れない。だからこそ「演技」を使って、自分の「表現」をより伝わりやすく加工する。逆に小さな劇場ではその大きな「演技」は邪魔になってくる。無駄を省き最小限を「演技」で「表現」を見せる。その時こそ「表現」が問われ始めるんじゃないかと思う。カメラなんかを相手にするなら、尚更だ。目のアップになれば心底感情が動いていないと全部バレてしまう。

あと、ダンスにも同じような事が言えるかもしれないと思っていて。
ジャズ、バレエ、ヒップホップ、ロックなどが「演技」だとしたら、
コンテンポラリーダンスというのが「表現」なのかもしれないなと思った。
ジャズやヒップホップには決められた形があり、それは技術として存在していて、技術だけでも成立する瞬間がある。ところがコンテンポラリーはそうはいかない。自分の内面から湧き出てきたものを「表現」するので、時として形がない。だから見る人によっては何をやっているのかわからない事がある。でもそれは技術として捉えようとしているからであり、生き様としてとらえようとすれば伝わるものがあるはずなのだ。と思ったりする。
でも「表現」として成立しているジャズやバレエやヒップホップやロックもあれば、「技術」に裏付けされたコンテンポラリーダンスもあって、やっぱりすごいものは、問答無用にすごい。ダンサーではない、立花のダンス感。

なんてことを考えましたとさ。
だけど、演技論なんて人それぞれ。
これが当てはまる人も、当てはまらない人もいると思います。
僕もまだまだ模索中です。

「だからお前はダメなんだよ!」という関係者の方々のお声をお待ちしています(笑)

5/6 追記


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