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私と青い客車と上野駅

(本当は28日に投稿したかったのですが動画のエンコードに時間がかかってしまいました。28日に書いたものです)

 さて、今日は何の日でしょう。
 そう、JR上野駅開業140周年の日です。皆さん上野駅にさぞお世話になっていることでしょう。その上野駅、なんと140歳です。

 鉄道好きとして鉄道にそんな関心のない人向けにただただ語るだけの文章。眠くなったら書くのやめますけど、書いていこうかなと。

 平成生まれの人はあんまりピンと来ないでしょうが、東京の北の玄関口といえば上野駅を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。石川さゆりも「上野発の夜行列車おりた時から~」と歌ってますしね
 今でこそ一部の列車しか来なくなりましたが、上野駅の中央改札を通るとだだっ広い行き止まりのホームがありますよね。昔はあのホームにたくさんの特急列車、急行列車が行き来していました。今でこそなくなりましたが18番線ホームも存在するくらい、上野駅から荷物を抱えて旅に出る人、帰省する人、若しくは上京してくる若者があの行き止まりのホームに多く並んでいた時代があったのです。

私と「寝台特急あけぼの」

 今でこそ寝台特急なんて有名どころはサンライズ出雲・瀬戸くらいですが10から20年くらい前はたくさんの寝台列車、夜行列車が走っていました。
青春18きっぷを使ったことがある人は一度くらい「ムーンライトながら」という列車名を聞いたことがあるんじゃないかなと思います。最近廃止されてしまいましたが、座席で寝て朝には目的地に着いている。そんな列車が本当に多く走っていました。

 そんな昔懐かしい夜行列車との初めての出会いは2010年の夏でした。北海道に旅行に行ったのです。行きは新幹線で八戸(その当時、東北新幹線は八戸までしか開業してなかったのです)まで行き、青森県内を観光し、夜に青森駅発の「(夜行)急行はまなす」に乗りました。それが初めての夜行列車との出会いでした。といっても函館で降りたのでただ津軽海峡、青函トンネルを潜り北海道の地に入る最終列車として乗ったので寝たわけではありません。

 函館を観光し、特急列車でまた青森駅に戻り、そこで初めて”青い寝台特急”と出会ったのが「あけぼの」なわけです。
 ブルートレインやB寝台と言って通じるかわかりませんが、機関車が青い客車を牽いて、その青い客車の中には4人分のベッドがあってカーテンで仕切られているのが「B開放」と呼ばれて、カプセルホテルレベルの狭さだけど個室ではあるのが「Bソロ(またはB個室)」と呼ばれてました(それより上の「A寝台」等ありますが省略します)が、その「Bソロ」に乗りました。二階建ての客車で、上段でしたので今走ってるグリーン車の二階席から夜の街を眺めながら上野に向かう。子供ながらに不思議な体験でした。

 上野発の寝台特急と言えば「北斗星」や「カシオペア」が有名ですが、それより初めて乗った「あけぼの」のほうが何より思い出があり好きな列車だったのです。残念ながら2014年に定期列車としては廃止され、翌年には臨時列車としても廃止されてしまいました。何度も乗る機会を伺い、朝10時にみどりの窓口に並ぶ、当時中学生でしたが、学業そっちのけでもなくなる前に乗っておきたかったのです。残念ながら叶いませんでしたが、ラストランの時、丁度校外学習だったので先生に頼み込んで品川駅のコインロッカーに一眼レフを預け、終わったら帰るふりをしてそのまま上野駅13番線に向かいました。それくらい好きな列車だったのです。


2010年8月25日、上野駅13番線にて

 運命的にも私が最後に見た「寝台特急あけぼの」の牽引機が1052号機であったり、これは既に定期列車としては廃止され、臨時寝台特急として運行されたときのですが、最初に見たあけぼのと最後に見たあけぼのの牽引機が同じなのは「奇跡的だったな」と今となっては思います。

2014年4月29日、上野駅13番線にて

 元々上野駅の地上ホームには夜行列車が並ぶように止まり、東北や北陸等、それこそ本当に”北の玄関口”だったのです。上野駅地上ホームにはその後も多数の夜行列車が来ていましたが新幹線や空路の発達により数が減り、末期は13番線が半ば夜行列車専用ホームだったのです。
 北斗星の廃止によって青い客車が定期列車としてあのホームに来ることはなくなってしまいました。その後、所謂豪華列車「TRAIN SUITE四季島」の専用ホームとして整備され当時の面影は少し失われてしまいました。そんな中今日が来たのです。

団体専用臨時列車「上野駅・高崎線開業140周年記念号」

 今年、上野駅は開業140周年を迎えるため、それを記念した列車を走らせるとの情報が出ました。友人がそれに応募し当選したので、今日はそれに乗ってきたのです。

「昭和レトロ」をコンセプトに、昭和40年代より運行されていた12系客車をEF64形機関車がけん引する団体専用臨時列車を運行します。

 今でこそ青い客車を機関車が引っ張るというのはあります。実際去年「篠ノ井線120周年号」に乗りましたが、その時も前後に電気機関車を連結し、青い客車を牽引する。群馬に行けばSL(蒸気機関車)やDL(ディーゼル機関車)が青い客車を、最近は東武鉄道もSLと青い客車を買ったり借りたりして運行していますね。

 でも青い客車が上野駅に来ることは中々なかったのです。先ほど書いた通り新幹線の整備や、空路の整備が進み寝台列車を必要としなくなった結果、数多くの列車が無くなり、車両も解体されていったわけです。そんな中12系客車という、寝台列車としてではなく(寝台列車としてとしても使われたことがありますが)急行型として生まれてきた客車は上記のイベント用として残されていたのです。
 見た目こそ寝台列車として主に使われていた24系、14系客車と異なる部分はありますが、青い客車が上野駅に再び入線してくる。

 上野駅の地上ホームは先ほど言った通り行き止まりのホームです。普通の電車は両端に運転席がありますが、客車には運転席はありません。客車を牽くためには車庫から駅まで機関車が後ろから推してあげないといけないのです。これを「推進運転」といいますが、上野駅地上ホームに入ってくる客車列車は毎回これをしなければいけません。当然機関車の運転士は後ろなんて見えませんし、信号も、万が一線路に異常があってもそれが見えないのです。

 なので推進運転士と呼ばれる者が客車の前部に「非常ブレーキ弁装置」という、万が一止まらなければいけなくなった場合に機関車の運転士に代わりブレーキ操作を行える装置を付け、信号機などの確認を行い、それを機関車の運転士に指示する。推進運転士が無線機を片手にし、青い客車がゆっくりと入線してくる。これが上野駅の醍醐味だったのです。

そんな光景がまた再び見れたのです。

 急いでて途中からしか動画も撮れてませんが、今日上野駅13番線ホームで見た光景、音、匂いはまさに”あの懐かしい上野駅”そのものだったのです。
青と白の機関車に青い客車、電気機関車のブロワー音、客車の発電機から出る音と匂い、今日の上野駅13番線ホームは私が当時感じた「旅のワクワク感」を取り戻してくれたのです。

 そして、何より感動したのが、私が初めて乗った「寝台特急あけぼの」と今日の「140周年記念号」の牽引機関車が同じ”EF64型電気機関車”だったのです。これに関しては事前に予告されていましたが、変更の可能性もあったのでハラハラしていました。
 同じホームでEF64牽引の青い客車に乗ることで、上野着で終わっていた物語がまた上野から出発していくような感動を覚えました。

2023年7月28日、上野駅13番線にて

また、1053号機は先述の「篠ノ井線120年号」でも牽引機として連結されていました。

2022年6月26日、塩尻駅にて

 「篠ノ井線120周年号」も今日の「上野駅・高崎線開業140周年記念号」も”同じメンバー”で乗りました。前回が”オハ12 369”、今回が"オハ12 367"。流石に客車まで同じだったらどうしようと思いましたが、”オハ12 369”は隣に連結されていて、去年乗った11番のABCD席を見ながらいろんなことを考えてました。
 ここまで書いて3000文字。多分これ以上書くと論文レベルになりそうですね。

 同じメンバーで乗れてよかった、これに尽きる。同じ1053号機でよかった。
この機会を作ってくれた彼君と、昨晩悩みに悩んだ結果乗りに行く意味を思い出させてくれた彼君の彼女、夏バテで死にかけながらも来てくれた友人にこの場を借りて感謝申し上げます。

最後に、倉賀野駅通過後の車内放送から、高崎駅到着までの動画

上野駅13番線入線時の動画(途中からですが…)

高崎駅から車庫までの推進回送


2023年7月29日追記


 昨日の写真や動画を見て私は涙が止まりませんでした。書ききれないほど伝えたいことがあります。ジョニーハイケンスの「ハイケンスのセレナード(セレナーデ)」をもとに作られた車内メロディ「ハイケンスのセレナーデ」を聴いた瞬間、涙が出そうになりましたし、聴き返したら泣き出してしまいました。「ハイケンスのセレナーデ」をいつ鳴らすのか、そんな無理な質問に対してもJR東日本の方々はコンプライアンスとサービスの間葛藤し、「確実なことはお教えできませんが、〇〇駅通過あたりで…」と教えてくださりましたし、車掌室前での録音も許可していただきました。上野駅、高崎駅、12系の車内での記念撮影も快く応じてくださいましたし、「上野駅・高崎線開業140周年記念号」の運行に係ったすべての方々、沿線で手を振ってくださった方々、そして何よりこの機会を作ってくれた友人に深く感謝申し上げます。

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