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「金色のコルダ スターライトオーケストラ」を読んでほしい

■はじめに

 ご機嫌うるわしゅう、うすぐもりランドです。
 自分は普段、趣味で美少女ゲームをプレイしてはブログを更新している者です。それがなぜ乙女ゲームシリーズのスマホゲームの記事を書いているのか。そう、お話がめちゃめちゃ面白かったからです。

 自分はコルダシリーズはノータッチであり、なおかつ乙女ゲー自体もほんの少ししか経験がありません。ゆえにシリーズとして・乙女ゲームとしてどうなのかといった内容には触れられません。あらかじめご了承ください。

 「金色のコルダ スターライトオーケストラ」は、私のような人にこそ触れてみてほしい作品であるということを伝えたくてこの記事を書いています。
 ゲームの指南書ではなく、いちオタクのプレゼンとしてお読みください。

 ※この記事はあくまで個人の主観で書かれたものです。内容の偏りはご了承ください。


・サービス終了を前に

iOS版ゲームタイトル画面

 開幕からアレなのですが、スタオケのゲームは今年の3月でサービス終了することが発表されており、ちゃんとメインストーリーのフィナーレを迎えてお話を完結しようとしています。

 あくまで個人的な感想ですが、もしかしたらだいぶ前から終わろうとしていたんじゃないかなと感じています。そりゃできるならいつまでも見ていたいけれど、一方で「ちゃんと終わってくれる」という安心感というのも確かにある気がするのです。

 サービス終了は3月。もうすぐ出会いと別れの季節がやってきます。
 そのために!今、DLしておいてほしいのです。後回しにしたら絶対忘れちゃうから。ランドセルの奥から期限切れのくちゃくちゃの紙が出てくるのは避けたいですからね。

 だから今こそ、メインストーリーを読んでくれ!気に入ったキャラがいたら個人ストーリーも!
 そのために少しだけ時間と手間が必要になるので、今こうして紹介文を書いているわけです。この物語に出会えなくなる前に。

■ストーリーが熱い

公式サイトより引用:第1章 「木蓮館へようこそ」イラスト

 スタオケは、ざっくりいうと音楽が大好きな女の子が夢を叶えるため個性的なオケの面々とマイクロバスで全国行脚!みたいなお話です。
 ジャンルとしては青春ドラマに分類されると思います。詳しくは後述しますが、仕様上、メインストーリーに恋愛要素はありません。

 音楽知識も無くて平気だと思います。もちろん、知識があればより肌身に感じることができるでしょう。
 自慢できるものでもありませんが私はクラシックのクの字も分かりません。クラシカロイドしか観たことない。スタオケには、シナリオ画面からすぐ確認できる音楽用語の解説もついているのでノー知識でも安心です。

 主人公は名門音楽科のある学校の普通科の学生です。音楽科に落ち、それでも音楽をやりたい主人公は、悩みながらも日々を過ごしていました。

 しかしある日、年の離れた幼馴染である一ノ瀬銀河と再会したことから、主人公の運命は動き始めます。

メインストーリー第1章 「木蓮館へようこそ」 より
 
メインストーリー第1章・アニメパートより。
幼い日の主人公と指揮者の青年の約束からすべてが始まった。

 主人公と身近な演奏者でアンサンブルを始めるものの、無名のチームではまず評価をしてもらうためのステージにすら上がれません。
 彼女たちは動き始めました。路上で演奏会を開いて聴いてもらう。地方のイベントで公演させてもらう。小さなことを積み重ねて、少しずつ前に進もう。世界一のオーケストラを目指して。
 かつて少女と青年が交わした約束から、そんな泥臭いオーケストラが生まれました。

 日本各地を回る中、オケは行く先々でトラブルに巻き込まれ、悩みを抱えた人々に出会います。音楽を楽しむ気持ちを共にする人々が集まって、少女の夢は少しずつ大きくなっていきます。
 常識破りで、寄せ集めで、つぎはぎかもしれない。だけど確かな情熱がある、無二のオーケストラ。
 世界への歩みは一歩ずつ、しかし確かに積み上げられていく……というのが大まかなあらすじです。

 なんとなく伝わったかもしれませんが、スタオケは端的に言ってものすごく変わった話ではありません。導入はシンプルだし、目的も明らかです。言ってしまえばフィクションではよくあるあらすじに見えるでしょう。

 ですから、Wikipediaで映画のあらすじを読んで満足できるタイプの方には向かないかもしれません。
 料理で言うと基本的な食材を凄まじい技術で調理して職人の逸品を作り上げるタイプの作品です。
 丁寧に練り上げられた、読ませる力が一面に満ちている……そんな作品です。
 

・大人と子どもの狭間で

 スタオケのメインストーリーは章ごとに水戸、浜松、宮崎など全国各地を回るお話がまとめられており、各エリアごとに大体1〜2人の新登場キャラクターにスポットが当たります。

公式サイトより引用:第2章 「根性キメて走れるか?」イラスト

 これがね……なんとも面白いんですよ……。
 エリアの登場キャラはコンビであることが多く、秘密を共有する不良のヘッドと生徒会長、アイドルユニットの二人組、過去に傷持つ幼馴染……などそれぞれに関係の深いキャラクターが存在し、彼らと周辺の人物の物語が各章のエピソードにあたります。

 各章のあらすじは公式サイトで見られるので、好みそうなお話があればそれを目標に進めてみるのもよいかもしれません。

 彼らにはそれぞれの理想があり、夢があります。
 傷ついた過去、何かを失った痛み、「天才」と「秀才」の溝、求められる役割、守りたいもの、自分の居場所……。

メインストーリー第1章「木蓮館へようこそ」より

 大切なものをずっと守ってゆくために、戦う決意をする。許せなかった自分と向き合って、一歩踏み出す。大人にならざるを得なかった自分を許し、夢みたいな夢に身を委ねてみる。今しかないと理解して。
 スタオケはそんな、大人になってゆく子どもたちの”選択”の物語です。
 

・少年漫画的なメインストーリー

スタオケは乙女ゲームシリーズのタイトルですが、メインストーリーはオーケストラとしての成長を描くお話で、本当に健康的でさっぱりしています。

メインストーリー第1章「木蓮館へようこそ」より

 なんというかすごく少年漫画っぽいんですよね。メインストーリーに色恋沙汰はまったくと言っていいほどありません。音楽にかける学生たちのド青春です。
 イケメンに口説かれたらどうしようかなと不安に思う私のような方もいらっしゃるはずなので、これに関しては明記しておきましょう。

 メインで色恋の匂いがまったくしないのには構造上の理由があります。
 スタオケはプレイヤーが自分で読みたいキャラのストーリーを解放して読み進めていくシステムなので、逆に言えばメインに誰かのフラグが存在してしまうと他のキャラの可能性と競合する(から避けている)のではないかと私は考えています。
 もちろん女性に優しいキャラや特に関係性の近いキャラは存在するのですが、あくまで仲間として信頼し合っていく表現にとどまっています。

 メインを経て主人公とキャラの親交の様子や裏事情を深掘りしたい時、プレイヤーはカードを育ててストーリーを解放します。(詳しくは次項)
 つまり個人シナリオは誰のを読んでもいいし、全部読まなくてもいいわけです。
 メインのお話だけ読みたい方や、心に決めた人としか仲を深める様子を見たくない一途な方にも優しい仕様なのではないでしょうか。

 ちなみにイベントストーリーでは、みんなで地方にお呼ばれして演奏旅行に行ったり温泉旅行に行ったりカレーを作ったり海賊と宝を探したり(?)とても楽しい内容が多いです。

変奏曲「Pirates of Music」より:少年の心が丸出しの俺たちのコンミス。

 もしイベントに出会う機会があればぜひどうぞ!

金沢編で登場する宇賀神七瀬。お兄ちゃん大好き。

 メインでは知り合い信頼を深めていく経緯とキャラ同士の関係が描かれ、個人シナリオでは表に出さない深い部分の人柄や、主人公とのデートなど少し進展した関係が垣間見られる。役割が分かれているのがスマホゲームらしい魅力ですね。
 

・キャラとカード

 スタオケの個人シナリオには「キャラストーリー」と「カードストーリー」があります。

 まず「キャラストーリー」。スタオケには「親密度」というシステムがあり、これはカードごとでなくキャラごとに設定されている親密度を上げるとボイスや称号、ストーリーが解放されていく仕組みです。
 いずれかのカードを編成してクエストに出たり、贈り物アイテムをあげたりすると親密度を上げることができます。

九条朔夜キャラストーリー第1話「興味ない、何にも。」より。
クールな朔夜が子犬のようなコンミスに振り回される様子がしこたま拝めます。

 キャラストーリーでは、主人公とメンバーの二人きりの時間を通して本人の人となりを深堀りしていくといった方向性のシナリオが多い気がします。

 次に、カードストーリー。持っているカードを育成することで、付属しているシナリオが読めるようになります。

SR鷲上源一郎「雪降る日には」1話より。
寮には日本各地から来た演奏者が集まっています。

 こちらもキャラストーリーのように主人公とメンバーの二人の時間を描いたシナリオが展開します。こちらはカードの内容に即して季節やイベントごとのお話が楽しめるのが嬉しいポイントです。
 

■キャラクターの魅力

 さて、公式サイトのキャラ一覧を開いてみてください。
 見るからに育ちの良さそうな子がいる一方で、ヤンキーっぽい子や女慣れしてそうな雰囲気の子もいますよね。

 あくまで私の印象ですが、スタオケのキャラクターには共通する部分があります。
 彼らはまだ若い学生ですが、みんな穏やかで、問題が起こる時も落ち着いて整理して反省し、前に進む方法を考える人々です。とても大人なのです。時に悲しいくらいに。
 
それは、彼らが痛みを知っているからかもしれません。傷ついた過去を乗り越えて、あるいは今も戦いながら、前に進もうとしている子たちが揃っています。

 常日頃「物語には壁や坂道が必要とはいえ、モメりゃいいってわけじゃないぜ」と思っている私にとって、これが一番嬉しかったポイントでした。攻略対象や主人公の性別がどうかとか、どんなテーマかよりも、人柄がよいということが嬉しかった。

 特に武士みたいな精神性の人間が好きな方にはぜひ勧めたいと思います。良い奴だらけの副産物かもしれませんが、誠実、生真面目、天然、苦労人の見本市です。ツッコミ不在で空気がズレまくっている時が本当によくあります。

 さて、せっかくなので、ここからは個人的に好きな3人のキャラにフォーカスして話をしましょう。

・太陽のような男:赤羽拓斗

SSR赤羽拓斗「君の瞳で見る世界」

 拓斗はとても明るく元気な人物です。ケチのつけようのない人格者であり、まさに太陽のようなあたたかさでいつでもオケを明るく照らしてくれる存在です。
 彼は足が悪く、いつも車椅子を使うか杖をついています。

第5章「あの頃、僕たちは世界に届くと思った。」より

 そんな彼が足を悪くしたのは昔の怪我が原因ですが、その思い出には幼馴染の蒼司が深く関係しており……。
 忘れられない過去と幼馴染同士の想いが交錯する彼らのお話は第5章・宮崎編で!


・「天才」と違う道を選んだ教師:篠森和真

SSR篠森和真「陽光を背に受けて」

 こちらは篠森先生。教師でありサブヒロイン的な立ち位置ですが、バレンタイン等のイベントではデート(?)もできます。
 教師なので学生と個人的に関わることはできないと頑なな態度と距離を取っていますが、なんやかんやと巧妙に理屈をつけてそっと相手をしてくれます。かわいい一休さん。

公式サイトより引用:Secondo viaggio 間奏4「往古来今のフェルクレールト」イラスト

 ちなみにスタオケのもう一人の保護者・一ノ瀬銀河とは元同級生で、彼らの過去もメインストーリー(第2部)で描かれています。
 凄腕の指揮者として名を馳せた男と、プレイヤーを降りて教師の道を選んだ男。これだけでもう何かを感じ取る方はいらっしゃるのではないでしょうか。
 かつて違う道を選んだ二人の大人が、子どもたちとともに見る夢の結末は……。

・同性、先輩、そして……:香坂怜

SSR香坂怜「あなたになら……」

 最後に香坂怜さん。正真正銘の同性攻略対象です。
 何を隠そう、私がスタオケに出会うことになったきっかけが彼女でした。
 2021年、乙女ゲームシリーズなのに女性ヒロインがいるらしいと聞きつけた私は、すぐさま寮の門を叩きました。
 カードもあるし怜さんがメインのイベントもあります。バレンタインにはチョコも渡せるし、男性陣と同じようにデートイベントもあります。

 主人公の先輩である怜さんは名家のお嬢様であり、数々の浮き名を流す高嶺の花ともいえる存在です。将来はお家の関係上、同じような立場の男性と婚姻するであろうことが伺えます。それは怜さん自身が誰よりも理解しているようで……。
 立場にとらわれていたお嬢様が普通の女の子と海で遊んだり、知育菓子を作ったり、年相応の遊びをしている様子は何とも言えずかわいいものです。

 主人公の部屋に入ったり、旅先で一緒にお風呂に入れるのはメンバー内で怜さんだけ。しかし、同性の主人公と一緒に生きる選択が難しいこともまた、現状の事実として確かに存在しています。

SSR香坂怜スカウト時演出

 学生でいるうちの限られた時間の中で、自分の手を取り共に歩んでくれる少女と関係を深めていく怜さん。
 そんな怜さんは、他の3年生たちとともに主人公を置いて、この春卒業していきます。
 

■今始めるスタオケ

 こう言ってはなんですが、スタオケはゲーム性らしいゲーム性がすごくあるタイプのゲームではありません。対人戦みたいなのもありません。
 カードを集めて育成してシナリオを読み進めて……みたいなアレです。わかりやすい。素晴らしいことです。
 これは優劣でなく性質の問題で、読み物として誰でも楽しめるハードルの低さは大きな美点です。少なくともメインストーリーに関しては、得られる情報に差が出にくいのに間違いはありませんからね。

 スタオケは課金!ガチャ!というよりはコツコツやるのが重要なゲームです。
 メインや育成を進めること自体は無料で問題なくできますが、それなりに手間が必要になるのでお早めに着手すると安心かもしれません。

 2024年1月現在はサービス終了の3月を前に復刻ガチャがガンガン実装されており、昔のカードが手に入りやすくなっています。
 またフィナーレの施策で親密度もレベルも上げやすくなっているので育成するのも普段より楽になっているはずです。

 スタオケはサービス終了後オフライン版に移行しますが、ユーザがその時持っていたカードや称号を見返せるようになるアプリになる予定らしく、無料でキャラストーリーを確保しておきたいならマジで今がラストチャンスかもしれません。
 ついでにそのオフライン版を入手するには期間内にDLと手続きをしておかねばなりません。(サービス終了の告知ページ

 ※カードやシナリオが収録されるらしいメモリアルブックの受注予約は2024年2月19日23:59まで

 始めるなら、マジで今!!

■おわりに

 さて、随分長くなってしまいましたが、私の紹介文もこれでおしまいです。

 今回はゲームの紹介ということで終わるぞ!終わるぞ!と書きましたが、スタオケというコンテンツ自体の更新は続いていくそうなので、ある意味ではここからスタートだと言えるのかもしれません。

 それでも、思い立ったらすぐ会える環境が変わってしまうのは事実です。ちょうど彼らと同じように。

 サービス終了の告知が出てから、改めてメインストーリーを読みました。この記事を書いたのは、私も少しだけコンミスと彼らを見習ってみようかなと思ったからです。

公式サイトより引用:キービジュアル

 過去の傷に向き合って、人の痛みに寄り添って。昨日より少しだけ強く、優しくなれる。そんなスタオケの物語は、埋もれさせてしまうにはあまりにもったいありません。

 これからも彼らとコンミスが過ごす時間が長く長く続くように、少しでも力になれるとよいのですが。
 願わくば、まだ彼らに出会っていないだけの、どこかのあなたまで届きますように。
 

・リンク

 ・「金色のコルダ スターライトオーケストラ」公式サイト
  ┗キャラクター
  ┗ストーリー
  ┗メディアミックス コミカライズおすすめです!
 「金色のコルダ スターライトオーケストラ」メモリアルブック(受注生産)

 ・うすぐもりランド PCゲーム「DYNAMIC CHORD」レビュー記事 
 私がこれまでプレイした数少ない乙女ゲームがこれ。
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