見出し画像

真夜中の訪問客  〜宮古島滞在記⑤

例のやっちまった談を胸に秘めたまま寝床に入った私。
事が事だけに怖くってキネにも言えず、もやもや。

気にしないようにさっさと寝てしまおうと思って
布団に入ったものの、寝れるはずもなく・・・。

思い出すのは、不用意に踏み入ってしまった阿津真間御嶽の事ばかり。
ここはひとつ、ちゃんと謝っとかねば。

「ごめんなさい。大変申し訳ない事をしました。」

そんな感じでモゾモゾと眠れずにいると
夜もとっぷりと更けた頃、部屋の中にふと大きな気配が。

目を開けると
これはこれはでっかい龍。
顔だけで私たちの背丈ほどある。

すぐに阿津真間御嶽のお遣いと分かる。
目が真っ赤。

・・・・アカン。
怒ってはる・・・。

ん??
伝わってくる気配にそれほど怒りは感じない。
もともと赤い目なの?この人。
けど、厳しい気配。
ピリリ、、、と空気が縮む。
ここはちゃんと謝っとかんと。

「島民以外は禁忌なのを知らずに、 
「行かないと!」と感じて、お伺いも立てずにお参りしてしまいました。
  申し訳ありませんでした。
決して浮ついた気持ちでお参りをした訳ではないのです。」と。

うむ、とうなづいて空気が緩んだ。

「そなたたちが浮かれて参っておらぬのは承知しておる。
  しかし、島民以外の者だけで境内に踏み入ったのは
 この地に残る長年の禁忌を破ったことには変わりない。
明日今一度御嶽に参り、詫びを入れよ」

「はい。申し訳ありませんでした。
 明日改めてお伺いいたします」

ほっ  良かったーーーっ
なんとか許してはくれたみたい。


そんなやりとりの後
赤い目の龍はすーっと消えた。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?