オンライン学習の構想・妄想【後編】

4月27日8:00, 読売新聞で「オンライン学習、国が開発へ」という記事があがっていた。
文科省が正式に「これからオンライン授業をやります。ガイドラインだします、みんなやってください」って出したものではないが、今までの流れからしてメディアで取り上げられ、そのあとに省庁の記者会見などで正式に発表というパターンはあった。オンライン授業に完全にシフトするだろう、と考えてもいいかと思う。

教員になった初年度から主に youtube を使った反転授業をやってきた身としてオンライン授業の課題・改善を考えてみた。

【オンライン授業の課題(前編)】
・ネット環境の整備
・出席、欠席、成績が正式につけられない
・学習の質が担保できない

【オンライン授業の改善(後編)】
・スキルはyoutubeやスタディサプリで
・学習モチベーション維持は担任が行う
・本気で「学び」を多様化する社会に
・文科省の策を待つより現場で進める
・これからの構想・妄想


【スキルはyoutubeやスタディサプリで】

授業のyoutube化、スタディサプリ化が自分の一番メインの主張だ。学校の授業の6割ほどをこのようなオンラインストリーミングにしてしまってよいと思っている。そう考える理由を3点あげてみた。

・学習の効率化かつ深化
・個別最適化
・教員の当たりはずれ是正

字面を見れば、おおよその内容が分かるんじゃないかなと思う。自分が学習者だったら、「学びたいならどんどん先へ」をかなえたい。
例えば、スタディサプリのような動画ストリーミングサービスは、中1でも東京大学受験講座を受けることができる。もちろん、身の丈に合う生徒がそういう飛び越しをやったときに効果がでるので、まったくわからないのに東京大学受験講座を受けることをお勧めしているわけではない。

ただ、このような学習は実質、飛び級と同じだ。しかも日本の学校教育に飛び級制度を導入せずとも、中身だけ飛び級が可能だ。
また、6割程度をオンライン化と書いたが、これは子どもの年齢に応じてオンライン授業の割合を決定する方がよいと思う。
オンライン授業は、ちゃんとやろうと思うとかなり集中力を使う。小学校1年生に30分のオンライン授業を1日5回やらせるのはかなり酷だ。そういう意味で、年齢に応じて段階的にオンライン授業の割合を増やすという形式がいいんじゃないかと思う。

飛び級のメリットは、「もうわかっている内容に時間をとられない」という点もあげられる。現状のスタディサプリを導入したけど、通常授業はいつも通りやっています、だと欲しい効果が半減だと思う。だからこそ、抜本的に「通常授業をオンライン化する」発想があらためて必要だと思う。

さらに、youtubeに至っては無料だ。有料なコンテンツがたくさんある。これを学校の仕組みの中に入れられたら、相当なコストパフォーマンスだと思う。


【学習モチベーション維持は担任が行う】

これは、オンライン授業のデメリットを担任が補っていく、というイメージだ。
学習にはストレスがかかる。また、オンラインだと今までの座学とは違った集中力が必要になる。
PCの前にちゃんと座って学習できる、自分を律する能力も普段の教室で受ける授業以上に重要だ。

担任は、生徒がちゃんと自律して学習を進められるよう精神的なサポートをする。担任には学級運営手法というようなものがあって、半ば確立されている点もあるように感じる。それ用の本もたくさんある。
ただ、オンライン授業をメインとしたときの担任の在り方は、今後開発されていくのだと思う。

とにかく、オンラインは特有の集中力が必要だ。いま、テレワークが進んでいるが「オンライン疲れ」という言葉もある。大人でも疲れる。
子どもならなおさらだ。こういうストレスをサポートしてあげて、子どもたちが自分の能力を開発する下支えになりたいと思う。


【本気で「学び」を多様化する社会に】

ここでは、多様化を目指すことを前提として書いていきたいと思う。(これを前提とすることが正義かというと難しいことではあるけれども私は多様化、個別最適化のほうが好きだ)

やっぱり「学びたいことをとことん学ぶ」という方がいい。なぜなら、「学びたいこと」じゃないと長続きしないからだ。そして、長続きしないと本当に価値あるものが生み出せないと私は思う。

価値あるものというのは、学習者にとって価値があるものでもあるし、社会貢献という意味での価値でもある。

「学びたいことを学べる」状態が実現できた社会が、本気で学びを多様化した社会だ。学習のスタイルは一人ひとり違う。
だから、自分の学びたいこと、身に着けたいことに集中できるオンライン授業のほうがいいし、オンライン授業なら時間の制約なく学べる。「ああ~、もっと勉強したいな!」とおもったときにできるのが強みだ。

はき違えてはいけないのは、「オンラインを導入するとラクになる!」という主張だ。決してそんなことはないと思う。むしろ、学習は深化する。
教員の役割も変化するので、変化に伴うストレスもかかる。これは「後でラクをするため」にやっているのではなく、学びを本気で多様化していくためにやろうとしていることを忘れてはいけない。



【文科省の策を待つより現場で進める】

省庁は、地方行政に指示をだす立場だ。だから、全国中のことを考えた指示を発信する必要がある。それにはどうしても時間がかかるだろうし、全国に発信するのだから、普遍性を含んだ内容になる。

教育において本当に考えたいのは、「目の前の生徒をどうしたいのか」だ。そしてその生徒は当然だが、一人ひとり全然ちがう。
個別最適化していく、多様化していくときに、速度の遅い指示は待てない場合もあるし、何より普遍性のある指示は目の前の生徒たちにはぴったりはまらないだろう。

もう少し現実的なことをいうと、一人ひとりの子どもというより、一つ一つの学校が異なる。地域柄、私立なのか公立なのか、ICT機器は十分あるのか、教育委員会はどう動くのか、いろいろある。

だから、現場が動く方がいい。文科省や教育委員会の指示を聞くのは絶対そうなのだが、動ける範囲で最大限、現場が動くことが大事だと思う。

現場が一番、子どもたちに近い。だから一番現実的な解決方法を探すことができる。
「目の前の生徒をどうしたいのか」を考える。そして、その目の前の生徒の学習環境を作っているのは教員一人ひとりだから、現場が動く。
待ちの一手で、行政から指示がきて文句を言う結果よりは、現場で先に動ける範囲で動くのが絶対いいと自分は思う。

ここで動いてICTのノウハウを少しでも前に進められたら、これはコロナショック後も活きてくる大きな財産になると思う。


【これからの構想・妄想】

自分はもっと、学習を楽しめる世の中に生きていきたい。今、自分は学ぶこと、前に進むことを楽しめている。この面白さをみんなに知ってほしい。
みんなが学び、前に進む雰囲気があれば、切磋琢磨しあってどんどん深化していける。そうやって前に進む人がもっと増えた社会、より切磋琢磨しあう社会の中を生きていきたい。
これを達成するために必要なのは、

・自律して学習する能力をもつ人
・好きなように学習できるオンラインの環境を提供できる学校
・上記2つの割合が急上昇すること


だと思う。これが起きたら、もうワクワクが止まらない。


それから、これからの学校の姿(妄想)は次のような形だ。

・授業の6割はオンライン
・実際の教室では、共同が必要なことを行う
・実質的な飛び級が起き、才能が開花した人が増える
・教員は、生徒の学習スケジュール管理だったり精神的なサポート
・部活動は課題解決の場


部活については触れていなかった。自分は部活で育ったタイプだし、部活が大好きだ。
だからこそ、部活動の在り方をアップデートしたい。ブラック部活はもう廃止にしたい。ブラックというのは教員側も生徒側もどちらもブラック化している。もっと強い言葉でいうと、洗脳が進んでいる。

部活動の未来像は、「3年間同じ部活でなくてよい」、「運動部・文化部というくくりでなくてよい」、「顧問は年間通して同じ部活じゃなくてよい」、「顧問がいなければ部活はなくなってよい」、「外部団体が部活指導を行うのがメインになる」、「教員が部活顧問をやる場合、外部団体と同じように報酬をつける」などなどだ。
これは、書ききれないけれども部活動をアップデートしようと思ったら、本当にいろんなアイデアがでてくるはずだ。


もちろん、このNOTEに書かれたことは、妄想ばっかりで詳細の爪が甘いものばかり。でも、書くことによって自分の頭を整理しようと思って書いてみた。
いろんな人の意見を聞きたいと思う。
ここまで読んでくれた人、本当にありがとうございました。


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