あなたのいない世界で
「渋谷系ってジャンルの音楽が好き」
そう言葉にすると
「ボカロで渋谷系をやってるボカロPがいて好きなんです。渋谷系の曲聴いてみたいです」
と言ってくれた。
僕はPizzicato Five I Love Youというアルバムのデータを彼女にあげた。1番好きなアルバムだった。
そのアルバムの最後の曲は「東京は夜の7時」で、スタジオライブバージョンになっててクラシックギター一本の伴奏にボーカルの野宮真貴が歌っているというシンプルなものだった。
一生懸命耳コピして、彼女に連絡をした。
「弾けるようになったから聴いてよ」って口実で電話するようになった。
無口なタイプに思った彼女だったけど、しっかり喋ってくれて楽しかった。
毎日のように電話するようになったし、部活動の帰りに彼女の家まで送って行ったりして2人で会うことも多くなった。
共通の趣味が多かった。好きな実況プレイヤーがいてその話で盛り上がった。
pizzicato fiveも気に入ってくれて、ドライブしながらよく聴いていた。
彼女の家の近くの公園で初めて手を繋いだ。
その時は中村一義のハレルヤを聴いていたと思う。
12年前の大切な記憶。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?