ひとのこころがわからない
自閉スペクトラム症の彼氏と付き合っているのです。
昔で言うところの「アスペルガー症候群」と「多動症」の両方の特徴を併せ持つらしいということなのですが、それが原因で周りの人との衝突や勘違い、一方的な誤解がとても多いのです。
会社には今、行けていません。大学を出て就職をしたのですが、上司とうまくいかなくなって心を病んで辞めてしまいました。
そういう人は、今とても多いのではないかなと思います。
自閉スペクトラム症の彼氏によって、私はうそつきにされることがよくあります。
彼は、言葉の駆け引きが全然できないのです。
ケンカして、
「もう出てく!」
「うん」
(え、そこって、「ちょ、まてよ!」って引き止めるとこじゃないの・・・?)
出て行かないでいると
「なんで出て行かないの?うそつくなよ」
(あ、うそつきにされた)
一事が万事こんな調子なので、気を引きたくてうっかり心にもないことは言えないのです。
言葉どおりに受け止めるし、思ったことをオブラートに包まずずばっと言ってしまうので、トラブルは絶えません。
また、相手の気持ちをかんがえることができません。人の心がわからないのです。空気を読むことは、とても苦手です。
できないです。
大人の発達障害という言葉がよく聞かれるようになって、彼もいろいろ自分で調べて、自分も該当するということに気づいて精神科のお医者さんに行きました。
長い長い時間をかけていろいろ検査をしましたが、まず間違いなく障害はあるけれども、具体的な病名は言えない、ということでした。よくわからない取り決めがあるみたいなので、せっかく高いお金を出して診断してもらったのに、と思いましたが、診断していただいたことで少し心が楽になったようです。
私も楽になりました。
楽になったと思いたかっただけかもしれません。
たいへんさには変わりがありません。
自閉スペクトラム症で済んでいれば、「ちょっときつい言葉をいうやつ」「冗談の通じないやつ」「そそっかしいやつ」「落ち着きないやつ」というだけの学校や職場にはよくいるタイプの人だったのに、そういうのが気に入らないひとりの年寄りのせいで心を砕かれて、別の心の病気になったことがとても悔しいです。
だって、もう二度と、仕事ができなくなってしまったのですから。
こういう人は、実はとても多いのではないかな、と思うのです。