佐々木ひむか

音楽→https://twitter.com/NBogyd4yyajO0Wp?s=20…

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宿題が終わるまで死ねない

人間は成長する過程でいくつか宿題を手にする。 宿題はやらなくてもやってもいいんだけど、宿題をやってない人間は自分の欲望のためにしか動けないから不自由だ。宿題を見つけられてない人間もいて、そう言う人は自己が拘束されてることにすら気付けない。気付かなくてもいいのかもしれないけど。 僕は作品を完成させないといけない。やりたいしやらなければいけないテーマが3〜4つあって、それらをうまーく表現することが自分の宿題だ。 昔からそうなんだけど、最近特に死について考えることが多い。その度に

    • 人生の主導権

      人生の主導権を自分が握ってない感覚がある。 感情の波だったり体質だったり環境だったり、究極的には運。しがらみともいうのかも。そういうものから逃げたいけど逃げられない。 他者(自分以外の存在)はいつも面白い。自分の想像の外側から、いろいろな感情を想起させてくれる。他者が他者でいるうちは、すごく自由に見えて、気分が良い。実際は誰しもしがらみから逃げることはできないのだけど。でも少なくとも”ささきひむか”というしがらみからは自由だ。そのことに羨望してるのかも。 音楽が好きな理由

      • 昔話1 

        自分の過去のことを文章にして整理する試み。 思春期〜二十歳ぐらいで、多くの人は自分と他人の違いに気付く。昔から他者と薄くて分厚い壁を感じてて、それの正体がやっと言語化出来てきた。僕は人のことを信頼出来ない。あるいはその能力が著しく低い。全ての他者と接する時、常にうっすら危害を加えられることを想定してるのだ。恋人も友達も家族も関係なく。 あんまり言いふらしたいことではないのだけど、幼少期の僕の家庭環境はなかなかひどかった。その時のトラウマから人の機嫌をすごく伺うようになった

        • 芸術の定義について②

          岡本太郎は芸術について、”うまくあってはいけない。きれいであってはならない。ここちよくあってはならない”と述べた。 でもこれほんとなのだろうか。少なくとも僕にとって芸術はここちよいものだ。ただ彼の言う”凄み”や”一種の不快感、いやったらしさ”はよくわかる。 芸術は、変化を受け入れるものでなければならない。そして変化とは常に居心地の悪いものだ。だから芸術には不快感がいる。しかし不快なだけのものが、果たしてその機能を果たせるのだろうか(自然と人工の違いは機能を期待されるか否かで

        宿題が終わるまで死ねない

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        • 考察・実験
          6本
        • 昔話
          1本
        • 詩・散文
          10本

        記事

          人間、幸福を信じすぎ

          何だか最近、痛みや不快や悲しみや汚れを遠ざける人がずいぶん多いなと感じる。それは例えば過熱するポリコレだったり、芸能人の不祥事に対するSNSでの反応だったり、回避性パーソナリティーについての記事を読んでいる時だったり、動物を解体してる動画のコメント欄だったり。あとは反出生主義のことを考えてる時なんかにもそう思い浮かぶかも。 死を恐れるなとか、自分を大事にしすぎるなとか、そういう類の事はまあたくさん言われてるから書かない。それより俺が声を大にして言いたいのは、幸・不幸って本当

          人間、幸福を信じすぎ

          芸術と生活 芸術の定義について

          ① 芸術の定義について考えた。結論から言うと”背景に物語があるか”が芸術の定義であるように思う。 例えば僕の部屋に落ちてるティッシュ。あれを芸術かと問われると多くの人が違うと言うような気がする。でも高明な現代アーティストが貧困や消費社会のシンボルとしてそれを美術館に展示したら、最初よりは多くの人が芸術だと感じるんじゃないか。もっというと、僕なんかはそのティッシュというものについて考え出したその瞬間から、もしかしてこれも芸術なのじゃないかと感じる。それは誰かの手によって作られ、

          芸術と生活 芸術の定義について

          詩:器

          朝になると彼は人になる 洗面所の鏡の輪郭 対面に座る見知らぬ女 窓に映る濡れ幽霊が 彼を人に留めてる 昼になると動物へ変わる 皮膚の下で蠢くワイヤー その内のあべこべな臓物 酸に溶けてく何かの死体で 彼は太陽を照らしてる 夕の彼は水母に似ている 海とも陸ともつかぬどこかを 誰とも彼ともわからぬ顔で 漂っている 気怠さを着て 夜の彼は言葉になって 栞を挟んだページへ出かける 今、彼は未来、遠い過去 あるいは世界そのもので 薄く立方に広がる膜だ 前後に伸びる記憶の軌跡だ

          詩:幸せな電車

          ひそひそはしゃぐ子供のこえ うとうとゆれる隣のひと 横陽が映す僕の影が なんだか今は 幸せそうだ なんだか今は だいじょぶそうだ かたかたしゃべる座席のこえ ついてはきえる光の色々 等身に伸びる僕の影は なんだか今は 幸せそうだ なんだか今は だいじょぶそうだ うとうと重いまぶたを閉じて とうとう膨らむくうきに押され お日さまの中をはしる ゆるやかな電車の中で 遠い日々のことを思い出した 胸が少し切なくなって それでも僕は幸せだった (さまざまなこと たくさん う

          詩:幸せな電車

          詩:映画

          今は元気にやってるよ だけどお先は神の味噌汁 かったるい重石を 背負って生まれた 詰まるところ怪獣さ(それもか弱い) 今は元気にやってるけど ああだこーだと言えなくないけど どうせそのうち消えるだろ 知らんふりで誤魔化すんだろう そう だから謝らないと ごめんよ ごめんよ、ごめん どうしたらいいかわからないんだ 一緒にいてあげればよかった 過去は編集可能だから、そのうち僕も良い思い出になる そして映画みたいに泣いたりするのかい? 今は元気そうだけど どうせ、いつかは失う

          詩:ボタン

          ボタンを押すとお金が貰える ボタンを押さなきゃお金は増えない お金のためにボタンを押してる 明日のためにお金を稼ぐ 上手に暮らしが回らない くるくる言葉は踊るのに お金で買った白菜を噛む お金のために今日を売る 売った今日が嘘になる 嘘が僕を生かしてる 嘘のためにボタンを押す 明日もいつか嘘になる ハートがどこかへ行っちゃった いつかきっと良くなるよ ハートがどこかへ行っちゃった いつかきっと良くなるよ 僕はボタンを押している ボタンを押すと世界が広がる 自分のために

          詩:夏の夜

          かんかんでりの昼間の熱が、ゆっくり世間を押し上げる 疲れきった暮らしのかすが、あたり一面漂って 夏の夜が優しいのは そっと秘密を明かすから 僕の後ろの幽霊たちは、リフレインする月光に酔い 千鳥足で踊ってる 今日の暗闇はやけにのんきで 夏の夜が優しいのは 熱がまあるく冷めるから 忙しなく行く足音の、こだまが遠くで鳴っている 綿飴みたいな食卓の、喋り声も耳をくすぐり 夏の夜が優しいのは 液体みたいな風が吹くからだよ

          詩:塊

          塊になって蠢く 塊になって恋をする ポーズを決め降りてこない天使 塊に押し潰される 色とりどりの液体溢れる 虹の25メートルプールの最中 溺れた子どもをただ見てる 塊になった彼らの毛玉 詳細が省かれて 素材は隠されて ただ泥団子のように死んでいる 生きてると思い込んだ死体 内側のものが、外側から圧されて 外側のものは内側へ引き摺られ そうして形を保つ渦たちの 美しさとグロテスク そう遠くない未来ではそれを食べてるらしいよ ロブスターの尻尾をもぎ取って笑う彼女 その後ろ

          詩:ミックス

          僕は黄色い四角形 捨象され、中心である前の 僕は黄色いとうもろこし 優しい野菜 美味しい果物 僕は爛れた積雲の影 歯に絹着せた 遠回りのおはよう 夏の匂いがしているよ 焦げた火薬の匂いだよ 冷えたアスファルトの匂いだよ ほんとは僕はカブトムシなんだ からだが土でできてるから

          詩:(プ)リズム

          朝、浜辺、歩いていると 水晶が溶けて空になった 星が砕けて雲になった きらきら眩い(プ)リズムが踊り 淡い影がしっとりと揺れる 吹き続ける風 滑らかな風 肉体が霧散して 空気になって 懐かしい気持ち漂い 喋るように歌って、歌うようにひとりごとすると 中心にある熱が冷めて行く 冷えた砂は何かを言ってる ゼリーの海が寓話のような、昔話のような、世間話をまたしてる 数瞬ごとに変わり続ける 無限に広がる輪っかのどこかで 今日という日は命だ 霧の過去はここにあるようでいない 瞬きを掴む

          詩:(プ)リズム

          詩:なるだけ

          なるだけ早く死んでしまいたい 理由はないよ その方が美しいから なるだけ早く忘れ去られたい 理由はいらない その方が長生きできる 僕にはない 確かなものがない 頼れる人がない 信じる強さがない 帰れる場所がない 眠れる夜がない 幸せな朝がない 正しさがない 意味がない 答えもない 返事もない 孤独もない 自由もない ただ、身を焦がす焦燥がある だから、なるだけ早く消えてしまいたい あの炎に焼かれる前に 灰の中から蘇る前に

          詩:なるだけ

          散文:悲しくて悲しくてとてもやりきれない

          人と抱き合うとその体温に安心する。何だか自分のことを心の底から分かってもらえた気がする。相手のことが愛おしくて仕方なくなる。その数瞬後、ぜんぶ嘘な気がしてる。 いつも勝手に裏切られてる。いつも勝手に考えすぎてる。誰のためでなくただ生きてるはずなのに、気付いたら何かのために生きてる。魚が魚であるように、自分が自分であることが難しい。 きっと踏み込むのがいつも遅いのだ。心の底から信じてないから躊躇する。その躊躇いが悲しみを生み、こんな文章を書かせている。どうしてこんな思いを感

          散文:悲しくて悲しくてとてもやりきれない