見出し画像

USMLE step1 低スコアだった人が後悔している3つのこと

こんにちは!

2021/1/21にUSMLE step1を受験しました。

まずは結果から

結果は合格でスコアは216でした。自分が受けた試験問題におけるアメリカの医学生の平均スコアは232でした。

画像1

まずは合格できたので大変めでたいです。

 Twitterを見ていると純ジャパ日本人でも250台が続出するようになってきた中で、スコア216というのは物足りないのかなと思います。自分でもスコア230程度を目標に勉強していたので一歩及ばずと言ったところでした。

スコアはもちろん重視していましたが、「自分が決めた期日以内で結果を出す」を最優先にしていたので、スコア自体には満足です。

USMLE界隈ではハイスコアの人の体験記が多く見られます。一方で、低スコアの人が体験を公表しない傾向にあるからではないかと考えています。自分がハイスコアでないことを逆に生かして、「どうすれば自分のスコアがもっと高くなったか」を考察したいと思います。

まずは自分の使用した教材、勉強期間を簡単にまとめます。

勉強期間と教材

勉強期間は15ヶ月[2019年11月(M4)~2021年1月(M5)]です。標準的~やや長い準備期間かと思います。

教材は以下の有名どころのものを用いました。

参考書:First aid step1       問題集 (① First aid Q&A, ② USMLE-Rx, ③ U world)

「問題集で得た知識をFirst aid step1にひたすら書き込む」という勉強法で行なっていきました。時系列と勉強方針を記します。

① First aid Q&A (2019年11月~2020年3月)

 自分は英語の医学知識が全くなかったのでFirst aid Q&Aから始めました。収録問題数は約1000問。ここではとにかく問題になれることが要求されます。やるべきことは 1)問題を解いて、2)解説を読んで、3)出会った知識を参考書のFirst Aid step1に書き込むことです。出題範囲が断片的で網羅的ではないため1周のみで十分だと思います。自分を含め、他の受験生もこの問題集には重きを置いていないです。

② USMLE-Rx(2020年3月~7月)

 問題解説とFirst aid step1の解説ページがリンクされているのが最大の特徴。問題数は約2400問。難易度はFirst aid Q&Aと同程度かやや難だと思います。

 自分は分野別に行いました。分野ごとの知識が不足しているので、各分野を網羅的に学習することを目的としました。合計で3周しました。(1周目:分野別に解く、2周目:間違えた問題を分野別に解く、3周目:マークをつけ残した問題をランダムで解く)。

1日60問を目標に問題を解いて行きました。最初は目標達成ができなくても気にしないことです。だんだん知識が増えてきて問題を解くスピードも上がってきます。

 ここで日々目標問題数を解き切るコツをお伝えします。

 スコアにかかわらず勉強時間を錬成するための最高の方法だと自負しています。隙間時間を活用することでかなりの時間節約になります。

① 朝1~1.5時間ほど勉強時間を確保します。

② 朝時間に目標問題数を解き切ります。

③意味がわからない問題もロト6的に答えを選んでください。解き切れたら朝の勉強はおしまいです。

~昼間~

 医学生は授業や実習があると思います。10分単位の細切れな時間があると思ます。その隙間時間にスマホを使って問題解説を読むようにしてください。理解し切っている問題はスルーし、気になった問題はスクリーンショットしたり、First aid step1に書き込んだりして記録してください。

~放課後~

 腰を据えて勉強できるようになったら昼間に気になった問題、触れなかった問題をもう一度じっくり勉強してください。

 解説を勉強する際も、固執しすぎるのもよくありません。時間を決めて、時間内に理解できなかった問題はマークをつけてスルーしましょう。きっと将来の賢い自分が解決してくれます。

また、便利ツールとして翻訳サイトを使いましょう。日本語にすることで理解が進むことがあります。サイトはDeepLがおすすめです。

③ U world(2020年8月~2021年1月)

難易度がStep1本番に一番近いと言われている問題集です。実際に自分の試験の時も多くのU world類題と出会いました。

スクリーンショット 2021-02-22 13.46.44

自分はランダム出題で勉強していきました。合計で3周しました。(1周目:ランダムに解く、2周目:間違えた問題をランダムに解く、3周目:マークをつけ残した問題をランダムで解く)。間違えた問題は①解説をFirst aid step1  に記載し、②記載しきれないものはGoodnotesアプリに記載していきました。

簡単に勉強の時系列を示してきました。勉強法は私のものより、ハイスコアを出した人のものの方が参考になるでしょう。

ここから本題の「後悔している3つのこと」を取り上げていきます。

「後悔している3つのこと」① First aid Q&Aの進捗が遅すぎた

Q&A1周(約1000問)に自分は5ヵ月ほどかけていることになります。どうしてこんなに時間がかかったのか。原因は2つあります。1) 知識がなさすぎるがゆえに1問1問に固執しすぎた。2)First aid step1通読(絶対禁忌)をしてしまった。

1)知識がなさすぎるがゆえに1問1問に固執しすぎた。

自分はCBTの得点率が89.3%であり、中堅やや上ほどの医学知識でした。このレベルではQ&Aを解くことも大変厳しいです。

しかし、Q&Aの最大の目的はstep1の問題に慣れることです

この段階で網羅的に知識を習得しようとすると無限に時間のみが溶けていきます。Step1の勉強では、可能な限り多くの割合の時間をU worldに回したいです。

Q&Aで触れる分野はRxやU worldで何度も触れていくことになります。今の段階で完全理解をする必要は一切ありません。Q&Aでは時間を節約することを意識した方が良いです。1問あたりの時間を決めて1日のノルマを達成することに集中しましょう。

Q&Aの標準的な勉強期間は1~3ヵ月です。問題数に換算すると1日あたり10~30問です。1日15~20問で2ヵ月以内に終わらせている人が多いです。

処方箋

Q&Aの問題には深入りをせず、短期で1周することを心がける(1-3ヵ月が目安)。


2) First aid step1通読(絶対禁忌)をしてしまった。

 勉強期間の前半はブログやTwitterでの情報収集をほとんどやっておらず孤軍奮闘状態でした(Dr.セザキングの存在すらもあまり知らなかった)。

明らかに情報収集不足でした。

 Q&Aの問題の攻略に難航していたので、First aid step1を通読することで状況を打開しようと考えていました。通読しても慣れない英語なので時間がかかります。また通読を継続していくにつれて最初の方の内容は忘却されます。

どうしても各分野の知識不足を実感する場合は次のようにしてください。

・「病気が見える」、「イヤーノート」の該当箇所を時間を決めて読む

日本語短時間勉強することで前提知識を補ってください。

処方箋①

最初にFirst Aidの通読は絶対にしない! 前提知識が欲しい場合は「病気が見える」「イヤーノート」の該当箇所を時間を決めて読む。

「後悔している3つのこと」② 基本知識の細部の詰めが甘かった

First aid には各分野の重要知識が赤字や図表でまとめられています。

画像3

最終的にはこれらの表の1つ1つの知識を確実に暗記しなければいけません。

RxやU worldの問題演習を通じてこれらの知識を習得することは可能ですが、問題演習だけだと必ず虫食い状態の知識になります。特に基本かつ要となる図表の例としては以下の項目が挙げられます。問題集では触れられなかったけど、試験では出てくる重要知識は結構あります。画像7

自分も網羅的な知識を得るための勉強をしてきたのですが、それでも本番で知識の「虫食い」が出てしまいました。自分も試験会場で心がカイジくんになりました。

画像4

問題演習のほかに、図表を1つ1つ確実に暗記していく作業に充分時間を割けるようにしてください。自分の場合、図表を確実に暗記する工程の時間が不足していました。

図表を確実に暗記していく方法として語呂作成、Ankiなどがありますが

自分がオススメしている勉強法として「黒塗り式勉強法」というものがあります。

自分はこの勉強法で解剖学の試験を学年3位で突破した実績があります(時間を確保してStep1でもっと実践したかった)。

覚えるべき図表を黒塗りにして自分で「穴埋めドリル」を作る勉強法です。

下図のように黒塗りした表とその解答となる表をAnkiに保存します。それらをひたすら反復していきます。

画像5

画像6

InputとOutputを繰り返すことによって知識は脳に定着していきます。

自分も「黒塗り式勉強法」を徹底した分野に関しては漏れのない網羅的知識を獲得することができました。

処方箋②

問題演習以外に、語呂作成, Anki, 「黒塗り式勉強法」を活用して知識のInputとoutpitを繰り返す。

「後悔している3つのこと」③ 2,3周目で出会った問題は「その場の完全理解」にこだわる

1周目の演習の時にはわからない問題は軽く流す程度でも構わないと私は考えています。

しかし、2~3周目で出会った問題は人に説明できるレベルにまで完全理解をする必要があります。しかも一期一会のようにそのタイミングで完全位理解するように努めてください。理由は2つあります。

・中途半端な知識は本番では役立たず、もしくは誤答のリスクだから

オンライン問題集は問題数が非常に多いため次の問題に目がうつりがちです。「二兎を追う者は一兎をも得ず」とはよく言いますが、中途半端な理解と記憶で数多くの問題をこなしても本番では通用しません。本番では、緊張感をともないながら変化球の問題を打ち返さなければいけません。その時頼りになるのは自分の確実な知識のみです。また、不確実な知識は時として勘違いの原因ともなり、むしろ正答率を下げてしまいます。思い切って1問に時間を割いて徹底的に調べごと、理解、暗記をしてください。そうすることで忘れない知識になります。

・今解いている問題は本番までもう出会わないかもしれないから

1周目であれば、今後の勉強にお任せすればよかったかもしれませんが、2,3周目では後がありません。知識や理解を曖昧にしたまま勉強を進めて、試験当日に同じテーマの問題と出会ってしまった場合、困惑するしかありません。


おわりに

「後悔」について語ってきましたが、自分はスコアに関してそこまで心残りはありません。自分は大学でも中堅よりやや上程度の成績です。その自分がUSMLE step1を合格できたのはとても誇りに思います。自分は最大限の努力をしてきましたし、最後までやり遂げて「結果」を出しました。自分の大学ではStep1をpassする人は各学年に1人いるかいないかです。同期にも10人ほどStep1の勉強をしていた人はいたのですが、皆それぞれの事情で辞めていきました。しかし自分は最後まで残った。これは後々にも自信として残るのではないでしょうか。

今後はStep2CK取得を目指すとともに、

自大学で(Step1合格者数/Step1志願者数)を増やすために活動したいと考えています。

この活動についても今後noteで触れていければなと考えています。

それでは!

(相談やご感想がある方はTwitterのDMにどうぞ!)

https://twitter.com/0cbsccvd9tzjzjz

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?