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2024年4月21日、横浜アリーナで開催された羊文学のライブに行ってきた。
近年一番ハマっている羊文学。大好きなのです。

そんな大好きなバンドの、これまでで最も大きな会場での1dayワンマンライブ。Ⅲ(さん)というタイトルには、メンバー3人がそれぞれ柱になって、羊文学をつくっているというメッセージ。

そんなメモリアルなライブで、僕はわずかな違和感を味わっていた。

セットリストの中で、最新アルバム「12hugs」前作「our hope」からの楽曲のテンポがCD音源よりもずっと遅い。

これまでのライブでは、「速い」を感じたことはあっけど、ここまで徹底的に「遅い」のは始めてで、何か理由があるのかとずっとグルグル考えていた。

MCでベースの河西さんが、「たくさんの情報に潰されそうになる時もある」と漏らしていた。
音楽シーンに詳しいわけじゃないけど、2023の羊文学は大躍進の1年であっただろう。聴く人も増えた分、葛藤や悩みも増えるのかもしれない。

そんなライブのセットリストで僕が驚いたのが1stアルバムからの「若者たち」だった。 スローテンポの曲ながらも、シューゲイザーバンドらしさを感じられる曲だと僕は思っている。それがライブの中盤に、轟音と歪み全開で、どんっと披露されたのだ。

Our hopeリリース時の記事で、「パーティーはすぐそこ」の解説に、"わたしたちでもこういう曲がつくれた"ということを伝えていた。ポップスの要素を取り込んだ大衆化(売れること)への挑戦か、その後「永遠のブルー」「more than words」など、羊文学はたしかに新しいファンを獲得し、飛躍する。

しかし、先述した河西さんの言葉にあるように、大きなることの喜びの裏にある感情を推測する。

そう考えると「honesty」の歌詞なんて、なんてどストレートなんだろう。

タイトルのⅢは、「原点回帰の意味もある」とアンコールのMCでドラムの福田さんが補足していた。

原点回帰。

大衆化してきた比較的新しい楽曲たちのテンポを下げて、羊文学の原点ともいえるシューゲイザーバンドたる轟音と歪みを全開に、横浜アリーナという大きな箱でも、小さなライブハウスと変わらない圧倒的な音を届ける。「若者たち」や「踊らない」「ロマンス」「恋なんて」といった楽曲たちの並べでも、新しくても新しくない、羊文学の「柱」たるサウンドを届けるためのテンポだったのか。

CD音源とは明らかに違和感のあるテンポも、上記の解釈を取り込んだら、鳥肌が立つ。羊文学を迎える温かいファンの拍手に、フロントマンの塩塚さんが涙するのもより頷ける。

と、ここに書いたことは、ただの末端ファンの、勝手な推測にすぎない。でも、横浜アリーナで感じた僅かな違和感と、圧倒的な音と浮遊感。そして、フィナーレの「夜を越えて」でなんとなく(勝手に)すべてが繋がって、胸の中の忘れられない記憶になった。

あぁ、やっぱり羊文学大好きです。