見出し画像

全額返せ vs 返さなくてもいいよ

 かなり昔に見たTV番組。米サブプライム問題関連の取材で、米国人労働者がインタビューを受けていた。

「サブプライムのおかげで工場が一時閉鎖して、職を失った。ローンが払えないので車を手放さなければいけない」

番組は続く。インタビューの数か月後、この労働者は職場に復帰したらしい。

「仕事に戻ることが出来た。さっそく新車を2台買ったよ」


ローンが払えなければ商品を返しておしまい。ブラック履歴があっても、定職さえあれば新たなローンOK。住宅ローンでも、返済できなくなったら家を差し押さえておしまい。残った住宅ローンの債務も帳消し。それが「ノン・リコース・ローン」。

ノンリコースローンであれば、「住宅ローンが払えなくなったら退去。売却額がローン残債に足りない場合は不足分を払い続ける(リコース・ローン)」といった悲劇は起きない。

ノンリコースに貸し手側のメリットが無いように思えるが、貸出金利を高く設定することが出来る。まさにハイリスク・ハイリターン。

日本でも外圧(?)によって導入された過去あるが、一般的には普及していない。やはり「借り手の返済能力」を調査するよりも「借り手の担保・保証人・連帯保証人」を調査する方が簡単だからだろう。

「返済能力」を調べるにはノウハウが必要だが、「担保・保証人・連帯保証人」のチェックにノウハウはいらない。「担保を」の一言で済む。借り手も「習慣だから」と何の疑問も持たずに身内・知人・友人を保証人として差し出す。

さすがにここまで酷くないと思うが、「担保なしで貸します。保証人もいりません。金利は高くなりますが、ノンリコースで行きましょう」と決断できる半沢直樹的バンカーは少ないのではないだろうか。


ローンは貸し手のリスク vs  ローンは借り手のリスク

ハイリスク・ハイリターン vs ローリスク・ローリターン

投資を好む国民性 vs 貯金を好む国民性


このあたりに日米経済成長の違い、消費マインドの違いがあるような気がする。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?