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マイナンバーカードと4つの暗証番号


マイナンバーカードがなかなか普及しない。政府は2023年3月末までの全住民への普及を目指しているが、2021年5月5日時点で 交付済枚数が約3800万枚と交付率は30%しかない。 「5000円のポイント還元(2021年4月末で終了予定だったが、21年9月まで延長)」というおいしいニンジンをぶらさげても30%なのだから、カードの交付率100%など可能なのだろうか?


ちなみにwebmasterは早々にカードを取得し、5000円分のポイントを入手。その日のうちに近所のスーパーでビールとワインを大量購入して使い切った。e-tax制度を活用して所得税の確定申告にも活用している。近所のコンビニで住民票を入手することもできる。

政府の言う「デジタル化により、役所にいかなくてもあらゆる手続きができる社会」のほんの一部であるが身をもって体感したような気がする。


こんな便利なマイナンバーカードなのに、なぜ普及しないのか?

普及しない理由の1つに「セキュリティ不安」の声がある。確かにペンタゴン(米国国防総省)やラングレー(CIA本部)のコンピュータだってハッキングされる時代である。技術的に100%の安全はありえない。とはいえ多くの人はそのリスクを「限りなくゼロに近い、もしくはリスクはあるがそれ以上のメリットがある」として受け入れているのでは?

「セキュリティ不安」を声高に叫ぶ人たちはおそらくアマゾンや楽天といったネット通販を使っていないのだろう。もしかしたらクレジットカードやデビットカードすら使用しない現金主義なのかもしれない。いや、銀行だって内部ではオンラインシステムを使用しているのだがらタンス預金か?


データ流出という危険性を懸念する人はいるだろうが、大半の理由は「何に使えるかわからない」「使い勝手が悪い」ではないだろうか?

「何に使えるか」に関してはこれからの問題で、セキュリティの面からも何でもかんでも・・・というわけにもいかないが今のところ「健康保険証」「運転免許証」などが予定されている。この2つが導入されれば、普及しない理由の1つが消えることになる。


「使い勝手が悪い」に関しては、実際に使ってみた体験から確かに「ややこしい」の一言につきる。おそらくこれが普及しない最大の理由であろう。
 
マイナンバーカードを交付される際、次の4つの暗証番号を設定する必要がある。


①署名用電子証明書暗証番号(英字・数字を含む6~16桁の番号)
②利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)
③住民基本台帳用暗証番号(数字4桁)
④券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)

 ちなみに②~④に関しては数字の使い回しが可能である。セキュリティの事を考えれば別々にした方が良いのだろうが、多くの人は同じ番号にしているのではないだろうか?

ちなみにwebmasterはこの4つをメモ書きし、大切に保管している。記入といってもそのまま文字や数字を書き込むのではなく、一部を伏字にしたり並びを変えるなどしてセキュリティー度を上げている。

たとえば基本パスワードを1173(いい波)と決める。で、①のPWを usjetset1173 と設定し、名前PW と記入しておけばこれを他人に見られても問題ない。②③④に関してもそれぞれ 3711 1170 3178 と設定し、メモには「逆から」「マイナス3」「プラス2005」と記入しておけばいい。これならば基本PWの 1173 を記憶するだけで済む。

話をマイナンバーカードに戻そう。

①の署名用電子証明書暗証番号は、インターネット等で電子文書を作成・送信する際に必要となる。身近なものとして、特別定額給付金(10万円)の申請やe-Tax等の電子申請などがある。


②の利用者証明用電子証明書暗証番号は、インターネットサイトやコンビニの端末等にログインする際に必要となる。マイナポータル(マイナンバーに関するポータルサイト)へのログインや、コンビニなどで公的な証明書(住民票の写し・住民票の記載事項証明・印鑑登録証明など)を入手する場合がこれに当たる。

③の住民基本台帳用暗証番号は、転入手続きや住所・氏名等の変更手続きの際などに使用されるもの。

④の券面事項入力補助用暗証番号は、マイナンバーカードに記載されている4情報(氏名・住所・生年月日・性別)を読み取るためのもの、とある。


この4つの暗証番号に関する詳細や違いは国や市町村のサイトに掲載されているが、はっきり言ってよくわからない。


①はなんとなく分かる。ネットを使って何らかの電子申請をする際、

「このカードを使って申請している人は、お役所で本人確認をした際に発行した暗証番号を持っている人(=本人)であると証明します。

申請された書類についても、その内容はマイナンバーカードに組み込まれている秘密のカギで守られているので改ざんされる恐れはありません。

申請書の記入内容と相違がないか確認するため、カードに内蔵されている申請者の基本4情報(住所、氏名、生年月日、性別)を添付します」

といった感じであろう。


②はおそらく、1の簡易版。

「このカードを使っている人は、お役所で本人確認をした際に発行した暗証番号を持っている人(=本人)であると証明します。

でも他人による不正使用の可能性もあるので、基本4情報(住所、氏名、生年月日、性別)は添付しません。必要な場合はそちらで収集してください」

といった感じか。


③④に関してはまさに文字通りなのだがよくわからない。③の「変更手続きの際に使用」とあるが、役所に行かずにネットで住所変更ができるのであろうか?それとも役所の窓口で「マイナンバーカードと住民基本台帳用暗証番号をお願いします。暗証番号をお忘れの場合は免許証など写真付きの身分証明で本人確認を・・・」なのか?

おいおい、そもそもマイナンバーカードは写真付きのIDじゃないのか?カードを提示した時点で本人確認が済んでいるんだから、暗証番号の必要性があるのか?それともマイナンバー(個人番号・12桁の数字)と暗証番号さえあれば、身分証明書なしで手続き可能なのか?

④に関してはさらに理解不能。マイナンバーカードに記載されている4情報(氏名・住所・生年月日・性別)を読み取るためのものらしいが・・・・ショップの会員になる際、申し込み用紙に記入する手間を省くために「マイナンバーカードと券面事項入力補助用暗証番号をお願いします」と店員さんが利用することを想定しているのか?

そもそもマイナンバーカードの表面に「個人番号、顔写真、氏名、住所、生年月日、性別」がアナログデータとして印刷されているんだから、そのデータをデジタルとして取り出すだけなら暗証番号などいらないのでは?

むしろ暗証番号などなくしてカードリーダーやスマホで簡単に4情報+顔写真を読み出せるようにすれば、偽造対策になるのでは?

「お客様、カードのお写真とカードに格納されている写真が違うようですが、ちょっとこちらまで。店長、IDの偽造・不正使用の可能性があるので念のため警察に連絡を・・・」


                         

この4つの暗証番号。実際どう「ややこしい」のか?以下は e-tax(電子納税制度)を利用してPCで確定申告した場合の手順である。実際には使用できるOS・ブラウザの種類が限られ、マイナポータルAP(アクセスポイント)といったプラグインソフトをダウンロードし、さらにはマイナンバーカードに対応したICカードリーダーを事前準備しなければいけないが今回は暗証番号に関するものに限定する。

まず「利用者識別番号(半角16桁の番号)」の入力が求められるが、これはマイナンバーカードの「①署名用電子証明書暗証」のことではない。e-tax のサイトを通じて新たに取得しなければならない。以降、分かりやすくするために「⑤利用者識別番号(半角16桁の番号)」とする。


「⑤利用者識別番号(半角16桁の番号)」を取得する方法はいろいろある。マイナンバーカードを使って入手する場合は「利用者証明用電子証明書の暗証番号(数字4桁)」が求められるが、これは「②利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)」のことである。


「⑤利用者識別番号(半角16桁の番号)」が発行される際、同時に納税用確認番号(6桁の数字)とログイン用の暗証番号(8桁~50桁)の設定をする必要がある。以降、「⑥納税用確認番号(6桁の数字)」「⑦ログイン用の暗証番号(8桁~50桁)」と表記。


 こうやって入手した「⑤利用者識別番号(半角16桁の番号)」+「⑦ログイン用の暗証番号(8桁~50桁)」を使って国税庁の納税システムにログインし、エクセルのような画面に必要なデータを入力していく。

すべての入力が終了し、データを送信する際はマイナンバー交付時に設定した

①署名用電子証明書暗証番号(英字・数字を含む6~16桁の番号)
②利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)
⑥納税用確認番号(6桁の数字)

の入力が求められ、申告終了となる。

今回は分かりやすいように暗証番号の頭に①~⑦の数字を付けたが、実際には暗証番号の名称と(数字4桁)といったヒント(?)しか掲載されていない。マイナンバーで設定した①~④の暗証番号に関しても、各自治体によってその並び順は違う。

大阪市の場合は

1、署名用電子証明書暗証番号(英字・数字を含む6~16桁の番号)
2、利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)
3、住民基本台帳用暗証番号(数字4桁)
4、券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)

①②③④の順であるが、

横浜市の場合は

1、署名用電子証明書暗証番号(英字・数字を含む6~16桁の番号)
2、住民基本台帳用暗証番号(数字4桁)
3、券面事項入力補助用暗証番号(数字4桁)
4、利用者証明用電子証明書暗証番号(数字4桁)

①③④②の順となっている。このように似通った名前の暗証番号が混在する中、署名電子証明書は5回、利用者証明用電子証明書は3回連続して間違えるとロックされ、利用できなくなる。ロックの解除には役所の窓口に行って解除申請をしなければならない。

ちなみに現在の運転免許証にもICチップが埋め込まれていて、表面に記載されている内容がICチップに記録されている。スマホなどで簡単に読み取れるが、免許証を交付された際に設定した2つの暗証番号(それぞれ数字4桁)が必要。

暗証番号「1」を使えば「氏名、生年月日、免許証交付年月日、有効期間、免許の種類、免許証番号」が確認でき、暗証番号「1」「2」の両方を入力すれば「本籍、顔写真」といった追加情報も確認できる。

暗証番号を3回続けて間違えればICチップは読み取り不可となるが、これなんかもデータの書き換えに関しては強固なプロテクトをかけて、免許に記載されているデータの読み取りに関しては偽造防止の観点から「ご自由にどうぞ」の方がいいような気がする。

政府が本気でマイナンバーカードを普及させたいのであれば、まずこの「暗証番号の乱立」をなんとかすべきではなかろうか。国税庁の納税システムを利用するだけでよく似た名前の暗証番号5つを使い分けなければいけない。この先さらに

「運転免許証」「健康保険証」

など、あらたな制度をマイナンバーカードに導入するたびに暗証番号が増えていき、混乱は必至である。せめてマイナンバーカードだけでも暗証番号の名称を変えて
 
 マイナンバー暗証番号 A(英字・数字を含む6~16桁の番号)
 マイナンバー暗証番号B(数字4桁)

 といった具合にシンプルにしては?

いまさら手遅れではあるが、「マイナンバー」という名称も変えてほしい。日本国内で外国の人に

「マイナンバーを持っていますか?」と英語で尋ねる際、

 Do You Have ”My-Number”?
     
 あなたは私の番号を持っていますか?
      ↓
 私の電話番号を知ってますか? 
      ↓
 あれ、僕の電話番号渡してなかったっけ?

 とナンパなキザ男になってしまう。


ちなみに一般的に「マイナンバー」は

「social security number 」 「 indivisual number」

などと英訳されおり、ナンパなキザ男になる必要はない。



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