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2024年2月第2週までの株振り返り

アメリカ

Metaの決算が好調で設備投資積み増しすると言い出したところ、NVIDIAの売上が伸びるということでアメリカ株が上がりました。今やアメリカ株はM7同士が重なり合った高層ビルですが、果たしてどこまで高くなれるのでしょうか。
一方でインフレ率がごく僅かに上振れただけで指数が大幅下落したりと、今の株式市場の足元の弱さには不安が残ります。

頼りのNVIDIAはコンセンサスを超えてくるでしょうが、対中売上がキャンセルラッシュコースを引いた時に見通しを含めてかなり厳しくなりそうです。また第三国を経由して中国国内にGPUを密輸するのが流行ってますが、アメリカ政府がいつキレるのかのチキンレースは楽しそうですね。
持ち株にストップロスを入れてPut握って決算に突っ込んで暴落が来ればむしろ儲かるという戦略が一部で話題になっており、上下どちらにせよボラが出る理由が何となく分かります。

MetaやAlphabetは詐欺広告などが大幅に増加しEvilな会社へと転落一直線。ただ、ほとんどの投資家はそういうことを気にしておらず、やはりESGという考えは人類に早すぎたようです。

アメリカ議員で一番株が上手いと評判のペロシ氏ですが、今回もNVIDIAの上昇前にCallを買って儲けていると同時に政府関連のインサイダー情報を利用していた節があったりと、権力があれば大抵のことが許されるアメリカらしい光景が見れました。

ARMが決算一発で+100%コース。
ただ見通しがかなり強気で、かつ株の流動性が乏しいという東証産クソ株のような状況というのがいまいちですね。でもARM効果でSBGと日経は大幅上昇しており、日本市場も半導体に依存する状況が加速していきます。

Lyftが決算発表で+65%くらい上がったと思ったら高値から30%くらい急落。
利益率が500bp増加すると資料に書いたけど実は50bpの間違いでしたすまんなということらしいです。流石に致命的すぎるミスなのでアメリカだと訴訟を起こされそうですね。

バイデンおじいちゃんの高齢化問題がようやく真剣に取り上げられ始めました。
これまでのボケ発言に加えて、過去の問題に関しても記憶力に問題があるから無罪というアメリカ大統領としての能力に不適格を突きつける判定を受けるなどあったため、アメリカ人もこの人物が核のスイッチを持っていることに恐怖を持ち始めたのかもしれません。

アメリカの不動産含み損問題がじわじわと表面化。
値下がりが激しすぎて売りが出ないといういつか見た光景ですが、当局がようやく監視を厳しくし始めたので何か出てくるかもしれませんね。


中国

政府が株式市場の統制強化を継続。
クロスボーダーのリターンスワップを制限しつつ、バランスを取るため本土株の保有を減らさないよう指示し、並行してクオンツのショートを禁止して、かつマーケットニュートラルに株を減らさないよう要請しながら、以前の株式購入に加えてSWFが株の保有を拡大すると共に、機関投資家に株の保有を増やしながら自社株買いを要求。
完全に国家総動員体制で株価を支える展開となりました。

海外に持っている資金で中国株を買えと国内に指示しているという噂も聞こえており、中国発のアセットクラッシュの可能性に一部界隈では大盛り上がりです。
日本政府や日銀が同じことをやったら死ぬほど叩かれそうですが、日銀嫌いの方たちも中国に対しては甘く特に言及しなかったりと、人の評価は評価者からの好感度で決まることがよく分かります。

一方で従業員の多い製造業などは需要低下が厳しく融資なんか受けられないと叫んでおり、金融機関に融資拡大を求める政府の声に答えようにも行き場がないといういつかの日本で見た光景が広がりつつありますね。

日本のバブルとの類似性が議論に上っていますが、経済の死に方が完全に同じルートを辿る方が珍しいので単純な比較に意味はないと思います。耐えている消費がどうなるかを議論すべきですが、そちらを当てるのは困難なためバックミラーで判断できる方が議論されているのかもしれません。

欧米からの規制強化の結果、半導体製造体制が高速で構築されています。
現時点では旧世代が中心ですが、こっそり仕入れた最先端の装置とセットで5年後には内製で何とかできるようになっているかも。


欧州

中国市場向けの事業がかなりきつく、悲鳴を上げ始める企業がちらほら。

ASMLで久々にデブがやらかしましたが、ユーロネクストによると今のところ誤発注申請は届いていないとのこと。定期的にあるブローカーのやらかしで発注アルゴの設定を間違えただけな気がしますので、救済されるか微妙なことを考えると申請して恥を晒すのを嫌がったのかもしれません。

住宅ローン担保証券を取り扱うヘッジファンドの平均エクスポージャーが2000%を超え、中央値でも500%というレポートがESMAから発表されました。こういったファンドにはキャッシュに余裕があるとされていますが、そういって吹き飛ぶのが恒例ですのであまり信用できません。
金融市場では100年に一度の危機が数年ごとに起きますので、稼ぎ終わったファンドマネージャーが逃げ出すようであれば、噴火も間近と身構えておくべきでしょう。


日本

引き続きアノマリーが強いですね。アメリカ株が全く動いてないのに日本株だけが馬鹿みたいに強いといった光景をよく見ます。日銀が浮動株を吸収しきったせいで、外人が高値で買わされているという面もあります。
日銀のETF含み益がとんでもないことになっているため、アクティビスト気分で利益還元を求める人が出てくるのでしょうか。

後は半導体。
日本株を支え続けており、そろそろ護国神山TSMCに倣って九州山地にちなんだ半導体企業の呼び方が誕生しそうです。

アメリカ台湾の受け皿になりつつ、中国相手に規制対象外の装置を売りつけるというイギリス外交がどこまで許されるかでこの先の業績が決まるため、足元の数字を引き伸ばして割安というロジックは危ないですね。
コロナ後のテックバブルの時もそうでしたが、アメリカ株のバリュエーションを引っ張ってきて日本株は安いと叫ぶ人がいるのを見ると、株価はノリで決まるという結論で良い気がします。

腰が重い日経新聞ですら日経半導体株指数という新指数を出すレベルなので、天井じゃない?と言われたら否定するのが難しくなってきています。3/25から公表開始らしいので、グロース指数に次ぐゴミ指数が誕生しないか心配で夜も眠れません。

アクティビズムやエンゲージメントが流行っても変わらなかった日本企業ですが、日本取引所がPBR改善を叫んで金融庁が損保に政策保有株の売却を指示すると簡単に株価が上がりました。やはり企業改革に必要なのは力。力なき者がいくら叫んでも企業を変えることはできず、村上ファンドのようにグリーンメーラーで終わるしかないのです。

増配・減配に対するリアクションが激しくなっており、PERよりも配当利回りの方が重要視され、人気が集中している高配当株などは仮想通貨並に危なくなってきました。
中でも高配当で人気のあったあおぞら銀行が大幅下方修正+減配で暴落し、同時にNISA買い付けランキングの2位に躍り出ました。日経のリークのせいで朝に決算発表を発表せざるを得なくなったことが原因のため、朝からTDnetを眺めるようなこともせずに指値を出したまま真面目に働いていた一般投資家が犠牲になった形となります。

社長交代に合わせて過剰な損出しをしたと言われていますが、2年後のアメリカ商業不動産が上向いているのかと言われると微妙です。実際アメリカでも大幅値下げで売るのを嫌がる不動産保有者や、不動産関係の評価損の先送りが問題になってきています。
リーマンショック時を思い起こさせる展開で、評価損を認めないまま粘って最後に爆発したことを考えれば早めに損失を確定させたいという気持ちも分かります。

一部界隈で根強い人気のあるクックパッドが四半期で遂に黒字化。
前社長を追い出してから駄目になったという声がありますが、M&Aで水増ししていただけですし買収したところも微妙で追い出された前社長の会社も微妙なことを考えると、前社長がいても同じ結末になっていたのではないでしょうか。モバイル化に出遅れた挙げ句、評判の良かったインディーズのアプリを潰して自社アプリは微妙なままと、残念ながら技術的にも経営手腕的にも優れていたとは言えません。
クックパッドは事業モデル的にレシピを中心としたSNSなので、他のSNSが強くなってきた上にレシピも食品会社に抑えられてしまったので、正直何ができたのかと言われるとヤフーあたりに会社を売却して減損させるくらいしかなかったと思います。

楽天が無茶な優待を発表。
どう考えてもこの後に増資が来るだろうと話題に。

任天堂が強いのは「大ヒット中のPalworldが任天堂産、または協力関係にあると外国人投資家達が勘違いしている」説が囁かれていますが真相は不明です。

大きな夢を掲げていたアクリートの業績が爆発。
株価の方は先に爆発していましたが、夢を固めた中期経営計画を社長が掲げると天井になるアノマリーが今回も活躍して終わりました。

アレな会社にアレな人達が集まって色々やりだすいつもの東証小型株劇場が開始。アレな人達と関係のある個人投資家も増えており、延焼する日が待ち遠しい人も多そうです。


全体

世界を支えるアメリカ株と半導体という構図は変わらず。死ぬ時は皆一緒。でもM7の決算が出揃ったあたりから微妙な空気が漂ってきてます。

生成AIを使った半導体の設計が流行っており、人間の限界を超えて早くかつ無駄の少ない半導体が生み出されるとなると、ムーアもびっくりなスピードで処理性能が上がる未来が訪れるかもしれません。
難易度が高すぎると見なされてきた新興半導体企業が誕生する可能性も現実味を帯びてきます。NVIDIAの大口顧客は自社半導体の開発を進めているため、このあたりでブレイクスルーが起きるとNVIDIAの売上が50%くらい消滅しそうですね。それもあってかNVIDIAは大口向けにカスタマイズを請け負い始めました。

OpenAIのサム氏が半導体企業を立ち上げようと数兆ドルを調達しようとしている話も出ており、昨今株価が天井を突破しているNVIDIAの時価総額を超える投資が行われるとはにわかに信じがたいところではありますが、実現すれば半導体関連の企業にはこれまで以上の特需の慈雨が降ってくるので更に株価が上がりそうです。

何にでも手を出す割にいまいちぱっとしないPFNも半導体事業に手を出していますので、グロース市場の流行りはAIから半導体に変わるかもしれませんね。
PFNと言えば一時期クオンツファンドを目指して野村とパイロットファンドを立ち上げてましたが、その後特に話が聞こえてきません。論文は出しているようですが、もし知っている人が居られましたら教えて下さい。

あと、ひっそりとエクシアが最後を迎えたようです。
途中の盛り上がりに比べて最後の方は話題にすら上がらなくなっており、弾けた時のインパクトの小ささを考えると本邦の金融系はまだまだアメリカに届かないなと悔しい思いがこみ上げてきます。

某フォーラムで「配当を損金算入できるようにすれば配当総額1.5倍で株価も1.3倍くらいはいける」理論が提唱されました。
一般的には配当の増減そのものは企業価値に影響を与えず、増配で株価が上がるのは日頃金を奪っていくだけのDV夫がたまに優しいことをすると好感度が上がる理論であると言われています。

それやって何が変わるの?という質問に対して「投資家側からすれば何も変わらない」と言いつつ、「でも株価は上がる」と言い切るハートの強さは見習いたいですね。エネルギーとは違って企業価値は無から有を生み出せるようです。

今は配当利回りが株価にダイレクトに反映されますが、本当に損益参入が可能になった時も株価は上がるのでしょうか。ファクターの影響力次第だと思いますが、そうなるとどのファクターのシーズンかによって株価や日経平均が振り回されることになります。壮大な社会実験が見れそうですね。

ひふみが日本小型株絞った「ひふみマイクロスコープpro」を発表。
大型株だとTOPIXに勝てておらずアピール力に欠けるからという話なのでしょうが、資料中のベンチマークは何故かTOPIX。これでベンチマークに勝ってますと言われても、ハンディキャップで勝っただけではと突っ込まれる未来が見えるので誰か止めなかったのでしょうか。

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