歯が白くなった2

イブに歯医者に行って歯を白くしてもらうことになった。
当日は女医さんじゃなくて、女の歯科衛生士さんが担当してくれた。完全個室なんだけど隣の声は丸聞こえで、先生に「ほとんどの歯を治療したことがある」って自慢してる男の声が隣から聞こえてきて、そんだけ虫歯になってるわけだから何の自慢にもならんのにな〜って聞きながら待ってた。先生も「あ〜、はは…」って感じだった。

歯科衛生士さんに「前回の診察以降どうです?」って聞かれて「先生に虫歯だって言われた歯が痛いような気持ちになってきました」って正直に話したら、後で先生に歯科衛生士さんが「虫歯だって言われた歯が痛い気がしてきたそうです」ってそのまんま伝えられてて、なんか恥ずかしかった。

歯を綺麗にする前に、なんてことでしょうビフォアアフターするために写真を撮らせてくださいって言われて、いやだ〜これから歯を治療するせいで、洗われた犬みたいな顔してるのに…って思ったけど逆らう権利ないので写真撮られた。歯でなく顔のスナップまで撮られて、何故?って思ったけど、これは後の伏線。

本格的に治療というか掃除がスタートし、始める前に保険適用外で3千円とられるってすごい申し訳なさそうに説明されて、3千円でも文句言われるのか?って思った。この歯医者、最初に消毒液入りのコップで口濯ぐ時も許可を得てきたし、身体にホースがのっかる時も謝ってきたし、なんか…めちゃくちゃクレーム多いのかな…って思った。どの業界も大変だなあ〜。

ほいで、歯が!めちゃくちゃ綺麗になった!

歯科衛生士さんが落とし切れなかった着色について申し訳なそうに説明してきた。
「詰め物をしてるところは着色が落とせなくて〜」って説明受けてた時に、そういや初めはその部分が汚れ出したんだっけな…って懐かしい気持ちになった。
この詰め物をするまで、私は前歯が欠けてた。
最初に欠けた時に母が
「良い?この事は誰にも言ってはいけないわよ」 
って古の言葉を受け継ぐシータみたいな言われ方をしたからずーっと守ってきた。幸い私の友達はみんな良い子なんで「前歯が欠けてるね」なんて不躾に言ってくる子はいないから、ずーっと前歯は欠けたまま生活してた。小学生〜社会人までずーっと欠けてて、その間に歯医者にもかかったけど何も言われなかったから、大人の歯だし治らねえんだろーなって思ってた。そしたら、社会人になって初めて言った歯医者の先生に「前歯が欠けてるね、治す?」って言われて、当時の私はめちゃくちゃビックリした。今まで誰も歯の話題には触れてこなかったし、親には言ったらダメだと言われてきたし、つか治せるもんなの!?って大パニックだった。
この歯医者の先生、思えばめちゃくちゃ変わり者だった。見た目がいかにも休日はゴルフかフットサルしてます!って感じに黒く焼けてて、開いたばかりの自分の歯医者のためにも金を稼ぐぜ!って感じにエネルギッシュだった。診察台にくると「やあ!◯◯さん!」って片手を挙げて挨拶してくるタイプ。ほいで治療中はずーっと足でリズム取ってて、削る時もチュンチュン!タンタン!みたいな感じで間にリズム刻んでくる感じ。タンタン!の時に先生の足で診察台がガタガタ揺れて、今考えるとヤバいけど、欠けてた前歯を治してくれたから、私は結構先生が好きだった。

そんなこんなで、詰め物してるから、そこの着色が落ちないのは仕方ないよね〜って諦めてたんだけど、歯科衛生士さんに後で詰め物変えたら治せますよって言われて、詰め物も変えられるんかい!ってビックリした。歯のこと何もわからんのだから説明してくれ〜!

こうして歯は綺麗になった。汚れのない歯を見てると昔の自分に戻ったような気分で、若返った気分にすらなった。「前歯が出てる人は着色がつきやすいから、コーヒーよく飲まれるなら、ストローで飲んだ方がいいですよ」ってアドバイスされたんだけど、ホットコーヒーなんだよな…。
最後に綺麗にする前のビフォアフターを見せられたんだけど、自分の顔と共に歯の汚ねえ写真が前にあるモニターに映し出された。たぶん歯だけだと、誰の歯かわかんねーから顔写真とったんだなーって思ってたら、私の写真の下に知らねえおじさんの顔と歯の写真が映し出されて、いや誰!?ってビックリした。どうやら前の人のも一緒に映し出されるシステムらしく、いや地獄〜!やだやだ!どうか私の次の人が目の悪い人でありますように。


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