ヴェイパーフライNEXT%は何%なのか

まずは、こちらの写真をご覧いただきたい。

多くのランナーが、ヴェイパーフライNEXT%を履いていることが分かるだろう。

先日行われた全国高校駅伝を見ても、とにかくNEXT%が多かった。

多くのランナーに選ばれているという観点からも、このシューズが優秀なものであることは間違いないだろう。

2年前にヴェイパーフライ4%が登場したとき、このシューズは履き手を選ぶシューズだと言われていたように思う。

走り方によって合う・合わないがあるとか、フォアフット接地のランナー向けだとか、筋力が必要とか、そんな噂が蔓延していたように思う。

では、ヴェイパーフライNEXT%はどうだろうか。

かつて、4%を履いた人からは、合わないという声がちらほら聞こえてきたが、NEXT%を履いた人からは、あまりそういった話は聞かなかったと思う。

むしろ、万人受けしているような気がする。

さて、4%を改良して作られたと言われているNEXT%。

このシューズが発売される前まで、「ヴェイパーフライ5%」という名前で発売されるという噂が流れていた。

元々、ヴェイパーフライ4%のネーミングの「4%」は、「ナイキの従来の最速のマラソンシューズであるズームストリーク6と比較してランニングエコノミーを4%改善する」というところからきている。

しかし、実際に発表された名前は「ヴェイパーフライNEXT%」であった。

なぜ、「NEXT%」という名前になったのだろうか。

各地でいろんな噂が流れた。

5%を目指して作られたが、実際には4.7%くらいにしかならず、5%に到達しなかったという噂や、履く人によってパーセンテージが変わってくるのではないかという噂。

あるいは、パーセントを数値化できなかったという噂。

そんな噂は、挙げればキリがない。

価格的に見れば、4%が24,000円、4%フライニットが26,000円に対して、NEXT%は27,500円(いずれも税抜価格)。

NEXT%の方が4%より価格も高いので、パーセンテージも高いと思うのが普通の考え方である。

ただ、ここで疑問に思うことがある。

・ランニングエコノミーがいいほど、疲れない(=ゆえに速く走れる)
・反発が強いほど、スピードが出る(=ゆえに速く走れる)
・反発が強いほど、疲れやすいし、扱いが難しい

これらの条件を組み合わせて考えると、パーセンテージが上がれば上がるほど、扱いがピーキーになって、履き手を選ぶシューズになるような気がする。

それにもかかわらず、4%よりもNEXT%の方が、扱いやすくて、万人受けするのであれば、NEXT%のパーセンテージは4%よりも低いのではないかということも考えられる。

もしかしたら、NEXT%のパーセンテージは3%くらいなのではないだろうか。

しかし、4%を改良した結果が3%だとしたら、なぜ3%の方が速く走れるのかという疑問が生じてくる。

しかし、これはホンダS2000のマイナーチェンジと同じ理屈が当てはまるかもしれない。

ホンダS2000に搭載されたF20型エンジン(2000cc)は、市販車にもかかわらず9,000回転まで回る超高回転型エンジンで、NA(自然吸気)ながらも1リットルあたり125馬力を絞り出し、最高出力250馬力を発揮するものだった。

しかしながら、その鋭いパワーは一部の限られた高いスキルを持ったドライバーにしか扱うことができなかったと言う。

ゆえに、マイナーチェンジの際に、排気量を2000ccから2200ccにアップして、実用域(中低速回転域)でのトルクを強化するために、エンジンの最高回転数を9,000回転から8,000回転にダウンして、それに伴って最高出力は250馬力から242馬力にダウンすることで、パワーを扱いやすくし、乗りこなせるようにすることで、総合的には速くなったというものである。

つまり、パワーを犠牲にしても、コントロールしやすくしたことによって、トータルでは速くなったというわけだ。

4%よりNEXT%の方が、弾む感覚は弱い気がするものの、地面を押してから離れるまでの時間は短いし、走りにキレがあるような気がしている。

言い方を変えれば、NEXT%の方がスパイクに近い感覚だと思う。

4%を改良する過程で、速く走るための最適化をした結果、全体的なパワーが落ちていたということもあるかもしれない。

もし、4%を改良した結果が3%だったとして、新製品を「ヴェイパーフライ3%」という商品名で販売したら、なんとなくガッカリするような気もしてしまう。

そういう意味では、「NEXT%」という表現にしたことは、理にかなっているような気がする。


また、4%からNEXT%への大きな変更点の1つはオフセットの変更だった。

4%の前足部と踵部の高低差が11mmだったのに対して、NEXT%では8mmになっている。

これは前足部のズームXフォームの量を増やした結果であり、前足部は4mm、踵部は1mm厚くなり、全体で約15%のズームXの量が増えているという。

オフセットが大きい方がいいのか、小さい方がいいのかはよく分からないが、物理的にはオフセットが大きい方が体重移動は促されるような気がする。

それは、下り坂を走るときに、傾斜があればあるほど、スピードが出るのと同じだと思う。

そういう意味でも、NEXT%は「3%」くらいなのではないかと思えてくる。

ただ、実際にはNEXT%が何%なのか分からないし、まさか3%ということはないと思う。

だからこそ、4%で走るときには、シューズの性能を100%引き出すことができれば、4%の方が戦闘力が高いのではないかということを密かに期待しながら走りたいと思う。

いただいたサポートは、アイシングの財源にしたいと思います。