タグ・クエスチョン

西野カナの「トリセツ」という歌がある。言わずと知れた名曲の1つと言ってもいいだろう。

さて、この曲の中に、

「急に不機嫌になることがあります。
理由を聞いても答えないくせに放っとくと怒ります。」

というフレーズがある。

とても理不尽な話に聞こえるかもしれないが、原因のないところに結果はないものである。

実際に、女子というのは急に不機嫌になることがある。

「何で怒ってるの?」と尋ねても、
「別に!」と突っぱねられてしまうのだ。

機嫌が急に悪くなったのにもかかわらず、その原因も理由も分からないし、聞いても答えてくれず、機嫌を直す手段も分からない。

まさに八方塞がりである。

なぜ、このような悲劇が起きてしまうのか。

実は、「タグ・クエスチョン」というものが関係している。

「タグ・クエスチョン」は、日本では心理学の用語として使われることがあるが、元々は英文法のTag Question(付加疑問文)のことである。

This wear is cool,isn't it?
(この服、カッコいいですよね?)

このように、日本語では「~ですよね?」「~ではありませんか?」の意味合いで使われているが、このタグ・クエスチョン・・・実は、相手に回答を求めているわけではない。

ほとんどの場合において、自分の考えに確信があって、相手にただ同意を求めているだけなのだ。

例えば、女子の「この服かわいいよね?」「似合うかな?」というクエスチョンである。

このクエスチョンの厄介なところは、YesかNoかという2つの選択肢を与えておきながら、実際には答えが1つしかないということだ。

そのため、もしその服が似合っていなかったとしても、「うーん、微妙」とか「イマイチ」のように、素直な自分の意見を言ってはいけない。

このような意見を述べても、「貴重な意見をありがとう」と感謝されることにはならないし、それどころか、相手の機嫌を損ねて取り返しがつかなくなるだけだ。

このクエスチョンに対する模範解答は、

「似合うよ、かわいいね!」

もはや、その一択でしかない。

なぜなら、このとき女子は自分では似合っているという確信があって、それを認めてもらいたいだけなのだ。

これは、愚痴を聞くときも同じで、

「今日こんなことがあったんだけど、ひどいと思わない?」

と言われたとしても、

「それは、君も悪かったのではないのか」とか、「このように対応するべきだったね」などと正論をかざしてはならない。

もし、女子に何か原因があったとしても、「大変だったね」「嫌な思いをしたね」と言うことでしか解決はないのだ。

このように、相手の質問に対して、素直に自分の意見を述べることが、必ずしもいい結果に結びつくとは限らない。

もっとも、こちらが質問だと思っていたことさえも、ただの確認でしかないこともある。

それを見極めることこそが、「急に不機嫌になること」を防ぐための対策と言っていいだろう。

また、女子は基本的に褒めて欲しい生き物だ。

その証拠に、「トリセツ」の歌詞の中でも、

「定期的に褒めると長持ちします。
爪がキレイとか、小さな変化にも気付いてあげましょう。」

というフレーズが存在している。

「定期的に褒める」というのは思っている以上に難しいと思う。

正直、爪がキレイとか知ったことではないし、小さな変化に気付けるかなんて分からない。

しかし、これはどんなところを褒めたらいいのかよく分からない中で、とりあえず「爪がキレイ」って言っておけばいいんだよという西野カナからのアドバイスであり、褒め方のガイドラインである。

だから、「調子はどう?」「How are you?」と同じニュアンスで、「爪がキレイだね。」と言っておけばいいだろう。


最後に、「トリセツ」はさだまさしの「関白宣言」に対抗して作られたという説がある。

さだまさしは、「関白宣言」の後に「関白失脚」という曲をリリースしている。

そんなことからも、西野カナには、もし復帰するときには、「トリセツ」の後に続く「リコール」なる曲を発表してくれることを期待したい。

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